病院事業運営審議会報告

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 この日の病院事業運営審議会は答申のまとめをすることでした。答申をまとめるにあたってこども病院を人工島に移転させることの疑義が出されていることについて、市は一切無視する態度を示しており、諮問がアリバイ的になされたことを改めて示したいます。何故こども病院を人工島に移転させなければいけないのか、その説明は一切できていません。人工島移転ありきの諮問であったことがこの審議会でも明らかであり、吉田市長が市民に対する説明責任を果たそうとしていないこと、多くの市民、利用者、小児科医などの専門家の声を無視して、「銀行に破損をさせない」という念書に基づいてこどもを犠牲にしようとしていることは許されることではありません。出席者からの報告を載せます。

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病院事業運営審議会
日時 2008年5月30日(金)

審議会は報道席、傍聴席友にほぼ満席の中でおこなわれました。

諮問事項1
 子ども病院。感染症センターの機能のあり方について
・感染症センターは大学や国立病院が担うことが望ましく、速やかに県等関係機関と協議する。

・小児高度医療と小児地域中核医療を担う。

・新病院は小児医療に産科を加えた周産期医療に特化が妥当。ただしハイリスク妊婦については大学病院経 搬送する等連携が必要。

 ここで宮崎副会長(福岡市医師会長)からは瓦林委員(福岡大学副学長、産科?)に対して「周産期医療を整備するんですよね」との確認がなされたが、瓦林委員からは「産科や麻酔科の医師を十分に充足できるとも限らないので、現実的に考えて、大学等の医療機関とのネットワークで対応すると考えた方がいい」との発言があった。(すべて自前で対応するのは現実的に無理との判断。)

・「3留意事項」が項目として立てられ、
(1)子ども病院移転後の対応
  西区、早良区の2次医療体制に空白に対する市の対応責任
(2)新病院の搬送体制の充実等
  新病院のアクセスの向上
(4)その他の意見  
  小児2次医療の空白が生まれること
  小児・周産期医療は時間が大切であるが(新病院の)整備場所については再検討を要望する意見があったこと等が記されていた。  
 ここで共産党の中山委員(市会議員)から、「諮問にない新病院の整備場所については答申に盛らない方がいいのではないか」と意見が出た。これに対し水田会長から「審議会の始めの頃は整備場所については触れるつもりはなかったが、マスコミで取り上げられ、また市民から多くの声が届けられる中で、これに触れないわけにはいかない。これらの声を受けて市にしっかりと伝えるためにはむしろここでしっかり書かなければならない。」との発言があった。
 また井上委員(福岡県小児科医会長)から「これまでのど元につかえていたが、ここではっきりと表明したい。」とし、西部地区の小児2次医療の変化への危惧と新病院(人口島への移転)へのアクセスの不備?についての危惧が表明された。
 この「3留意事項」では、まとめとしてこの審議会が新病院を人工島に移転することを前提にしていないことを示すために、
(1)のタイトルを 「子ども病院が現在地以外に整備される場合」に変更し、
(2)の文中の「移転にあたっては」を「移転する場合は」に変更した。 

諮問事項2
 福岡市民病院のあり方について
・築19年で、また単年度収支の赤字も少なくなっているので、地区中核病院として市立で当面運営
 市民病院の院長からは地方公営企業法の縛りで、有効な人事政策がとれないのでこれ以上の経営改善は厳しい。定員の縛りのない独立行政法人化を希望する旨の発言があった。

諮問事項3
 市立病院の経営形態のあり方について
・非公務員型の地方独立行政法人が望ましい。病院の業績に応じた給与制度の導入の検討。ただし先行の成功例が少ないので最初の中期目標期間終了後に改めて経営形態については検討する。
 ここでは共産党の中山委員から病院で働く職員のモチベーションの低下や収支の赤字の原因を経営形態のみに求めることの懸念が表明された。
 松野委員(市議会議員)からは市職労との交渉の保障の確認がなされた。
中山委員は改めて地方独立行政法人化を急ぐことへの懸念を表明した。

 審議の終了を受けて市の保健福祉局の野見山局長は新病院創設の計画の早期策定への着手を表明した。答申に新病院の整備(移転)場所についての市民からの疑問の声を反映した表現を盛り込むことになった件については全く触れなかった。