新年度予算は子育て支援や教育への重点予算とはなっていない!
●就学前までの通院費と中学3年までの入院費の無料化は遅れている
●教育費が増えているのは国の景気対策を使った小中学校の空調整備
新年度予算は政府の地方創生に向けた補助事業の拡大や子ども子育て新制度などによる国からの交付増により事業費は増えています。「教育・子育てに重点」と報道されていますが、実際には新制度などによる増額であり、福岡市独自のものは余りありません。例えば子どもの医療費助成については現在小学校就学前までの通院費と小学校6年までの入院費を助成していますが、新年度からは通院費は従来通り小学校就学前までとし、入費の助成を中学3年生までにしています。これはさほどの増額にはなりません。20政令市中6市が既に中学3年生までの通院費および入院費の助成をしており、福岡市と同じ助成状況の市は20政令市では4市しかなくはむしろ遅れていています。
子ども施策で今急がれているのは貧困の連鎖をなくすための子どもの支援体制です。日本の品孤立はOECD加盟34カ国・地域でワースト2,厚生労働省の報告でも相対貧困率は16%となっています。政府では「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を制定し、昨年8月に「子どもの貧困対策大綱」を制定しています。子どもの貧困対策を進めるにはスクールソーシャルワーカーの増員が必要ですが、福岡市は今年度12人を24人に増員しただけで、中学校に一人配置するためには最低69名が必要でありとても足りていません。また学校司書も全く足りておらず、とても教育に重点をおいた予算と言えるものではありません。
都市膨張主義・開発優先の予算
福岡市の基本的スタンスは都市の再開発・大規模公共事業や企業誘致をすることで福岡市経済をの成長を図るというもので、相変わらずの都市膨張政策・大企業優遇の政策です。アベノミクスと同じ、「大企業が潤えばやがて地場中小企業も潤い、市民の暮らしもよくなる」という「トリクルダウン理論」です。しかし、「トリクルダウン理論」は虚構でしかありません。福岡市が進める「国家戦略特区」は労働法制の問題を除けは、特区でなくても従来から取り組んできたものです。最も問題は「雇用特区」=「解雇特区」なのです。
■みどりの政治・脱経済成長社会を目指します
人口減少が始まり、日本経済は必然的に縮小します。また、地球環境および資源・エネルギーには限界があり、経済成長を続けることはできません。しかし、経済成長がなくても私たちが不幸になるというわけではありません。経済が縮小する状況に合わせた経済・社会の仕組みを作ればよいのです。これまで企業は生産規模拡大や効率化に過大な投資してきましたが、これからは農林水産業の一次産業や、福祉や教育、芸術や文化に投資することで地域経済をつくります。みどりの政治は「里山の思想」のように、所得再分配の仕組みを整備することで分かち合う社会を目指します。
■だれもが自由に移動できる環境を
早良区南部地区では高齢化や過疎化により路線バスの廃止や自動車の運転ができなくなるなどで買い物や病院などおでかけができにくい状況が生まれています。福岡市議会では「交通空白地対策条例」をつくり,バス停からの距離や高低差を基準に路線維持のための補助制度や住民の自主的な取り組みの助成を行っています。今後は高齢化率なども助成対象にすることで過疎地以外の地域へ広げると共に、ジャンボタクシーによる運行など多様な取り組みができるように働きかけていきます。
■貧困と格差を生み出す「国家戦略特区」=「解雇特区」返上
アベノミクス第3の矢である成長戦略(構造改革)は、労働力の効率化と称し、解雇が自由にできる、「成果主義」として不払い労働を強いる、そして「労働力の流動化」として派遣労働者法改悪を目論み非正規雇用者の増加を目指しています。これを許せば、アメリカ同様に1%の富裕者のための国になってしまいます。「カロウシ」が国際語になっているように,日本の労働環境が劣悪の中、昨年11月から「過労死等防止対策基本法」施行されましたが、成長戦略(構造改革)はこの法律に逆行するものです。このアベノミクスの実験場が「国家戦略特区」=「解雇特区」です。
■地域経済を活性化させるために
○公契約条例制定
市と契約する事業について、工事契約では国の設計労務単価を基準に、事務事業については市の嘱託職員給与などを基準に最低賃金を決め、入札要件にする。公契約賃金は就労者に周知され、労務台帳で実態が確認される。最低賃金法には抵触しない。
○住宅リフォーム助成制度の実施
耐震改修やバリアフリー改修だけでなく、省エネ改修その他住宅改修に補助を出す制度。改修工事は地場業者に受注することを補助の条件とすることで地場企業の育成を図っている。北九州市も実施しており、全国で広がっている。