こども病院着工

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明けましておめでとうございます。

 この度の衆議院選挙の結果は民衆等への怒りによる揺り戻しと、投票率の低下に見られる政治不信が増幅された結果と考えます。大きな揺り戻しが原発再稼働や憲法改悪へとドイツのワイマール共和国が崩壊し、ナチスが台頭して来た時代を想像してしまうような4年かの暗い状況を造り出すのではないかと危惧するところです。しかし、この様なときこそ国民の手で未来を切り開くことが求められています。私たちは皆さんとともに緑の党の国会議員を生み出し、日本の未来を大きく変えていく覚悟です。これからもみどりの政治を実現していくためにご支援、後協力をお願いいたします。

 福岡市においては、昨年12月15日にこども病院が着工されました。患者家族の反対、多くの市内の小児科医・産科医の反対、多くの市民の反対を押し切り着工されました。ウソと利権まみれの移転事業、こどもの命を破綻した人工島の犠牲にする事業にひとかけらの正当性もありません。そしてこの事業を容認、あるいは推進してきた議会の責任も問われなければなりません。福岡市政の汚点であるこの事業は負の遺産として歴史に残ると思います。市民の皆さまとともに市政を変えるために今年も奮闘いたします。

こども病院人工島移転中止を求める請願に賛成の討論

 私は23年請願第19号、第30号、24年請願第7号に賛成して討論を行います。
 この3件の請願はいずれもこども病院本来の目的であるこどものいのちを守るという視点から、こども病院人工島移転に反対し現地建て替えないし他の適地に建設を求めるものです。
 こども病院人工島移転の本質的問題は、誰のためのこども病院なのかと言うことです。それはこどものいのちを守るためであり、福岡市の都合である人工島事業破綻の穴埋めではありません。これまで、患者及び家族の方、多くの市民、多くの市内の小児科医、多くの産科医、多くの関係者や市民がこどものいのちを守るために人工島移転に反対してきました。こども病院は福岡市を中心に地域の2次医療を担い、3次医療を担っています。特に2次医療は一旦救急医療センターに運ばれたこどものうち救急医療センターで措置できない重症なこどもが運ばれてきます。そのため救急医療センターからの距離が大きな問題となります。また、産科での緊急措置が必要な場合は30分以内に措置しなければ生命に危険が生じるおそれがあり、後遺症が残る可能性が高いと指摘されいます。
 こども病院には重症な病気を持つこどもが通院ないし入院をしています。人工島に移転すれば、この様なこどもが緊急時に間に合うのか、交通の利便性が悪い人工島は通院や付き添いの家族の負担にもなります。また開設計画では個室になり入院時の部屋代は1日8000円以上、駐車場料金の有料化も計画され、患者、家族の負担増も問題ます。広すぎる駐車場が本当に必要なのか,利用する患者の状況を考えれば駐車場の問題も見逃せません。
 病院の立地環境も最悪の場所です。こども病院の道路を挟んだ向かいは港湾施設です。その隣には青果市場が予定されています。港湾施設や青果市場に行き交う大型トラックをはじめ様々な自動車の通行による排ガスや騒音、港湾施設の24時間の光や騒音、セアカゴケグモなど外来病害虫の進入の危険性、福岡空港の航路に直下の問題など多くの問題がある場所です。さらに、昨年3月11日の東日本大震災の経験から、中央防災会議は病院など重要施設は海岸近くに設置しないよう指摘しています。こども病院移転計画検証委員会の委員であった宮城県立こども病院林医院長は、東日本大震災の教訓から人工島は移転地として不適であると言っています。液状化の問題、橋桁の落下による孤立化の恐れなど、地質学者からの指摘がなされています。
 財政的にも問題がある計画です。診療科目を増やし、過大な施設計画で、事業費が毎年17億円の赤字が30年間続く計画は、厳しい財政状況で必要な計画でしょうか。こども病院の機能を維持し、身の丈に合った事業にすべきです。そのためには市内の医療機関と連携出来る場所に創られるべきです。そのためにも市内の小児科医や産科医などの声をきくべきですが、福岡市は全く聞こうとしませんでした。人工島移転ありきであったことの証です。

 そもそもこども病院人工島移転ありきであったことは、これまでの移転計画の経緯を見れば明らかです。こども病院移転計画は山崎元市長の時に人工島事業見直しを行い人工島事業が破綻していることが明らかとなり、銀行団に損失補償を実行するために検討が始まりました。山崎元市長は銀行団に決して損はさせないと念書書き、具体的に土地購入について場所と、価格、購入時期を銀行団に約束し、2003年には事業計画を大きく変更しました。この時の移転用地は5ヘクタールを計画していました。
 こども病院が市民病院と統合移転することに多くの市民が反対し、2006年の市長選挙では吉田前市長はこども病院人工島移転計画を見直すとして、こども病院を市民病院と統合移転を進める山崎前市長をややぶり市長に当選しました。ところが、こども病院の人工島島移転を見直すとした吉田前市長の結論はこども病院を人工島へ単独移転し、市長公約を破るものでした。吉田前市長は人工島移転を強行するために、現地建て替えは高い、人工島が安いと市民に説明しました。その根拠としてゼネコン3社にヒアリングした結果、現地建て替え費用は福岡市が調査依頼したPcWアドバザリー社の示した現地立替の見積もり額85億5千万円の1.5倍128億3千万円と説明し、人工島移転の費用は用地3ヘクタール、87億7千万円よりも高いと説明してきました。しかし、2010年5月に提訴した住民訴訟で、裁判所の嘱託調査により、福岡市はゼネコン3社の内2社はヒヤリングしていないこと、残り1社も1.5倍が適当と言っていない事実が明らかとなりました。福岡市ぐるみで市民及び議会にウソの説明をした来たのです。しかし福岡市はいまでもウソをついたことを否定しています。市民に信頼される市政とはとても考えられない状況が続いています。また、福岡市議会も裁判所の嘱託調査により福岡市がウソをついていることが明らかになったにも拘わらず、100条委員会を設置し真相究明を求める市民の声を拒否したことは恥ずべきことです。
 吉田前市長が公約を破ったことは、2010年の市長選で再び市民の批判を受けることになりました。当初こども病院人工島推進すると言う公約を途中で見直すに公約を変更した高島市長に吉田前市長が破れるという結果となりました。
 ところが再び高島市長は公約を破り市民を騙したのです。高島市長は人工島移転計画検証委員会を設置し、「移転経緯に問題があれば移転を中止する」と言っていましたが、いつの間にか移転地の是非の賛否を表明することにすり替えられました。移転計画検証委員会で福岡市がウソをついていたことを認めた時点で本来の検証は終わりであったものを、北川委員長は福岡市に反省を求めるして問題をすり替え、巧みな手法で市民を騙しました。加えて市長は医師会会長に移転後にこども病院跡地に医師会として小児科を開設するないしは西新の成人病センターに小児科を開設するかのような虚偽の発言をさせ、西部地区の小児医療空洞化問題についても重大なウソをつきました。未だに西部地区の小児医療の空洞化問題は解決されていません。
 繰り返される福岡市のトップが市民を騙す市政では、市民の信頼を得ることは出来るはずありません。誠に悲しむべき状況です。
 こども病院建設はPFIで行うとしていますが、建設費の9割は福岡市が直接負担する事業で、そもそもPFIと言えるのか、またなぜPFIでなければいけないのか、市が直接建設しても何ら変わらないのになぜPFIにするのか全く意味不明な事業です。PFI事業にした経緯に加え病院建設の入札を見ると、利権が絡む談合が疑われます。福岡市の受託業で重大な不正を働いた日本管財が何のペナルティも科せられず入札に参加できたこと自体が問題です。しかも競争がないシステムで、評価が低いにも拘わらず採用されたことに市民は全く納得できません。
 いま、福岡市では自利分権型行政改革が検討され、来年度から実施予定です。市民に納得と共感が得られる改革という視点から見ると全く信頼でません。市長の無責任さ、施策を進めてきた行政責任者の無責任さ、そして議会の無責任さが見えてきます。これで本当に行政目的である市民のための改革が出来るとは思えません。今議会で議決を求められている3件の請願は採択されなければ、福岡市議会は市民の負託を裏切ることになります。
 以上をもって討論を終わります。