オンブズマンによる政務調査費返還訴訟
昨年10月3日に、市民オンブズマンのメンバーである児嶋研二他5名により福岡市議会の政務調査費に対する住民監査請求がなされました。監査委員会は11月28日付で棄却、今年1月20日に住民訴訟が起こされています。提訴の内容は平成18年度の政務調査費のうち、目的外に使用されたと思われる1億1,300万円について、吉田市長が各会派および議員員に返還させることを求めるものです。訴訟は約2年程度で終了する運びとなっているようで、住民訴訟で市長が敗訴すれば、市長は60日以内に返還請求することになります。
福岡市における政務調査費の経緯
政務調査費は、国会議員、地方議会議員の調査活動費として支給されていましたが、地方議会議員については法の定めがないままに支給されていました。実態としては使途は不明確で、第二給与とも言われ来ました。福岡市においても私が議員になった平成7年にある議員が実際に給与として受け取っていたと告発があり、議会での使途についての取り決めをしました。その時点では与党義委員の反対により領収書の添付の義務を課しませんでした。
全国的に政務調査費の使途が問題となり、平成12年に地方自治法が改正され、地方自治法に政務調査費の支給ができることが加えられました。福岡市では地方自治法改正を期に条例を作り、レクレーションや飲食に使用禁止、選挙活動の使用禁止、私的使用禁止など具体的に使途についても細目を規定しました。しかし、領収書の保管義務はありましたがこの時点でも報告書には領収書の添付を課していませんでした。平成16年に議員交付分につき1件5万円以上について添付に改正、平成18年には回は交付分にも1件5万円以上について報告書に添付となりました。
国会議員の政治活動収支報告書については1円以上の領収書の添付が義務づけられました。私はこれまでも報告書には領収書を全て添付すべきと主張してきましたが、今後報告書には全ての領収書を添付する動きになると思われます。
今回の訴訟について
今回、政務調査費で認めている事務所費の悪用、期末に多額の切手購入するなどの駆け込み支出が問題となりました。今回の住民訴訟は、改めて議員特権の問題がクローズアップされ、議会を透明化させるものとしてはいい機会と考えます。私は政務調査費は必要と考えています。議員本来の果たすべき議員立法等の議員活動を促進し、全てをオープンにすることで市民に議員がチェックを受けるべきでます。財政の問題を言うならば議員報酬を削減し、政務調査費を交付することで、市民のために議員が働く環境をつくるべきと思います。
私個人の説明責任について
これらに加えて、今回の提訴では返還理由は大きく二つあります。一つは補助員の雇用について、補助員の業務は調査活動以外の活動をしていると思われるとして、補助員への支出の1/2は不当な支出として一律に返還をもといること、二つは1件5万円以下は領収書が添付されていないので、1/2は目的外支出考えられるとして返還を求めていることにあります。
私は領収書を全て公開の上、キチンと検証の上、疑義があれば説明する用意があります。補助員の雇用については、月額10万円を支出していました。内訳は1日4時間、時給千円、週5日で1ヶ月22日の勤務を想定し、交通費を含めた額としていました。業務内容は、議会資料の整理、新聞等資料の整理、議会質問のための資料づくりを依頼していました。平成18年度は福岡市が行ったアスベスト工事の不正事件を追及しており、市のアスベスト工事の資料整理を依頼していました。また、福岡市の西部地区の下水道工事の当局を巻き込んだ談合疑惑を追及しており、その資料整理も依頼していました。アスベストに関する質問や、下水道談合疑惑の質問は会議録にあります。私は補助員に対する返還義務はないと考えています。
また、1件5万円以下の領収書についても保管しており、調査活動や資料購入、事務費等であり、不当な支出にはあたらないと考えており、領収書公開の上、検証して頂いた意図考えています。そこで疑義があれば当然返還する責任はあると思っていますが、十把一絡げで返還請求をされても納得がいきません。
住民訴訟では議員は訴訟参加人になれますが、個人で弁護士を雇う資力はなく、また、個人で参加人なるには仕事の都合上大きな障碍があります。しかし、このまま弁明ができずに敗訴するならば納得がいきません。しかし、何とか参加人として個人で訴訟に参加し、説明責任を果たしたいと考えています。