今朝の西日本新聞によると、東京の調査機関が福岡市のオリンピック招致についての電話でのアンケート調査を行った結果、66%が招致に反対と答えたとのこと。山崎市長は議会答弁でも、「街角で反対運動があるようだ」とあたかも一部の市民しか反対していないかのごとく答弁しているが、この民間機関の調査で多くの市民がオリンピック招致に反対していることが明らかとなった。
3月8日(水)には”いらんばい!福岡オリンピック”の会が7326名の署名を添えてオリンピック招致反対の請願を提出。札幌市のように、キチンと市民に事業概要、事業費、市民の負担等について説明し、市民に賛否を問うべきである。しかし、3月議会で市は9月に市議会のオリンピック招致の決議が採択されたことから、賛否を問うのは適当でないと答えている。また、事業概要や事業費等についてもできるだけ早く作成し、議会や市民に報告するとしているが、招致に名乗りを上げて既に5ヶ月を経ているにもかかわらず何も決まっていない。コンパクトにする、民間を活用する、既存の施設を使うとしているが、具体的なものは何も示されていない。要は何も考えたいなかったと言うことである。4900万円の流用についても、経費が必要となったからと言っているが、補正予算を組むことができないほど無計画だったということだ。
議会のやりとりを見れば、市長は何も考えず、オリンピック招致に名乗りを上げ、オリンピックであれば反対するものもほとんどないと高をくくっていたと思われる。オリンピック招致を利用して臨海部の再開発および破綻した人工島事業を継続しようという魂胆は見え見えで、磯崎氏の博多湾全体をオリンピックの会場にする、オリンピック後も使える施設にするという中身は、中央埠頭、須崎埠頭に選手村、8万人収容のメイン会場、競技施設を集中させるというものであり、福岡市の臨海部再開発と全く一致する。マリンメッセの隣に第2展示場計画が実施できなかったが、オリンピック招致を機に長年の計画を一気に進めようと言うのである。国威発揚でない、大開発を伴う20世紀型ではない、コンパクトな21世紀型のオリンピックをすると言っているが、どこが違うのか、全く言葉の遊びである。
IOCはロサンゼルス大会以来商業化を進め、メディア中心の運営や施設整備をおこない、競技種目を増やし拡大してきた。オリンピックは「テレビンピック」と称されるように、メディアを通じて世界37億人が見ている、いまや「世界最大のスポーツショウ」となっている。このテレビ放映の放映権、そしてそれに付随するスポンサー料という巨額な利権が絡む今のオリンピックの状況では、市長がいう地方都市でも開催できるコンパクトな開催は受け入れられないのが現実である。事実、磯崎氏の案は大規模な臨海部の開発になっている。また、トリノでも警備に1万人の軍隊が派遣されるなど、警備の問題も大きな問題である。
市民の多くは市長の魂胆は見抜いており、福岡市の破綻寸前の財政状況、さまざまな市民への負担増の現状、加えて震災対策やアスベスト問題などオリンピック招致よりもすべきことがあると考えている。市民はオリンピックという「世界最大のスポーツショウ」の招致に金を使うよりも、市民生活の安心と安全確保のために使うべきと考えていることが、署名の数、民間機関の調査に現れている。市長はオリンピック招致を辞めるべきである。市長は「市民のために、市民とともに」と言っているが、言っていることとしていることが全く違う。こんな市長でいいのか!