10月7日に起きたイスラム組織ハマスによる攻撃に対する自衛として、イスラエルがパレスチナのガザ地区を攻撃しています。今回の大規模衝突の発端となったハマスの攻撃は許されませんが、それを理由にイスラエルの大規模な戦争犯罪が許されるわけではありません。国際法で禁じられている病院や学校、民間人を無差別に攻撃し、更に病院の地下にハマスの司令部があるとしてシファ病院に戦車を突入し、病院内をも攻撃しました。病院では既に燃料や医薬品がなくなり、新生児・乳幼児や傷病者が治療を受けられずに死亡する事態となっており、人道危機が深刻化しています。パレスチナ保健省によれば、ガザでは1万1200人以上が死亡し、その3分の2は女性と未成年者です。住民230万人の3分の2が家から逃げ、うち約2700人が行方不明としています。イスラエルは民間人と武装組織と区別せずに攻撃しており、民族浄化とも見えるジェノサイトは人類に対する歴史的犯罪と言えます。
そもそも、今回の戦闘は10月7日に始まったわけではありません。1948年にシオニズムを掲げるユダヤ人が国家建設と称してパレスチナ人の土地を奪ったことに端を発します。ヨーロッパなどでユダヤ人が差別を受け続け、ナチスによるホロコーストなど大量虐殺を受けてきた歴史を私たちは受け止める責任がありますが、2千年前にユダヤ人国家があったという理由をもって現在住んでいるパレスチナ人の土地を奪う理由にはなりません。突然土地を奪われたパレスチナ人は難民として人権が抑圧される生活を強いられてきました。パレスチナ難民は自分たちの土地を取り戻すために闘い、ようやく1993年にイスラエルとパレスチナ解放機構とのあいだで二国家共存をめざした「オスロ合意」にたどり着きました。しかし、その後イスラエルが合意を遵守せず、パレスチナのヨルダン川西岸地区でも入植と占領が続いています。またガザ地区は「天井のない監獄」と言われ、平和に暮らす権利が奪われている状況が長年続いています。
イスラエルはガザ地区を占領支配することを表明していますが、私たちは武力では問題は解決できず、平和を築くことはできないと信じています。直ちに停戦し、人命救助をはじめとした人道支援と和平交渉の再開こそが必要です。国際社会としてパレスチナ問題を解決していくことを強く訴えます。