クロツラヘラサギが人工島に約70羽ほど越冬しています。世界で2000羽ほどしか確認されておらず、人工島はクロツラヘラサギの貴重な生息場所です。人工島の埋立予算が今年も40億円ほどついていますが、埋立事業は明らかに破綻しており、ムダな埋立は止め、擬似干潟を干潟として復元し、クロツラヘラサギを保護することが市民の財産となります。JAWAN(日本湿地ネットワーク)から国際的な野鳥保護団体であるバードライフ・インターナショナルの報告で人工島に生息するクロツラヘラサギに対する危惧が表明されていることが知らされました。福岡市はクロツラヘラサギの保護と博多湾の自然復元をする責務があります。吉田市長が公約した「市民の財産となる見直し」とは何だったんでしょうか。欺瞞に満ちた公約だったといえます。
**********************************************
ゆらぐクロツラヘラサギの回復(JAWANのメールより転記)
03-04-2009
最新のクロツラヘラサギの包括的調査で、越冬個体数が2008年の2,065羽から2,041羽に減少したことが明らかになった。香港観鳥会(香港のパートナー団体)が調整を行い、日本野鳥の会(日本のパートナー団体)、中華民国野鳥学会(台湾のパートナー団体)、インドシナ・プログラム・オフィスの支援と、中国と韓国のバードウォッチャーからの情報を得て実施しているこの調査は、アジアにおける単一種の個体数モニタリングとしては最良のものの一つである。
1980年代後半、クロツラヘラサギは台湾南部と香港の二か所でわずか数百羽しか記録されておらず、それら全てが脅威にさらされていた。1999年には、クロツラヘラサギは、バードライフがIUCNの名のもとに作成している鳥類レッドリストでCritically Endangered (CR)と分類された。1994年、ドイツのローゼンハイムで開催されたバードライフ・インターナショナル世界大会では、最初のクロツラヘラサギ保全行動計画が採択され、中華民国野鳥学会(台湾のパートナー団体)が調整役をつとめることとなった。その後、実施に向けてのワークショップが、北京(1996年)と東京(1997年)で開催された。こうした動きは、体系的な越冬個体調査、渡りの衛星追跡、カラーリング(バンディング)装着の調整、クロツラヘラサギに対する認識の向上、そして中国、ロシアにおける新たな繁殖地の発見とフィリピンの繁殖地の再発見につながった。衛星追跡により、クロツラヘラサギの主な繁殖地が朝鮮半島の非武装地帯に位置していることが初めて明らかになった。
最も重要な越冬個体群としては、現在、台湾南部の曾文渓河口での1081羽、および香港と深圳の間に位置するインナー・ディープ・ベイ(マイポ)での335羽が確認されている。また、中国本土におけるバードウォッチング人気の上昇もクロツラヘラサギの分布と個体数に対する理解を大いに促進している。2000年初頭までは、中国沿海部のクロツラヘラサギの情報は大幅に不足していたが、現在は、福建省、広東省、海南省でも多くのクロツラヘラサギが越冬していることが知られている。
「クロツラヘラサギの危機ランクがEndangeredに下がったことは、アジアにおける保全のサクセスストーリーだ。さらに重要なのは、中国本土と台湾、北朝鮮と韓国などかつては対立していた国々がクロツラヘラサギの保全という共通の目標に向けて互いに協力するようになったことだ」とバードライフ・アジアの主任研究員であるシンバ・チャン氏は語る。
クロツラヘラサギの個体数が環境の収容能力に達しつつあるのかどうかについて結論を出すのはおそらく時期尚早であろう。調査が開始された1994年以来、1997年と1999年を除き、非繁殖個体数はほぼ毎年増加傾向にある。
しかし、クロツラヘラサギの非繁殖地は依然として深刻な開発圧力に直面している。例えば、日本の福岡湾に建設中の人工島内の疑似湿地は、日本での越冬個体群のうち最大規模の個体群を支えているが、この生息地は数年のうちに開発により消失することになっている。また、マカオには全世界個体数の2%に相当する40~50羽が越冬する小規模な沿岸湿地があるが、ここもカジノ開発の脅威にさらされている。
バードライフは、ボン条約のもと、クロツラヘラサギのための国際的な単一種行動計画を作成した。この行動計画は今年実施に移される。
(バードライフ・フライウェイ・プログラムからのお知らせでした)