福岡・九州オリンピック招致に係る予算流用損害賠償請求訴訟は敗訴

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 4月27日はわすか数分で主文を述べて裁判は終わりました。判決は
住民監査請求していた脇さん以外の6人は原告適格がないとして却下、
脇さんについては請求を棄却というものでした。

 請求の棄却の理由は
 1、項・目については市長の予算調整権があり、議会が2005年9
  月にオリンピック招致決議及び2006年度予算におけるオリンピ
  ック招致予算を議会が議決していることから裁量権の逸脱又は乱用
  はないとしている。
 2、オリンピック招致に多くの市民が反対していたことやオリンピッ
  ク招致を口実に須崎埠頭の再開発を進め福岡市の財政を逼迫させよ
  うとしたことについても、議会が招致決議や招致予算を承認してい
  ることから、予算流用は裁量権の逸脱又は乱用ではないとしている。
 3、9月の時点で流用をし始めたことについて剰余が確定していない
  ところで流用することは違法という主張については、決算剰余がで
  たときに流用できるという規定と年度途中での流用とは関係ないと
  している。
 4、オリンピック招致の結果福岡市の財政に大きな負担を生じさせる
  ので、補正予算を組むべきであったということについては、予算執
  行について市長に裁量権が認められているので違法ではないとして
  いる。

 以上の判決から読み取れることは、議会が招致決議を行い、招致予算
を承認していることから裁量権の逸脱や乱用はないとしています。多く
の市民が反対していたにもかかわらず招致を進めたこと、また福岡市の
財政に大きな影響があるにもかかわらず補正予算を組まなかったことに
ついては、不当であっても議会の承認があるので違法ではないという機
械的に判断したことは、市長の予算調整権を盾に思いつきで何でもでき
ることを認めることであり問題です。また、市民の意思を無視した議会
の責任が問われなければならなりません。

 今回の市長選挙で山崎前市長を交代させることができたことは、オリ
ンピック招致反対運動の一つであるこの裁判の成果といえますが、オリ
ンピック招致を進めた議員の責任が問われていないことは問題が残りま
す。また、今回の判決を見ても、形式的な解釈しておらず、司法の限界
を感じました。改めて、オリンピック招致のように市民生活に大きな影
響を与える事案については住民投票で決める条例が必要です。これから
も、市民の声が市政に反映出来る仕組みづくり、市民自治基本条例や住
民投票条例の実現に向けて活動します。