人工島関連予算を承認しないことを求める請願を提出

Pocket

 3月3日に人工島関連予算を承認しないことを求める請願を提出しました。予算に関わることなので3月7日の第3委員会で審査されます。

 吉田市長は2008年度予算も従来通り事業を進める予算を計上しました。この間の動向を見ると、山崎前市長と何一つ変わらないのが実態です。「人工島を市民の財産になる見直しをする」その中身は何もありませんでした。見直しの検討をすることで、「これまで来たから仕方がない」という市民のあきらめを見透かしたかのような姑息な選挙戦術であったといえます。マスコミも同じように市民のあきらめを誘うかのようにほとんどこの問題の本質には触れません。「ここまで来たのだから」という理屈を認めれば、ムダな公共工事は止まることもなく、その責任の所在も問うこともなく、同じことが繰り返されます。今回の人工島検証・検討結果は一口で言えば、問題の先送りであり、責任隠しでしかありません。「埋立を止めればこれまでの費用の回収ができなくなる」「人工島の将来がなくなる」といっていますが、そんなことはありません。

 埋立を続ければ費用の回収ができる根拠はどこにあるのでしょうか。住宅数が世帯数を大幅に上回っている現状、少子高齢化が進んでいる状況、人口減少が始まっている現状(福岡市もまもなく減少が始まる)、産業構造が変わり、会計制度が変わり土地需要が減少している現状、平均所得が低下している現状、米住宅バブルがはじけ政界経済が大きな曲がり角となっている現状、資源・エネルギー問題や環境問題で世界経済が減速せざるを得ない現状、そして日本各地の埋立地の土地処分が進んでいない状況を見れば、埋立を続けることに展望があるとは思えません。

 現状からもう一度見直しをすれば、埋立が終わっていないところに市民の森と干潟を再生することにこそ将来の展望が見えてきます。これ以上ムダな税金は使わない、博多湾の自然を復元することが市民の財産になります。これまでかかった費用の問題(回収をどうするのか)をキチンと議論することが市民に対する市および議会の責任です。誤った方針を出し、それを追認してきた歴代市長および市、議会が責任を取るべきです。厳しい財政状況で、これ以上ムダな是金を使うべきではありません。また、港湾の現状見て港湾整備計画も抜本的見直しが必要です。

 

人工島関連予算を承認しないことを求める請願

【請願理由】

2月、福岡市長は2008年度一般会計予算を市議会に上程しました。そのなかには人工島関連予算111億8465万円が含まれています。港湾局計上分として基盤整備事業費81億8400万円、事業推進関連経費8531万円、環境監視等経費の9742万円、他局計上分として28億1792万円となっています。これとは別に、博多港開発株式会社への緊急貸付金として100億円が設けられており、計211億円の巨費となります。

人工島事業にこのような巨費を投入しなければならない理由は全くありません。また、投入すべきではありません。

市長は市長選挙で「人工島は、市民の財産となるよう大胆に見直し、現実的解決を図ります。」と公約しました。しかし、今回の予算は売れない土地を今以上に整備するもので、市民の財産にはなりません。将来に借金だけを残すだけのものです。昨年行われた市の人工島の検証・検討では、拠点形成や産業集積を牽引する企業立地の見込みが不透明性、市5工区におけるエリアの将来像や産業集積拠点の土地利用の方向性の不明確性、土地処分の進捗に依存する事業収支の安定性への懸念の三点が課題とされました。しかし、これらの課題を解決する方針が示されていません。

世界経済の先行きが不安定なときに、人工島を造成し港湾施設を急造する必要性は全くありません。また、深い水深を必要としないローロー船就航が増えている現状のなかでは、水深15メートルのコンテナ船用の岸壁・泊地やターミナル・ヤードの整備予算は不要と言わざるをえません。岸壁と関連施設を商船以外の大型艦船によって利用される危惧も生じます。こうした港湾機能整備事業は70年後にしか採算が採れない計画となっています。更新費を算入すれば収支バランスが採れるのはもっと先になります。これは需要に比べて過剰な投資であることを意味しています。このような採算が採れない事業の基盤整備に税金を投じることは許されないことです。また、博多港開発株式会社への融資は同社と融資銀行団で決済すべきであり、福岡市が債務を負う性格のものではありません。同社への緊急貸付金100億円は予算計上すべきではありません。

一般予算全体は前年比1.5%の減少、新規市債発行高も57億円の減少となっていますが、市債発行残高は約2兆6300億円で市民は約190万円と高い負担を強いられています。こうした財政状態の下で不要・不急の人工島事業に税金を遣い、かえって福祉や教育など市民生活関連予算を圧迫する予算案を市議会は承認すべきではありません。

【請願項目】

2008年度の福岡市一般予算及び港湾特別会計予算のうち人工島関連予算を承認しないこと。

福岡市議会

議長 川口 浩殿

【請願者】

福岡市早良区有田5丁目17番7号 博多湾会議代表 荒木龍昇

福岡市東区奈多1丁目6番13号 博多湾会議事務局長 脇 義重