福岡市の哲学を持たない環境政策

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 昨日「博多湾保全計画」の福岡市出前講座を受けました。”生物が生まれ育つ博多湾”が表題となっています。墓端は多様な生物が生息しており、漁場としても重要な場であるとしています。しかし、博多湾の水質は環境基準が達成できでいません。その理由として閉鎖性が強いこと、博多湾に流れる河川流域の人口が増えていること、更に基準が厳しいことを挙げています。近年では下水道整備が進み、福岡市内では99%を超え、流域の他自治体も併せると94%に達しており、河川の水質は良くなっているということでした。更に下水道局ではチッソ・リン除去のため下水の高度処理、下水道の分流化を進めているということです。
 この出前講座で福岡市の体質の問題が4点気付きました。第1点は博多湾の浄化に最も大きな働きをしている干潟について評価がないことです。赤潮発生の問題についても栄養塩類の流入問題が語られますが、干潟の消失は語りません。干潟消失が多様な生物の生息を消滅させ、生態系のバランスを崩し、赤潮発生の大きな要因なっています。博多湾の命の源は干潟にあり、人工島による東部海域の浅海域および干潟の減少が博多湾の環境破壊をしていることは語られません。現状追認で過去の反省はないままで博多湾の環境保全ができるとは思えません。
 第2点はこの博多湾保全計画では鳥類についてはほとんど触れられていないことです。その理由として「鳥は移動できるので問題」とことあえています。いま世界的に干潟が埋め立てられ、鳥類の生息地や渡りの中継地が消滅しつつあり、生態系の危機となっています。生物多様性を重視すると言うことを言っていますが、矛盾するものです。この背景には港湾局の意思が感じ取れます。人工島建設により、渡り鳥の飛来数が半減している実態を隠さざるを得ないこと、クロツラヘラサギの保護の問題を避けるためとしています。”生物が生まれ育つ博多湾”がキャッチフレーズなのに、クロツラヘラサギを始め野鳥の保護はしないという計画になっています。ご都合主義が見えてきます。
 第3点は生物多様性を重視すると言っていますが、いま河川に放流されている「ホタル」や「緋鯉」の放流の問題、遺伝子組み換え植物の生態系拡散など遺伝子レベルの生態系攪乱の問題については口をつぐんでいます。「ホタル」や「緋鯉」の放流は問題があるというものの、街づくりの関係で環境局の埒外(市民局の問題)という訳です。いま外来生物の繁殖による生態系破壊が問題となっており、その主たる理由はペットの放棄にあるといわれいます。ペットの放棄の背景には生態系に対する理解がないこと、つまり「ホタル」や「緋鯉」の放流が生態系攪乱になっていることをキチンと教育しなければ、ペットも生き物ということで安易に放棄する意識を助長するものと思われます。また、輸入菜種が輸送中に野外に散乱しており、遺伝子組み換え菜種が現に生態系に広がりつつあることについてもそれほど問題意識がないことも感じとれました。遺伝子組み換え植物の生態系拡散はどこが対策を取るのでしょうか、全く不明です。
 第4点は博多湾の環境保全は統一されて実施されていないことです。下水道局、農林水産局、港湾局、環境局でそれぞれのテリトリーでしか計画が立てられず、他局への口出しはできない構造になっていることです。特に港湾局の力が強く、事実上環境局は表看板にすぎないのが実態です。ここが最も大きな問題であり、福岡市の病巣・ハッキリ言ってガンです。福岡市政を変えるためには港湾局の解体と環境局の位置を強化しなければなりません。