「福岡市立こども病院の人工島移転の是非を問う住民投票を実現させる会」は条例案審議の議会に向けて各会派への申し入れ行い、各議員へアンケートを届けました。
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<アンケート>
福岡市議会議員の皆様 平成20年11月11日
福岡市立こども病院の人工島移転の
是非を問う住民投票を実現させる会
代表 佐野寿子
代表 西頭京子
地方自治法に基づき、先日10月31日(金)に有効署名数30,545筆の署名をもって「福岡市立こども病院の人工島移転の是非を問う住民投票条例案」を本請求しました。こども病院を人工島に移転させることについて市民の賛否の声を聞き、市政に反映させて欲しいと考えています。これから議会において条例案が審議されることになりますが、「こども病院」の置かれている状況および「住民投票」について議員皆様の考えをお聞かせ下さい。
なお、11月14日までFAXにてご回答をお願いいたします。いただきました回答については公表をさせていただきます。 FAX 092-807-6477
福岡市立こども病院の人工島移転の是非を問う住民投票条例についてのアンケート
1、住民投票について
a、民主主義の基本的な仕組み b、民主主義とは関係ない
2、3万人を超えた署名について、どのように受け止めているでしょうか。
a、重く受け止めている b、たいしたことはない
3、同封の資料を読まれて、どのようなことに関心を持たれておられるか回答して下さい。
複数回答可 番号に○をお付けください
①福岡市における産科医の問題点(全国的に深刻な医師不足)
②西部地区の小児2次医療の空洞化(市内における小児医療の地域格差・切捨て)
③病院経営の収支計画について(ずさんな収支見込)
④病院整備のあり方についての問題点(有料個室や職員給与の削減)
⑤交通アクセスと整備場所(アクセス・利便性)
⑥厳しい財政状況下での事業費の肥大化(市債高と現在の財政状況)
⑦病院の立地環境としてのたくさんの問題点(人工島は問題が山積み)
⑧当事者・関係者を入れない検討のあり方(現場の声を聞いて)
⑨独立行政法人化することの問題点(小児医療よりも経済優先?)
⑩PFI方式導入について(本当に病院経営の改善、市民負担の軽減になるのか?)
その他ご意見があればお聞かせ下さい
ありがとうございました。
(お名前 )
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<申し入れ>
本当にこども病院を人工島に移転させていいんですか?
こんなに多くの問題があります。市民の声を聞いて、もう一度検討しなおしてください!
福岡市議会議員の皆様
福岡市立こども病院の人工島移転の
是非を問う住民投票を実現させる会
代表 佐野寿子
代表 西頭京子
【問題点】
1、福岡市における産科医の問題点
われわれの同志である(行動をともにする)産科医の周産期の考え方を紹介します。
2、西部地区の小児2次医療が空洞化します。
3、ずさんな収支計画で、病院経営は大丈夫でしょうか。
4、病院の整備のあり方に問題があります。
5、患者の命を守るためには交通アクセスと整備場所が大切です
6、厳しい財政状況で、事業費を肥大化させて良いのでしょうか。
7、病院の立地環境としては問題が多すぎます。
8、当事者・関係者を入れない検討のあり方は問題です。これでよい病院ができるでしょうか。
9、こども病院を独立行政法人にすることは経営優先になり、社会的使命を担うことができるでしょうか。
10、PFI方式が本当に病院経営の改善、市民負担の軽減になるのか疑問です。
以下、各項目について具体的に説明をします。これをご一読いただきまして、18日(火)の議会における議案審議の検討資料にしていただきますようお願い致します。
1、福岡市における産科医の問題点。われわれの同志である(行動をともにする)産科医の周産期の考え方を紹介します。
■東京都の妊婦のたらい回し事件、「妻の死無駄にしないで」
10月4日、都内の8病院に診察を断られ、たらい回しにされた妊婦が脳内出血で死亡した。妊婦の夫が都内で会見し、お母さんが安心して子どもを産める社会になってほしい。「妻の死を無駄にせず、病院や都、国が力を合わせて(産科医療を)改善してほしい」と訴えた。一昨年の奈良県、先月の東京都の妊婦の「たらい回し事件」は、日本の周産期医療の崩壊として全国に報道された。厚労省の調べで、「たらい回し」は産科、麻酔科、新生児科の医師不足と新生児集中治療室(NICU)の空きベッドが無い事が原因と分かった。診療を断った8病院は、救急医療を専門とする都内の有名な総合周産期母子医療センターであった。最初に断った都立墨東病院は産科当直医が一人、しかも研修医であったことが判明した。舛添大臣は二人当直体制を敷く様に申し入れをしたが、6人の産科医では3日に一回の当直となり、事実上不可能である事を認めた。舛添大臣は慌てて来年から医学部学生を増やすと発表したが、一人前の産科医を育てるには10年以上かかる。医学部6年、卒後10年、つまり産科専門医が増え出すのは早くて16年先のことである。地方の産科医不足はもっと深刻で、産科病棟は閉鎖され産む場所がなくなっている。国は、この緊急事態をどう乗り越えるのか、現時点では厚労省にその対策は無い。そして福岡市も例外でない。福岡市民病院の産科病棟は産科医不足のため3年前より閉鎖されたままである。浜の町病院は来年春から1年以内に5人(7人中)のベテラン産婦人科医が辞める事がわかっている。しかし、九大は浜の町病院に欠員補充の医師は送れないという。残された2人の医師は、1日毎の当直となる。二人の医師を激務から救う道は退職しかない。
■平成20年9月、福岡市は市立こども病院を人工島に移転させ、そこに周産期センターを新設すると発表した。分娩施設を備えた立派なこども病院が出来たとしても、そこで働く産科専門医をどの様にして確保するのか、産科医不足対策は病院建設より難しい問題である。福岡市側は、こども病院の産科医の人数は当初4名と発表した。二人当直体制で二日に一回の当直、当直明けに日勤をする。福岡市は産科医を殺す気かと言いたくなる計画案である。二人当直体制で、14人の産科医の確保が必要である。人工島の周産期センターが市の計画通りに機能するかどうかは、産科医を何人確保できるかにかかっている。日本の産科医不足から予測すれば、給料を倍に上げても確保できる見込みは無いだろう。何故ならば、医学部学生が産科医、麻酔科医、新生児科医を志望しなくなったからである。医学生がこの3つの診療科を敬遠する理由は、医療事故が多い、激務である、救急医療で時間が束縛されるからである。
全国で産科専門の病院が閉鎖され機能の集約化が進む中で、人工島に周産期センターを新設するのは余りにも非常識・冒険と言わざるを得ない。市内の産科開業医のほとんどは利便性の悪い人工島ではなく、周産期医療スタッフの揃った九大・福大・徳州会病院、医療センターの4病院にハイリスク患者を搬送する。人工島の新病院に運ばれる患者は少なく、収益は減り、市の財政赤字は雪ダルマ式に増えるのは間違いない。新病院は出来ても、産科医がいない、患者がいない、周産期センターとしての機能は果たせない。今、福岡市にとって大事な事は、周産期センターをどこに建築するかではなく、周産期医療をいかに充実させるかである。
こども病院の人工島移転を強行するのであれば、今回の計画案から周産期医療部門を除外すべきである。人工島での周産期医療は機能せず、赤字が増えるからである。11月1日の産婦人科医会の臨時総会で市内の全ての産科開業医は、ドクターヘリではなく、ドクターカーを希望している事が分かった。人工島での周産期医療の新設を中止し、九大・福大・徳州会病院、医療センターの周産期部門を人的・経済的に支援をする方が、患者・産科医・福岡市にとって最善策と考える。福岡市は建物を設計する前に計画案を見直し、周産期医療(産科開業医・新生児科医・麻酔科医)の専門家を交え医師不足対策を早急に計るべきである。もし、人工島に周産期センターが出来たならば、福岡市の周産期医療崩壊だけでなく、福岡市の財政崩壊が始まると思われる。福岡市民が明るく、健康に過ごせるかどうかは、市議会議員の先生の考え方次第である。
2、西部地区の小児2次医療が空洞化します。
福岡市は西部地区における小児2次医療の提供体制の維持については、九州医療センター、浜の町病院に小児医療訂正の整備の要請をした結果、各機関に勤務する医師の診療担当(専門領域)の調整を含め、小児医療の確保に向けて、より具体的に検討することになったとして、9月に両病院を含めた協議会を設置して第1回の協議会を開催しました。しかし、その協議会では福岡市から具体的な患者の転院予測など示されず、協議ができないままに閉会しています。浜の町病院や九州医療センターがどこまで小児医療を充実できるのかわからないにもかかわらず、西部地区の患者へ対応をするとしています。医師不足の中、新こども病院、浜の町病院、九州医療センターともに、医療スタッフがそろうだろうかという状況のなかで、西部地区の小児2次医療体制が整備できるとはとても考えられません。このままでは西部地区が小児医療の空洞地区となり、小児医療問題の根本的な解決にはなりません。
3、ずさんな収支計画で、病院経営は大丈夫でしょうか。
福岡市の収支計画では、1日の患者数は420人としていますが、それは現こども病院の平均患者数1日300人弱の全てが人工島に通院することを前提としています。更にベット数が増えることでその半分の40人が患者として通院し、更に産科、脳外科、皮膚科の診療科目の増で50人、救急外来で30名の患者の増加を見込んでいます。しかし、人工島に移転した場合、現在の患者全てがその後も診療を受け続ける根拠はどこにあるでしょうか。現在の市内利用者のなかで、西区・早良区の患者は22~23%いるため、その半数が人工島に行かなくなれば患者数は10%ほど少なくなります。多くは近くの福大病院や浜の町病院などに行くと考えられ、1日の外来患者420人がという数字は極めて怪しいものです。
また、ベッド数が増えるから自動的に通院患者が増える根拠はどこにあるでしょう。救急外来についても、現在の百道浜の急患センターに来ている患者の半数がくると想定していますがそのようになるのか、またそもそも救急外来の体制ができるのか疑問が残ります。
ベッド利用率ついても、計画では90%としていますが、この数字も都合がよいように数字合わせしたもので、現状の70%~80%と同程度と見ることが妥当です。このように、患者数やベッド数など、都合が良いように数字を合わせているとしか言えません。加えて、個室を増やし、差額ベッド料1日8,000円から12,000円とすることでも、入院患者は減少し、計画通りいかないのではないかと考えられます。これらのことは将来の拡張性の根拠がないことを示しており、ずさんで過大な収支計画になっているといえます。このままでは立派な建物はできたが医師はそろわない、患者も来ない、赤字も膨らみ、負の遺産を残すという結果になりかねません。
4、病院の整備のあり方に問題があります。
新こども病院構想では個室を増やし、使用料は1日8,000円から12,000円となっています。これでは患者の負担が大きすぎます。また、個室を増やすことが本当に患者にとって良いのか疑問です。子ども(付き添いの親)同士の交流ができなくなる、子ども(付き添いの親)が隔離され孤独化する、看護の負担が増えるなど問題があります。
いつの間にか敷地面積は3.5ヘクタールに増えています。しかも、駐車場の面積は1.3㌶となっていますが、こんなに広い駐車場が必要でしょうか。立体化する、地下にするなど1.2㌶もの広さが必要とは考えられません。厳しい財政状況というにもかかわらず、用地費に不要な経費をかけすぎるのではないでしょうか。
肥大化した事業費は個室の増加と高額な差額ベット料として患者に転嫁され、職員の給与引き下げなどとしわ寄せされています。一体誰のためのこども病院なのでしょうか。
5、患者の命を守るためには交通アクセスと整備場所が大切です。
こども病院は2次医療・3次医療を行っています。患者は重症者が多く、緊急時に対応できるのかが一番の問題です。また、市内の小児科医や産科からの緊急時の搬送に時間はかけられないことは東京都の墨東病院の事例でも明らかです。時間との勝負であり、交通アクセスと距離、つまり場所が重要です。
患者家族に対して市は、緊急に病状が悪化した場合、人工島まで「がんばって連れてきてください」という姿勢です。親ががんばって連れていくことと、遠い距離の中、子どもの命がもつかということを混同しており、非常に危険な間違った考えをしています。
患者が小児であるがゆえ、通院する患者本人と家族、入院時付き添う患者家族にとっても交通アクセスは重要な問題です。中西南部から人工島への病院に通うことが出来ない、もしくは困難になることによって患者数が維持できなくなり、病院経営にも影響がでます。こども病院が中央部にあることで全市の市民の受け入れができるのです。建て替え用地は福岡市中央部にもあります。現地建替えも可能、六本松はまだ交渉余地がある、当仁中学跡地は市有地で最も安上がり、田島寮跡地も可能です。平和台という声もあります。
福岡市は人工島には鉄軌道をつなぐことを断念しました。自動車やバスしか利用できなくなり、患者・家族にとっては大変不便になります。都市高速が日常的に利用する公共の交通機関と言えるのでしょうか。また、福岡市は交通アクセスの改善策として高速道路を人工島に接続させるとしていますが、目処が立っていません。費用も300億円とも400億円とも言われており、財政負担が心配されます。見通しがないままに計画を進めることは大きな問題です。
6、厳しい財政状況で、事業費を肥大化させて良いのでしょうか。
福岡市の市債発行高は依然2兆6千億円ほどあり、厳しい財政が続いています。アメリカの住宅バブル崩壊に端を発した金融恐慌は世界全体に影響を及ぼし、世界不況が始まりました。トヨタの減収・減益に象徴されるように日本経済のこれから景気後退の局面を迎えます。福岡市も例外ではありません。市の財政は一層厳しくなる一方で、不況による社会的経費や少子高齢化が進む中での福祉政策など必要とされる経費は一段と増えることになります。このような状況で、果たしてこども病院の事業費を肥大化させて良いのでしょうか。
当初こども病院の見直しにおいて経済性を優先する言っていたにもかかわらず、結局、人工島等への移転の事業費は150億円と現地建替えよりも大幅に増え、六本松移転と変わらない額に膨らんでいます。敷地面積もいつの間にか3.5㌶に拡大しています。加えて、ずさんな収支計画により病院経営の赤字を更に増やし、このままこども病院を人工島に移転させれば一層市民負担を増やすことになります。
7、病院の立地環境としては問題が多すぎます。
その1、新こども病院移転予定地の環境問題として
①西側は6車線の港湾道路に面しています。コンテナを運ぶ大型トラック、青果市場へのトラックなどによる騒音、排気ガス、ほこりなど環境に悪いことは明らかです。
②周辺道路も志賀島や西戸崎方面の行楽客の自動車、奈多方面からの自動車による排気ガスや騒音、渋滞などの問題が生じます。既に現在でも土曜日・日曜日は渋滞しています。
③港湾道路を挟んだ西向かいは国際コンテナ埠頭になっています。24時間稼働する港湾施設となっており、荷役作業による騒音や港湾施設の光などの問題があります。
④人工島は航空路の真下であり、医療機器が飛行機の影響を受け、検査や手術を一時中断しなければならない恐れがあります。
⑤こども病院移転予定地周辺では基準以上のヒ素が検出された土壌が埋め立てに使われています。表面は別の土で覆っていますが、粉塵として摂取する恐れがあり、特に乳幼児は心配です。
⑥こども病院の患者の病状から、退院前に公園に散歩に行けるのは一握りの患者であり、家族の付添いなしには行けません。外出許可が出るくらいなら外泊する方が現実的であり、乳幼児や心臓疾患の人には大変危険な毒を持つセアカゴケグモもいるような場所が良い環境とは言えません。それよりも、抜群の療養環境とは、「家族の励ましやサポートがしっかり受けられる」立地にあることです。
その2、港湾施設周辺は海外からの病害虫侵入の危険があります。
昨年人工島のコンテナ埠頭で熱帯に生息する毒蜘蛛のセアカゴケグモが発見されました。1年を経過しない9月には人工島、香椎パークポートの埠頭周辺でセアカゴケグモが700匹以上発見され、熱帯の毒蜘蛛ハイイロゴケグモも発見されています。新こども病院予定地に隣接する中央公園でもセアカゴケグモが見つかっています。日本の8つの港湾では致死率が高いハンターウィルスを持つネズミも見つかっています。港湾地区周辺は海外からの病害虫が侵入する危険があります。
その3、地震が起こった場合に本当に大丈夫と言えるでしょうか。
①3年前の福岡県西方沖地震では人工島は液状化現象が起こっています。埋立地という新しい地盤では、病院が倒壊することはないでしょうが大きな影響を受けると思います。
②阪神淡路大震災の時には神戸市のポートアイランドは橋が落下し孤立化しました。人工島も橋だけであり、地震時には孤立化が危惧されます。
③地震が起こった時、液状化により道路が遮断される、橋桁が落ちるなどが危惧されるような場所が、災害時の拠点病院として安心できる場所といえるでしょうか。
8、当事者・関係者を入れない検討のあり方は問題です。これでよい病院ができるでしょうか。
最も影響を受ける患者・家族の声を聞いていないことは問題です。遠くなること、アクセスが悪いことは、患者が病院に通うことが困難になり、また付き添いや面会の家族にとって大きな負担になります。このことは患者家族のエゴではありません。現に利用している患者・家族の声を聞き、意見を取り入れ、、一緒に考えていかなければいい病院はできないと考えます。こども病院をよくしたいという気持ちは皆同じだと思います。だからこそ、私たち患者・家族の声を聞いて欲しいのです。同時によりよい病院にするためには現場の声をキチンと聞く必要があります。しかし、今回の新病院構想(案)は、現場の医療従事者の声が反映されていません。
これまでこども病院は2次医療・3次医療を担うことで市内の小児科医・産科医を支えてきました。よりよい病院にしていくためには市内の現場を担う医師との協力が必要です。小児科医や産科医が減っているという深刻な状況ではなおさら市内の医師との協力が必要です。支えあうという観点のもとに立って、市内の小児科医や産科医の方たちとの協議の場を持ち、よりよい医療体制を作ってください。
また、今回の人工島への移転計画は候補地について十分な検討がなされたとは言えません。「老朽化している。建て替えが急がれる。」という理由で現在地での建て替えや当仁中跡地など整備の可能性を残したままの断念であり、その可能性は検討さえされていません。六本松九大教養部跡地についてもいまでも交渉の余地は残されていると思います。建て替え場所については、今ここで立ち止まり、きちんと検討して市民の財産になるものにすべきです。
9、こども病院を独立行政法人にすることは経営優先になり、社会的使命を担うことができるでしょうか。
独立行政法人化により、経営優先になることが危惧されます。民間では不採算部門で公共でしかできない医療を維持できるのか、果たして高度な医療水準を維持できるのか危惧されます。公共性が薄れ、安心と安全を保証してきた公立性を支柱から外すことにつながりかねません。私たち市民と働く医療スタッフを繋いでいる公共性という絆を切ることになってはいけないと考えます。
人工島でのこども病院開院は2013年度に計画されていますが、2010年度にこども病院を地方独立行政法人に変えると構想されています。この変更は、市民の健康増進を図り、医療を施すのは地方自治体としての福岡市の責務だとするこれまでの医療行政を180度転換させるものです。
1999年の法整備で全国的に始められた、事業の外注化(アウトソーシング)の流れに乗っています。しかし、この「独法化」には数多くの問題が指摘されています。その一つは、病院経営が自治体の財政の効率化と経費削減の目標になるというものです。その結果、成果主義が取り入れられ、医師が非常勤化され、夜勤専門の医師や看護師が採用されたり(二交替性)するようになると指摘されています。不採算部門の切捨てに繋がる制度なのです。市長と病院長の権限が強くなり、現場での集団的医療に綻びが生じることになることも心配されています。
検証すべき先例が少ないからこそ、公立病院の医療現場から「働き続けられる安心と働き甲斐」を、また患者や市民から「だれでも公平に受けられる安全と安心の医療」を奪うことになりかねない「独法化」の導入は慎重に取り扱われるべきだと思います。
10、PFI方式が本当に病院経営の改善、市民負担の軽減になるのか疑問です。
すでに福岡市は「タラソ」で失敗しました。福岡市のリスク分析が十分できていなかったことや福岡市と特別目的会社とのリスク分担ができてなかったことなど様々な問題がありました。
日本のPFI法は日本国外のPFIでは禁止されている施設整備費の割賦払を禁止していないばかりかむしろ割賦払いによる施設整備を促進しており、財政悪化の歯止めをはずした悪法となっていると指摘されています。割賦払いの契約を締結すると公共には施設整備費を全額支払う義務が生じ、施設の瑕疵担保リスクを超えた不具合リスク(例えばサービスの低下など)を民間に移転することが出来なくなるというデメリットが生じます。そして、公債よりも資金調達コストの高い民間資金を利用して施設を整備する合理的な理由がなくなります。PFI事業は10年以上に渡る長期での計画を設定し入札を行います。そのため入札後は事業が設定された期間の金利を税金で払い続け、公債による資金調達コストよりも民間資金調達コストが高い分だけ税金の無駄遣いになります。
また、特別目的会社が施設建設及び施設管理に伴う様々な事業を行います。特別目的会社の構成民間企業のみが利益を得て、雇用状況は特別目的会社の構成企業から下請け、孫受け状態で現場の労働者は低賃金になります。適正な雇用環境を維持できるかは疑問であり、サービス低下の問題も残ります。こども病院のPFI事業化は大丈夫でしょうか。
以上、さまざまな新病院構想、こども病院移転に関する問題点を述べさせていただきました。
皆様には、この資料をよくよくお読みいただき、実際に犠牲者となるのが子どもたちであること、
福岡市民であることをご理解いただき、お考えいただきますようよろしくお願いします。