国会閉会に当たっての市民連合の声明

Pocket

2022年度通常国会閉会にあたって

参議院選挙で「翼賛国会』を回避できるか

2022年度通常国会が6月15日閉会となりました。

7月10日投開票が予定されている参議院選挙を控え、そもそも自公連立与党が「対決型」の重要法案の数を絞って臨んだこともありますが、26年ぶりに全ての政府提出法案が成立するという、稀に見る低調な論戦に終始した国会でした。これは日本の政党政治が、1996年の旧民主党結成以前に逆戻りしたことを示しています。

表面的な静けさとうらはらに、与党に維新らを加えた改憲勢力がほぼ毎週憲法審査会の開催を強行し無意味な「実績づくり」に時間をいたずらに費やし、また、政府の裁量で無制限に企業活動への関与が広がり軍事研究の推進にも繋がりかねない経済安全保障法が不十分な議論の末に成立してしまいました。予算と補正予算にしても、国会の民主的統制の及ばない予備費が異常な膨張を続けているにもかかわらず、国民民主党までもが賛成に回ってしまいました。国会終盤になってようやく対決姿勢を鮮明にした立憲民主党が岸田内閣と細田衆議院議長に対して不信任案を提出したものの、遅きに失した感が否めないという受け止めもありました。

しっかりと連携する野党の存在が見えなかった本国会は、とりもなおさず参議院選挙の結果いかんによっては、いよいよ与党とその補完勢力だけが政治を進める「翼賛国会」の時代が到来することを先取りしたものとも言えます。自民党は敵基地や中枢を攻撃する能力の保有や防衛費の倍増を柱とした提言をまとめ、そのような自民党に国民民主党がすり寄り、日本維新の会が悪目立ちをすることで政治軸をさらに右へ右へと引っ張るような状況に、立憲野党は堂々と臆せず立ち向かい、私たち生活者と労働者を議会で代表する責任があります。

さる5月9日、私たち市民連合は、立憲民主党、日本共産党、社会民主党、碧水会、沖縄の風の3党5会派との間で4つの大きな項目から成る「政策要望書」に合意しました。立憲野党は参議院選挙において、暮らしと民主主義を守る選択肢を力強く有権者に提示できるのか。立憲野党がそれぞれ一票でも一議席でも多く獲得し、「翼賛国会」を回避できるかが参議院選挙の最大の焦点になります。

2022年6月15日

安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合