6月4日に、自衛隊名簿提供に要した費用は違法な出であるとして住民監査請求を行っていましたが、8月2日監査結果が出され、棄却となりました。そこで地方自治法に則り、9月1日に住民訴訟を提訴しました。
個人情報の公益上の取扱いについて(答申)2020年2月14日
違法な支出の返還を求める訴訟ですが、支出の原因となった名簿提供の違法性が争点となります。提訴の主な論点は➀自衛隊員募集のために18歳、22歳の市民の名簿を自衛隊に提供することは法定受託事務ではなく、福岡市の裁量で提供しており、裁量権の乱用・逸脱である、②福岡市が福岡市個人情報審議会に名簿提供について諮問しているが審議会の審議は不十分であり、その答申をもって同意がないまま名簿提供したことは違法である、③住民基本台帳法では地方自治体は個人情報を保護する義務が課せられており、また、戦争する自衛隊に変容している自衛隊の募集に自治体が協力することは地方自治の本旨である「住民の福祉の増進を図る」に反し違法である、としています。
同意がない個人情報を自衛隊員募集のため、それもポスティングのために自衛隊に渡すことは、個人情報保護の公益性と比較できなことは明らかです。情報化社会が進化し、個人情報がデータとして知らない間に集められ、知らないに間に使われ、またプロファイリング(分析、類型化)され、商業利用や監視される社会が到来しようとしています。EUのEU一般データ保護規則ではプライバシーの保護や個人情報の自己コントロール権を保障しています。日本では、デジタル関連法が十分な議論がなされないまま強行成立しましたが、日本の個人情報保護法では個人情報保護やプライバシー保護が非常に弱い状況です。自衛隊の名簿提供問題は個人情報保護のあり方が問われるとともに、地方自治が問われています。裁判の支援をお願いします。