今朝の新聞で、人工島に建設予定の老人施設が中止となったことが報道されました。購入予定の原弘産は人工島「照葉」地区の2.1㌶を購入し、特別養護老人ホーム(80室)、介護付き有料老人ホーム(75室)、ユニバーサルマンション2棟(199戸)を計画していました。中止の理由は博多港開発と土地の購入価格が折り合わなかったと言うことです。土地売却公募時の価格は11.5万円/㎡~13万円/㎡、総額25億8千万円を見込んでいたと言うことですが、購入予定の原弘産は8万円/㎡代まで価格を下げるように求めていたが、博多港開発が応じなかったということです。なぜこんな事態になったのか、それには伏線があります。
この博多港開発第1工区(照葉地区)の土地処分価格は、道路は82,500円/㎡、住宅地は7万円/㎡で売られていました。住宅地の土地処分が進まないため、博多港開発が埋立原価12万円/㎡(本当は17万円/㎡。福岡市が道路や下水道、公園の整備を公共事業として税金を使い、博多港開発の埋立費用を下げたことによる)を大幅に下回る価格で積水ハウス・福岡地所グループに売ったためです。その結果、博多港開発はこの年の決算は50億円の赤字となっています。損をしても土地処分を行い、住宅建設をしてもらわなくては残りの土地処分が進まないためです。福岡市は博多港開発の住宅地が売れるように、家も建たないうちに学校用地を買い、こどもの数が確定する前に開校を先に決め建設を始めています。また、住宅建設を促進するために、住宅市街地整備総合支援事業に指定し、一戸当たり300万円程度の補助金が出されています。
今回原弘産が地価の引き下げを求めたことは、隣接する土地の価格を見て博多港開発は足元を見られたと言えます。以前にも同じような老人施設の計画が立てられ、突如計画が中止となっています。土地処分を進めるには、土地処分単価を大幅に引き下げるか、トリプルタワーのケースのように、容積率を大幅に緩和して大規模の建築物を造れるようにして12万円/㎡で売るしかありません。今回のケースも、12万円/㎡では事業の採算が合わないと言うことであり、土地処分の見通しは極めて難しいことを改めて示しています。これは最早都市計画云々の問題ではなく、買いたたかれた上に異様な建築物の集団ができる可能性を示しています。
これを見ても、何が何でもこども病院を人工島に移転させたいという力が働いていることが見えてきます。まして市第5工区の埋立事業は破綻することは明らかです。人工島の検証・検討結果がいかにデタラメか、今回の老人施設の建設中止が物語っています。今ならまだ引き返すことができます。