破綻した人工島事業のツケは既に一般会計から様々に形で支出されています。このまま続ければ港湾整備特別会計の赤字補填に一般会計から繰り入れが行われることになりかねません。いっそう厳しくなる財政状況で、そのしわ寄せは市民サービスの低下と負担増につながります。だれも責任を取らない、全て市民が割を食ういまの制度を改めるためには、サンセット方式など事業途中でも中止する仕組みが必要です。地方分権が進む中で、市民の監視と議会の責任が問われています。
1、福岡市の財政(2012年度予算から)
○2012年度予算 1兆8417億円 前年比3.4%減(一般会計はほぼ横ばい)
市税収は頭打ちないし減少傾向
義務的経費は増額
社会資本の維持管理費の増大
道路、橋梁、水道管、下水道管、市営住宅、図書館、博物館、など
→財政硬直化
○市債発行残高 2兆4756億円(前年比126億円減)市民一人当たり171万円
毎年2000億円強の借り換えが行われており、金利が上昇すれば財政はたちまち苦し くなる
○財政調整基金 98億円(ピーク時942億円)
かろうじてこのレベルを維持している。いざというときには十分と言える状況ではない。
○臨時財政対策債の問題
地方交付税の約半額が起債による(2012年度829億円の内394億円が起債)
借金を借金で返す仕組み、借金が減らない構造になっている。
国債発行残高782兆円、その他の債務を合わせると958兆円(2012年2月)
このような状況で将来交付税が約束通りに交付される保証はない
2、人工島事業の破綻が一般会計を圧迫する
現在でも一般会計から人工島事業に多額の税金が使われている。
■まちづくりエリアにおける税金投入額実績
2010年度決算時まで
①用地購入(国/市)
中央公園用地 121.6億円
こども病院(土地のみ) 44.4億円
学校用地(土地のみ) 43億円
博多港開発第2工区(市5工区) 399億円
小計 608億円
②補助金(国/市)
住宅市街地総合整備事業 53.3億円
立地交付金 2.5億円
まちづくり交付金 0.1億円
小計 55.9億円
③公共事業(国/市)
道路(用地費+工事費) 124.3億円
下水道(用地費+工事費) 35.3億円
中水道 18.1億円
外周護岸 15億円
公園整備 54.3億円
小計 247億円
合計①+②+③ 964.2億円(借入金利は含まない)
■港エリア
青果市場用地 54億円
道路・下水道等整備
3、今後の問題
○人工島事業の見直し
●160億円の赤字
地価の下落 港湾地区 13万円/㎡→9.7万円/㎡
定期借地権の貸し付け
●最悪421億円の赤字
○2015年には399億円の返済
○企業立地交付金の増額
一件の上限30億円 人工島に4年間で総額260億円の予定
企業立地交付金条例は出来たが、上限額の記載はなく、運用は規則に委ねられている。
→増額の歯止めがない
○総合体育館の移転計画
市立体育館(吉塚)と九電記念体育館を廃止し、人工島に新総合体育館を移転建設計画
メインアリーナ2600㎡、サブアリーナ1700㎡ 駐車場500台 敷地5㏊
○様々な施設の建て替え
市民会館の建て替え、児童館の建て替え、少年文化会館の移設・建て替え
こども病院建設、地下鉄七隈線延伸400億円、五ヶ山ダム建設500億円
青果市場の建設 給食センターの統合移転
○こども病院の経営問題
毎年17億円の赤字→一般会計からの繰り入れ
赤字はこれだけで収まるのか