【議案質疑】
1、議案第140号福岡市科学館条例案および議案第134号一般会計補 正予算案について
議案第140号福岡市科学館条例案では、六本松九大教養部跡地に建設されるJRの建築物に賃貸し設置される科学館の設置目的、運営及び管理等に関して定める条例案です。この条例案によれば、科学館の展示施設およびプラネタリウムの設置、企画運営及び施設の維持管理は一括して指定管理者に委ねるとしており、PFI方式にするということです。議案第134号一般会計補正予算案には福岡市科学館条例案に定められた指定管理者としてのPFIの特別目的会社に対する15年間の委託料103億円余の債務負担行為が含まれています。
PFI方式は特別目的会社(SPC)をつくり利益率を確定して資金を集め事業を行います。そのために利益を確保しなければなりません。また、資金調達は自治体が調達する金利に比べ金利が高くなると言われています。競争入札で安く落札すればするほど、確実に利益を出すためには経費の削減が行われます。この様なPFIの問題は第1点はPFI方式が本当に安いのか、第2点は事業の質が維持できるのか、第3点に事業の継続性です。
質疑で明らかにあったように、PFIでは企業のノウハウとして総額が示されても展示の設置費用、企画運営の表、維持管理などの個別の費用はは示されません。そのために、公共施設であるにも拘わらず他施設との比較はできす本当に効率的な事業なのかは議会で検証することはできません。これは議会を軽視することでみとめられません。
次に、科学館としての質の確保できるかという点です。委託費は債務負担行為として15年間と長く、企画や運営が陳腐化しかねません。また利益確保のために経費削減として再委託が行われ、学術的専門性が求められる科学館としての質を維持できるのか疑問です。質疑ではモニタリングを行い、問題があればサービス購入費の減額などのペナルティを課すとしていますが、この様なことで科学館としての質を維持できるか疑問です。条例案では問題があった場合契約を解除できますが、PFIは15年の長期の債務負担行為でもって利益を確保する構造であるため事実上契約解除は困難と思われ、質の確保でも疑問が残ります。また、要求水準書ではボランティアの育成と活用を求めていますが、小中学校等との連携事業も計画されており、安易な活用は質の低下や事業継続ができるのか危惧されます。。
この様なことを総合的に考えればPFIには様々な問題があり、むしろ直営で行い、維持管理などの必要な部分を委託した方が安上がりで、市民に責任もったサービス提供ができます。この際、PFIを運営主体とする条例案は変更し、福岡市直営で事業をすべきです。以上の理由から議案第134号および140号について反対しまました。
2、議案第141号福岡北九州高速道路公社の道路整備に関する基本計画 の変更に係る定款の変更についての認可申請について
議案第141号は都市高速道路と人工島を結ぶ2.5キロ、事業費250億円の接続道路・福岡北九州都市高速道路6号線を建設するための定款変更の承認を議会に求めるものです。定款変更の是非を判断するためには、この事業の必要性、経費対効果について検討されなければなりません。議案質疑では、国土交通省のマニュアルによる費用便益を計算で費用便益があるしています。これ自体もはなはだいかがわしさを感じますが、問題は本来高速道路の事業として料金で建設費を償還すべきところが、高速道路使用料金では償還できる見込みはなく、福岡市が多額の負担をすることになると言うことです。都市高速道路からの人工島への出口は2箇所になり、その間隔は数百メートルしかなく、都市高速道路6号線路を建設することで利用車両がそれほど増えると考えられず、市の答弁のように新たに15年後に新たな利用車両が3千台増えたとしても建設費を償還することは不可能です。このことは未だに財源の負担区分が明確にされないことに現れており、福岡市が多くの負担をすることを示唆しています。
国・地方の長期債務は2014年度末で1035兆円、福岡市も2兆4千億円余の借金があります。人口減少を迎え日本経済は必然的に縮小し、税収増は見込めず、高齢化による医療・介護の歳出増、公共施設やインフラの老朽化による保守管理が大きな課題となっています。公共施設整備については将来の需要や必要性を厳しく精査し、投資しなければなりません。福岡市は人口が増えていると入っても高齢化が進み生産人口は減少し始めており都市高速道路6号線がなけれならない状況とは考えられません。医療費や福祉の市民負担が増え続ける状況において、財政運営は市民生活優先にすべきです。わずか7分の時間短縮の効果しかない必要性に乏しい人工島への接続道路建設に福岡市は多額な投資をすべきでなく、この議案に反対しました。
3、議案第142号ないし147号、150号ないし155号はいずれも 賃金水準及び物価水準の上昇に伴う工事請負契約の一部変更の議決を議 会に求める議案について
国土交通省は2013年5月に設計労務単価を引き上げ、建設業界団体に技能労働者に法定福利費の支払および社会保険に加入できる適正賃金の引き上げを求めました。しかし、建設労働者への適正な賃金の支払いがなされていない実態があり、国土交通省は重ねて関係業界団体に建設労働者へ適正な賃金の支払を求める通知を出すとともに、都道府県、政令市にも指導を求めています。末端の建設労働者まで適正な賃金を支払うことは、若年建設労働者の就労促進と建設労働者の技術の継承に必要であり、また地域の経済活性化にも必要です。今回の工事契約変更については、末端の建設労働者まで適正な賃金の支払いがなされなければ契約改訂の正当性はありません。質疑では福岡市は契約事業者に通知はしても末端労働者まで適正な賃金が支払われていることは確認していません。指導だけではなく法的根拠を持たせる必要があります。今回の契約変更事案については末端労働者まで適正な賃金が支払われることを確認することを求めると共に、適正な賃金支払を徹底するために早期に公契約条例を制定すること求めました。
4、議案第149号新青果市場市場会館棟衛生設備請負工事契約の一部変 更について
この議案は入札後の設計変更であり疑念を生じさせるものです。入札時点で技術提案項目にアセットマネージメントの視点が組み込まれていれば入札後の契約変更をすることもなく、よりよい提案も出された可能性があったと考えます。市全体として総合評価項目にアセットマネージメントの考え方を取り入れるよう要望しました。
その他の議案は法律の改正に伴う条例改正と、給食費および市営住宅家賃の滞納者に対する提訴の専決事項の承認でした。
【一般会計補正予算案】
1、ラクビーワールドカップの準備 5千万円
2、東区の市民センター建設費の増額 1億4千万円
3、九大学研都市及び空港方面への都市高速道路延伸の調査費 2千万円
4、科学館PFI事業に関する債務負担行為 15年間で103億円