1、釜山市
1)人口350万人
2)行政区として15の区1つの郡
3)行政組織
市 市長(公選)複数の副市長(行政副市長は国が任命)-市議会
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自治区 区長(公選)-区議会(公選) 郡 郡守(公選)-郡議会(公選)
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洞 2万人程度、行政機関 邑・面(住民センター)
住民センターを設置。
職員5~10名配置。
住民センターの業務として年金支給、生活保護費、住民登録、徴兵業務など
住民センターは地域住民の協議の場でもある。センター運営の中心的役割を担う組織として住民自治委員会がある。(WP)
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統 約300世帯日本の町規模 町世話人がいる町内会のような住民組織
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班 約50世帯程度
※特別市・広域市に属する区は、一般の市と同等の基礎自治体であり、公選の区長と区議会が設けられている。これは、日本の東京の特別区と同様。住民生活の身近な業務に関しては自治区が担い、特別市と広域市は市域全般に関係した行政サービスを担う(WP)
※洞・邑・面には自治区や市および郡の出先機関が置かれ第1線の行政機関として活躍していたが、交通や通信の発達によってその機能は縮小されてきた。そのため1998年以降、邑・面・洞の担当する行政事務は民願(住民が行政に対して申請・苦情・その他特定行政機関に対して特定の行為を要求すること)や社会福祉業務に限定され、それ以外の業務は市や郡に集中されることになった。これによって生じた施設の空きスペースには住民の福祉や文化などのサービスを提供する「住民自治センター」を設置し、センター運営の中心的役割を担う組織として住民自治委員会も設置されることになった。(WP)
※議会
釜山市議会:地方区で選出された42名と比例代表で選出された5名、教育議員6名を合わせ計53名。選挙区は地域別(区・郡)で人口、行政区域、地勢、交通、その他条件を考慮して区・郡別に分割・確定し、一つの選挙区から1名が選出され、釜山広域市は42選挙区より42名を選出する。比例代表議員は議員定数の10%とし、政党別得票率により配分するが、各政党別に登録された候補者名簿順により選出する。釜山広域市の場合は計5名であり、ハンナラ党3名、統合民主党1名、民主労働党1名
釜山鎮区区議会: 3常任委員會、議員數 19人(市議員 4人)
※行政組織(釜山鎮区の場合)
世帯 : 158,253世帯
人口 : 395,826人(男 195,905人、女 199,921人)
行政区域 : 25洞、476統、2,770班
機構 : 4局 1保健所、1室 19科、25洞
公務員 : 873人(区 556、保健所 46、洞 253、議會 18)
区議会 : 3常任委員會、議員數 19人(市議員 4人)
2、市民参与予算制度の経緯
韓国における市民参画予算制度は、2011年に「地方財政法」が制定され全ての地方自治体(17の道および広域市)は2012年度までに準備を行い2013年度予算から執行することが義務づけられた。釜山市市民参与予算制度は、「地方財政法」第39条および同法施行令第46条に基づき「釜山市民参与予算条例」が制定され、2012年度から施行された。市民参画予算には釜山市のような市民から予算要望を公募し予算審議に市民が参加する方法と、ソウル市のように予算枠を500億ウォンとしてその予算枠内での予算化を市民参画で行う方法などがある。
2、市民参与予算の仕組み
市民の規定は以下。
①市に住民票を有するもの、
②市内の公的機関に勤務するもの
③市内の事業所に勤務するもの
1)予算策定までの流れ
①市民からの事業要望公募。市民予算参与委員からも出されている。
②事業要望は担当部署に送致 担当部署で検討し意見を付ける
③事業要望は整理されて課題毎に市民参与予算委員会の5分科会に送致
④分科会での審議、必要があれば参考人招致、公聴会等が開催される
⑤運営委員会で各分科会の審議結果を受けて予算案を策定
⑥市民参与予算委員会全体会で採択
⑦市長は予算案として議会へ提出
⑧市長はこの予算案を市のホームページなどを通じて市民に公表しなければならない
2)市民参与予算委員会
①構成 80名
行政から7名 学識経験者(ほとんど大学教授)7名、各区長および郡守の推薦16名
市に登録されている非営利民間団体(1000ほど)から分野別、組織規模から選定された団体から10名、市民からの公募40人
※公募市民の選定順位は第1位は社会的配慮が必要な人(障がい者など)、第2位は女性、女性は全体の40%以上占めることとしている,第3位地域性、年齢構成となっている。5分科会の構成もこれらの要素が配慮される。
②委員の任期
任期は2年、再任は1回だけ認められる。
③費用弁償
手当1時間7万ウォン 1時間を超えるときは10万ウォン、交通費2万ウォン
④役員
委員長は市職員(副市長)、副委員長は民間から選出
委員会の事務担当に幹事1名 予算担当課長となる
⑤分科会
15~16名で構成
委員長および副委員長は分科会委員の互選
必要に応じて、公聴会・懇談会およびシンポジウム開催、関係機関へ参考人招致および資料や意見を求める
開催は6回程度開催
⑥運営委員会
各分科会から2名、委員長として副市長、委員会から互選で選ばれた民間の副委員長の 計12名
各分会の審議結果を受けて審査し予算案を作成し、市長へ予算案を提出
3)予算の対象となるもの
条例では関連法案に定められている施設の経費、継続的な事業予算などの法定経費は対象外となる。住民密着の予算を対象としていることから、市としては予算要望の対象は1億ウォン以下の事業を求めている。出されたものは基本的に全て検討している。
4)市民が予算編成に参画できる方法
①主要事業に関する公聴会、シンポジウム、懇談会への参加
②主要事業に関する書面またはインターネットによるアンケート調査
③事業要望提出(書面でもインターネットでも可)
5)実績
2013年度予算 16件提案 16件採択 採択事業費198億ウォン
2014年度予算 73件提案 23件採択 採択事業費457億ウォン
2015年度予算 89件提案 現在審議中
因みに釜山市の2014年度一般会計予算は6兆3352億ウォン。
3、その他
1)市の取り組み
まだ市民に市民参与予算制度が定着していないため、市として市民対象に「市民参画予 算の学校」開催、出前講座・研究会、パンフレット作成、種々のメディアで市民への広 報をしている。
2)区の取り組み
区においても住民参与予算制度はある。ヒョンデ区では法制化される前から区民参与予算の取り組みがあり、地方財政法制定後では最もうまくいっているという。