2017年9月4日
ふくおか緑の党代表 荒木龍昇
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)国営朝鮮中央テレビは、9月3日、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水爆実験に完全に成功した」とする「重大報道」を行ないました。6回目となる今回の核実験は、8月末のミサイル発射の余韻がさめやらぬ状況下で行なわれたもので北東アジアの平和への脅威に他なりません。さらに7月、国連において「核兵器の開発・保有・使用などを法的に禁止する国際条約」が採択されたなか、広島・長崎をはじめとする、核兵器の廃絶に向けた世界各国の市民の願いを踏みにじる暴挙です。また、北朝鮮国内の深刻な経済状況、市民生活や人権状況の改善を優先させるのではなく「軍事優先」の国づくりを進める金正恩朝鮮労働党委員長と政府に対して抗議するとともに、国連安保理決議を守り、ミサイル発射と核実験を直ちに中止することを求めます。
一連の北朝鮮による「核とミサイル」強行に対して、日本と米国政府はさらなる「圧力と制裁強化」を各国によびかけています。安倍首相は今回の核実験を受けて「より重大かつ差し迫った新たな段階の脅威だ」との声明を発表し、新たな制裁強化にむけ米国のトランプ大統領との異例の電話会談を重ねています。「圧力と制裁の強化」で問題が前進しないことは、これまでの20年の「圧力」の歴史が示しています。いま求められているのは「圧力と制裁」ではなく「対話」を開始することです。そのためには、関係諸国と国連が、朝鮮戦争を一刻も早く終わらせることです。日朝関係についても2002年9月の日朝ピョンヤン宣言の履行をすすめることこそその一歩です。2003年7月に同意した「六カ国協議」(米・中・日・ロ・南・北朝鮮)を再開し、アジアでのポスト冷戦と北東アジアにおける安保協力実現への着実な努力が求められています。
日本国内では、北朝鮮によるミサイル発射と核実験を口実に「北朝鮮は野蛮」という雰囲気が強まっています。その原因は、いたずらに危機をあおる安倍政権の姿勢にあります。在日朝鮮人への「ヘイトスピーチ」や何の罪もない朝鮮学校の児童・生徒への攻撃が強まる恐れがあります。私たちは、こうした過度なナショナリズムを排し、日本で暮らす多様な人々が平和で共生できる社会の実現に向かって努力していきたいと思います。