イギリスの総選挙の結果は保守党も労働党も過半数を取れず、第三党の自由党の支持が増えるという結果でした。小選挙区制による2大政党制は限界に来ているという指摘があります。2大政党制では次第に両党の違いがなくなる傾向が指摘されています。ブレア前首相の労働党は第三の道を提起してきましたが、そのベースはサッチャー以降の新自由主義を継承してきたと言われています。金融立国による経済立て直しが、見事に実体経済と乖離した投機マネーによってひっくりかえされました。そしてイギリス国民の規制政党に対する不審が今回の選挙結果と言われています。無党派層が増えつつあると言われ、新しい経済と新しい政治が求められていると考えられます。
今回の選挙ではイギリスの緑の党が1議席を獲得したと伝えられています。地方議会選挙では比例代表制が取られていることもあり、緑の党は地方議会では既にある程度の議席を確保していました。今回は小選挙区制の中で議席を獲得した意味は大きいと考えられます。ヨーロッパでは多党化が進んでおり、移民問題に見られるように右傾化との隣り合わせの危険な道ではありますが、緑の党のような政治勢力の存在がこれまで以上に意味を持ち始めています。
日本においても、昨年の総選挙における民主党の雪崩的な圧勝、そして来る7月の参議院選挙において民衆等の敗退が予想される中で、政治の混迷が広がると思われます。自民党が自壊し始め、しかし民主党も支持率が低下する中、国民の期待に応えうる新たな政治勢力が生まれる状況でもありません。イギリス総選挙の結果から、日本でも無党派層が増え多党化が進むと考えられます。既成政党とは異なる政治理念を持った政党が必要と考えます。日本が変わろうとしている中、成長主義を目指さない地域を基盤とする新たな経済政策が必要です。