2月・3月議会報告

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2月議会反対討論
 議案22号は百道浜中学校用地2.3ヘクタール余を学校法人高木学園に56億円で売却するというものです。この土地分については議会の諸議員の質疑で様々な問題が指摘されました。事業内容は教育・福祉およびその支援施設の病院となっていますが、病院の延べ床面積は全体の73%を占め、ベット数199床もあり、病院が事業のメインと考えられます。福岡市医師会はこの事業実態について百道浜地区には医療施設は充分にあり医療機関の必要性はなく、公募条件に違反しているのではないかと指摘しています。子ども病院と市民病院を統合移転させるとし、その場所を人工島にした理由は地域医療のバランスを理由に挙げています。ところが今回、医師会が地域バランスが崩れ問題と指摘しているにもかかわらず、このことには何も答えていません。まさにご都合主義というしかありません。
 そもそも百道浜の街づくりの視点から見ても、第一種中高層住居専用地区に11階もの巨大な建造物を建てることは、住民の方が指摘しているように眺望や景観など問題があります。もし本当に福祉、医療関係の教育施設が主たる事業となっているのであれば、人工島に医療福祉関連施設を集積させるという健康未来都市構想に基づき、市は積極的に人工島に誘導すべきと考えられます。このような一貫性がない土地処分を見れば、市は中長期的なまちづくりを考えているとはとても考えられません。
 また、百道中学校ではこれまでの推計以上に児童数が増え、分校が望まれています。児童の教育環境が悪化していることは事実であり、少人数学級が求められている中、分校が必要な状況が考えられ、このままでは新たな中学校用地が無くなるということも指摘されました。教育長は繰り返し敷地面積が平均の1.4倍
あることを理由に分校しなくてもよいと答えていますが、児童の教育環境にどう責任持つのか答えていません。
 土地処分の公募のあり方についても、用途の規制をすることで事実上学校法人高木学園および医療法人社団高邦会しか応募できなかったのではないか、2.3ヘクタールの土地を一括処分する必要があったのか、また、土地の価格についても周辺の施設に比して安いのではないのか、市長は高木学園が経営する医療福祉学院学院長である山崎市長の後援会代表に便宜を図ったのではないかとの指摘がなされています。
 住民や医師会との話し合いができていないにもかかわらずどうして土地を売り急ぐのか、本会議の質疑を通して見えてきたことは、市長が港湾特別会計の補強にとって重要だと繰り返し答弁したように、破綻した人工島事業を進めるために土地処分ありきということです。しかも、2.3ヘクタール余の土地を一括して17年度内に処分ができるところに売る、56億円という多額なお金が出せるところが市長の後援会とのつながりで実現したということではないかと考えられます。市民や医師会のことは二の次、土地処分を優先させ、一貫性がない、ご都合主義の理屈をつけて高木学園に買ってもらったということしか考えられません。また、そこにつけ込んで、教育施設の支援施設と称して大規模病院を建設する、まさに映画の水戸黄門に出てくる悪代官と悪徳商人がかわすせりふを思い起こさずにはおれません。破綻した人工島事業を進めるために、地域住民や医師会など市民の声を無視して土地処分を行うことに強く反対します。

 次ぎに議案第20号権利の放棄については賛成するものですが、意見を述べます。
 議案第20号はサンピア博多が破綻し、民事再生法に基づく再生計画案に同意するに当たり、市の債権3億4千万円余を放棄するものです。破綻処理そのものはやむ得ないものと考えており、反対する訳ではありません。しかし、破綻に至った責任、平成10年の時点で破綻が明らかであったにもかかわらず3億4千万円余を貸付け負債を増やした責任について、市長の責任は明らかにされていません。また、破綻に至った理由がバブル経済の破綻、近隣商業施設の影響等を挙げていますが、本当にそれだけなのか、サンピア博多の破綻についての反省ができているとは考えられません。
 そもそも出資比率5%しかないにもかかわらず、経営経験がない市OBを社長に出し続け、市幹部職の天下り先にしてきたことが破綻のベースにあります。ベイサイドプレイスが整備され運営し始めた平成3年は、バブル経済は破綻し社会経済状況は大きく変わり始めた時期でした。福岡市が貸付を行った平成12年はサンピア博多の経営状況を見れば抜本的な対策を打つべきであり、この時点での会社の整理が検討されるべきでした。ところが、新たな貸付を行うことで延命させ、市民の負債を増やしました。これはまさに第三セクターの官民もたれ合いの典型的な構造です。この構造にメスを入れることなく事態を悪化させた責任は大変重いものです。この構造は大阪市のワールドトレードセンターやアジアトレードセンターの破綻処理での検証でも同じことが指摘されており、全国各地で同じ過ちを犯しています。
 問題は三セクの破綻を単にバブルの崩壊による社会経済状況の変化や近隣商業施設の影響にしていることです。経済構造は大きく変わり、少子高齢化が進み、更に人口減少が始まる状況が見えていたにもかかわらず、人口の増加と経済成長の継続を前提に都市経営を考え、抜本的な都市経営の骨格を見直さなかったことにあります。この過ちは人工島事業に同じように現れています。土地需要はなくなっているにもかかわらず、強引に事業を進め、ゼネコンや銀行に損をさせないために税金をつぎ込み、博多港開発第2工区の直轄化までしました。市債発行残高2兆7千億円、市民一人当たりの借金は200万円、財政調整に使える基金残高は30億円程度、事実上取り崩す基金はないといえる状況です。今後も厳しい財政状況が続くと考えられ、無駄遣いは許されません。
 今回のサンピア博多の破綻をどのように受けとめるべきか、第三セクターに対する債務保証約5千億円、損失報償は約700億円に達しており、早急にもたれ合いの構造をつくる第三セクターの抜本的な整理が必要であること、そして、人口減少の時代を迎えるにふさわしい市政に方向転換をすることです。もはやオリンピック招致を利用して大規模な開発をする時代ではないということです。
 以上をもって反対討論を終わります。

3月議会
 最終日に人事案件として3人目の副市長人事案が上程され、質疑を行い討論をしました。今回の副市長人事は、新たな公共事業の推進を明確にしたもので、今後の市長選挙のゆくえにも関係すると思われます。

1、副市長人事に関する反対討論
 今議会での3人目の副市長を置く人事案について反対討論を行います。この議案ついて、素朴になぜ3人の副市長が必要なのか疑問を感じます。答弁によれば、助役の局分担制をやめ、局の自立経営を目指し、経営会議の設置による政策的に事業を行う体制にし、名称も助役から副市長にかえ、副市長を3人から2人にした経緯があります。これまで、市長は財政再建に向け、歳出の抑制を行い、市債発行を抑制すると言ってきましたが、今回の副市長3人体制はこれらのことに逆行するものです。破綻した人工島事業の継続、港湾の再開発や空港機能の強化など、大規模開発を進めるために3人目の副市長を置くとするならば、福岡市は再び桑原市政同様に巨額の負債を作り、桑原市政の借金が今日の福岡市政に大きな負担強いている以上の負担を、後世の世代に強いることになります。
 先ほどの反対討論でも述べましたように、国はこれまでのように野放図に借金を増やさせないために自治体破産法の研究を始めています。新たに実質公債費比率という指標を作り、地方自治体の財政状況をより正確に表示し、透明化することで貸し手の責任を明らかにして、地方自治体と金融機関との新たな関係をつくものと考えられます。自治体破産法が出来れば、債権放棄が求められる金融機関は地方自治体に対する融資についてより慎重になり、リスクが高ければ当然金利は上がります。
 今回総務省が試算した福岡市の実質公債費比率22.8%は、阪神淡路大震災に被災した神戸市を上まわる数値であり、市長が主張する以上に福岡市財政の実態は悪いと認識しなけばなりません。現状でも福岡市に対する貸出金利の上昇が予想されます。このような状況で、オリンピック招致や臨海部の開発、新福岡空港の建設などの新たな公共事業を行うことは許されません。このまま開発を進めれば、自治体破産への道を突き進むことになり、市民に更なる負担を強いることになります。
 なぜ3人の副市長をおかなけれはいけないのか、その合理的理由は全く見あたりません。ましてオリンピック招致のためというのであれば、市長としての資質を疑うものです。市民の66%がオリンピック招致に反対しており、その理由が税金の無駄遣いというこの市民の声をどのように受けとめているのでしょうか。市長の言う「市民のために、市民とともに」という言葉は一体何を意味しているのでしょうか。
 以上の理由から、副市長人事案件に強く反対します。

2、3月議案に対する反対討論
 2006年度一般会計予算案は会計規模6,783億円余、3年連続の緊縮予算となっています。税収は頭打ち、国の補助金・負担金および地方交付税など削減により、歳入は減少、他方義務的経費は伸び続ける構造は今後も続くと考えられ、破綻した人工島事業を中止するなどムダな公共事業をやめなければ、財政再建は実現できません。しかし、今年度も相変わらず破綻した人工島に多額の税金をつぎ込むなど無駄遣いを行い、その一方で市民に負担を求めています。更に、福岡市の財政状況を無視してオリンピック誘致をするなど、本当に市民に目を向けた市政とは考えられないものです。
 そもそも、市財政を圧迫している元凶は元気な福岡市と称してムダな公共事業によって作られた過去の借金にによるものです。昨年度に続き本年度も市債発行額を償還元金額よりも押さえ、市債発行残高を削減するとしていますが、その一方でPFI導入や外郭団体に施設建設させ買い取るなど、負債を外部化することで実質的な負債が見えにくくしています。見かけ上借金を減らすために隠れ借金を増す小手先の財政運営は、将来の市民に更なる負担を強いるものでしかありません。
 先日総務省が試算を発表した実質公債費比率は、起債制限比率の計算には含まれていなかった企業会計や特別会計への起債償還に当たる繰り出し金、PFIや外郭団体の債務など、実質的に市の債務になるものを含めた指標となっています。福岡市の実質公債費比率22.8%、神戸市を追い抜き日本最悪の財政状況であることが示されたことは、見かけ以上に福岡市の財政が悪いことを示しています。現に、今年2月に百道浜の中学校用地を市民や医師会の声を無視して民間の病院用地に売却したことにも、いかに市財政が悪いかが現れています。
 国は自治体破産法の検討を進めており、今回の実質公債費比率は自治体の財務状況をより正確に表現することで、金融機関の貸し手責任を明確にし、国を当てにした野放図な借金をさせないようにするねらいがあると考えられます。このことは、本市のような極めて財政状況が悪い自治体の貸付金利は高くなることを意味し、ゼロ金利政策の転換と相まって、今後の財政運営は一段と厳しくなることが想像されます。もはや、オリンピック招致どころではない、臨海部の再開発や破綻した時効と事業、物流を無視した水深15メートル岸壁の整備など、ムダな公共事業を強行すれば、自治体破産に突き進み、市民に多大な負担を強いることになります。
 ところが、市長は財政再建として、歳入の確保では、受益者負担の適正化として、市民負担を増やしています。景気回復の兆しがあると言われていますが、その実感は未だ乏しいのが現状です。今年度も、所得が増えていないにもかかわらず、税負担が増し、年金の給付削減、介護保険でのホテルコストの負担、障害者自立支援法による障害者の負担増、さらに国民負担が増えていることに追い打ちをかけるように、高齢者の医療費補助の廃止、国民健康保険料や介護保険料の負担を増やす、留守家庭子ども会の有料化等さまざまな市民負担が増えています。とりわけ、税制改悪により課税限度額が引き下げられ、所得階層が低い人ほど負担が大きくなる福岡市の施策は認められません。
 今、国は地方に責任を転嫁するために財源移譲に併せて、教育・福祉の特定財源の一般財源化を進めています。このことは、自治体がどこに税金を使うのか、その政策によって自治体住民の生活に大きく影響が出てきます。一般財源化されたために支給されていた児童の就学援助が打ち切られるなどの事態が起こっています。自治体の責任は一段と重たくなっているのです。また、経営経費の削減として、保育園の民営化のように、市の責任を明確にした上で政策的に推進すべき指定管理者制度を、経費削減のみを目的として民間に開放していることも問題です。
 相変わらず「元気な福岡」と称して開発に走り、市民に負担を押しつける今の福岡市政は許されないものです。よって、オリンピック招致などムダな公共事業を進め、市民負担を増加させる予算案および条例案は認めることはできません。

 次ぎに水道事業についてです。1978年の大渇水以降、筑後川からの導水、ダム開発が進められ、また市民の節水の取り組みにより、福岡市の水事情は安定しています。これは、都市膨張の結果、福岡市で可能な自然環境を超えた結果であり、多くの自然破壊と有明海漁業者などの犠牲の上に成り立っているものです。現在、海水淡水化事業そのもはエネルギー浪費であり問題がありますが、海水淡水化事業も始まり、一段と水資源確保は充実しており、これ以上の水源開発は不要の状況になっています。福岡市の資料によれば、一日の造水能力は約75万トン、一日の使用量は平均で約40万トン程度、ピーク時でも約45万トンです。渇水時の危険率を70%としても52万トンとなり、極めて異常な事態がない限り、水は余っているというのが実態です。このような状況で五ヶ山ダムや大山ダム建設などどうして水源開発をする必要があるのでしょうか。多大な借金をつくり、自然を破壊するこのようなダム建設は直ちに中止すべきです。まして、福北緊急導水事業は必要ありません。ムダな水源開発を進め、自然破壊を行う水道事業は認められません。

 次ぎに、福岡市国民保護対策本部および福岡市緊急事態対策本部条例案および福岡市国民保護協議会条例について反対するものです。この2つの条例案は憲法9条の平和主義に反する有事法制並びに国民保護法のもと、武力攻撃を前提に制定される条例案です。しかし、国が想定する武力攻撃事態おいて、福岡市のような140万市民を抱える大都市では、大規模な市民の避難誘導はほとんど意味をなしません。国においては着上陸攻撃の可能性は低いとしており、まして核攻撃には避難誘導は無意味です。このような状況でどうして大規模な避難計画をつくる意味があると考えているのでしょうか。
 また、交戦状態になれば避難誘導よりも戦闘作戦が優先されることになり、市民に対する人権侵害や外国人に対する人権侵害の恐れがあります。また市民が戦闘に巻き込まれるおそれが強くなります。市民の安全を確保するためには交戦状態に巻き込まれないようにすることが必要です。そのためには福岡市は無防備都市宣言を行い、戦闘行為をしないことを国際的に明かにすべきです。武力攻撃を前提にした計画をつくるのではなく、市民レベルでの国際交流を進め、国際紛争をなくす努力をすべきです。

 最後に、福岡都市圏南部環境事業組合規約に関する協議について反対するものです。この一部事務組合を設立する目的は福岡都市圏南部地域のごみ処理を共同で行うというものですが、事務組合を作り南部清掃工場の建て替えを行うことを目的するものであり、これ以上焼却場を作る必要があるのか疑問です。そもそも福岡市は焼却主義の下、過剰なごみ処理計画をつくり、ごみ焼却炉を建設してきました。既に市民が排出するごみの量と焼却能力には大きな乖離があり、大野城市、太宰府市、春日市など他都市のごみを受け入れてきました。しかし、他都市のごみを受け入れている現状でも過剰であり、加えて「ごみ処理計画」では2015年には2004年比10%削減するとしており、南部清掃工場を建て替える必要はありません。地球温暖化問題を考えても、焼却による二酸化炭素の排出を抑制する必要があります。
 本来、ごみは地域内で処理されるべきものです。地域外に持ち出されると、住民にはごみ問題が見えなくなり、ごみの排出抑制ができなくなります。現に、大野城市ではこれまで分別してきたプラスチック類については、福岡市へごみを搬入するようになり、燃えるごみとして処理するようになったと聞いています。果たしてこれがごみ減量といえるのでしょうか。この原因は福岡市が進める焼却主義にあり、いまだに反省がない大規模焼却施設建設の考えにあります。ごみ減量を主張しながら、容器包装の分別はやらず、燃えるものは何でも燃やす今の「福岡式循環社会づくり」の欺瞞が、図らずも現れています。
 南部清掃工場は廃止し、焼却量削減に真剣に向かうべきであり、この議案に反対するものです。
 以上をもって反対討論を終わります。