九州大学移転対策協議会調査

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2005年11月9日(水)、10日(木)
9日(水):産学協同について
1、京都大桂キャンパス、
 工学研究家と情報学研究家を統合し、都市整備機構が大阪大学医学部跡地取得時に交換した開発予定地であった桂地区へ移転。産学癒合を進めるために文部科学省関連の科学技術振興機構が設置運営する研究成果活用プラザ、経済産業省関連中小企業基盤整備機構が設置運営する京大ベンチャープラザ、研究開発型企業を誘致する桂イノベーションプラザを併設。京都市がスパーテクノシティ構想で移転用地を斡旋。自治体との連携が大きいと説明。地域との融合も進めており、伝統産業などに先端技術を生かしている。
 図書館、船井講堂・地域融合センター、、京都大学ローム記念館等の施設は企業からの寄付で作っている。企業に対して、お互いにメリットがあることを訴えることで寄付を得ている。大学内に企業インキュベーション施設として室を年間数万円で提供。大学に連絡先を置くことで信用度が増し、ベンチャー企業が活動し易いということである。現在10社が入居。今後ベンチャーファンドの創設も考えているという。
 移転は94年に計画を策定し99年決定、01年に着工し03年に開校された。短期間に移転が終了出来た理由は、全学移転ではなく工学系だけの移転であること、住都公団の住宅開発が破綻した後の用地があり、用地確保がすぐにできたことなどによる。
 しかし問題点としては交通アクセスの問題がある。将来大学そばまで地下鉄が延伸される予定であるが、現在地下鉄がまだ近くまで開通していないため、企業の進出に影響がある。ITを使って交流ができるとしても、直接あって話すことが重要であり、アクセスの問題は大きいと言うことである。また、学生の生活、特にアルバイトが確保出来るかが、いい学生が集まるかに影響するということである。アクセスが重要であり、九大移転は桂キャンパス以上に厳しいことを改めて感じた。

2、科学技術振興機構研究成果活用プラザ
 研究成果プラザは研究成果を企業化するために研究の橋渡しをしている。そのために、企業のニーズと基礎研究とのマッチングを図るために、科学技術コーディネーターを4名配置している。コーディネーターは企業での経験者から公募し採用。産学交流のためのふーおラムやセミナー、研究会を開催し、企業での基礎研究に投資する余力がなくなっていることから、先端科学を技術転換させる支援をしている。
 研究成果の活用・事業化を進めるためにプラザないに研究室を設置し、事業化のために研究を支援している。京都、滋賀、奈良の県内の大学研究者と事業者(いずれかが3不県内にあればよい)が共同研究を提案し、評価委員会で事業選択し、研究室および年間3千万円の資金を提供、3年間で成果を出すことになっている。研究室は10室設置。この施設は全国8ヶ所在り、福岡市には百道浜にある。

3、中小企業基盤整備機構京大ベンチャープラザ
 産業基盤整備基金と地域振興整備公団、中小事業事業団が統合され、中小企業基盤整備機構になった。資金提供と施設整備を統合して、事業プラン策定、販路拡大、資金調達、城西金閣特などの起業支援を行っている。京大ベンチャープラザは、京大、経済産業省、京都府、京都市とで協定が結ばれ、大学都発ベンチャー創出を進めている。京大ベンチャープラザには4名のマネージャーと1名のアシスタントがおり、経営担当マネージャーと技術担当マネージャーは京都市から派遣されており、人件費も京都市負担となっている。
 入居は学生ベンチャー、大学発ベンチャー、大学連携ベンチャーが入居している。京都市からは入居者に足して研究室の賃料が補助されている。基本料金月2,940円/㎡のうち、中小企業受けには一般居室で500円、スモールオフィスタイプは1,100円、大学発ベンチャーおよび目利きAランク認定企業には一般居室で1,600円、スモールオフィスタイプで1,900円の補助がなされる。現在24社が入居。大学連携ベンチャープラザは全国で5ヶ所、福岡市には百道浜にある。 

4、京都市の支援政策
 京都市では平成16年策定の企業誘致推進指針に基づき、研究開発型企業・研究開発部門の立地促進をしている。桂イノベーションパーク地区は3特定地域の一つである。99年京都大学移転警句に併せてパークを検討はじめ、02年に京都大学、住都公団、京都市などで整備推進協議会を設置し、パークを推進。
 京都市の支援内容は、研究成果活用プラザへの職員派遣、用地の無償貸与、京大桂ベンチャープラザへの入居者の賃料助成、人件費補助、パークへの進出企業に対する補助金等がある。補助制度として、ベンチャー企業、一般企業には2年間、特定企業には5年間の固定資産税、都市計画税、事業所背相当額の助成がある。

10日(木):移転跡地利用について
 大阪大学中之島センター
 大阪大学の移転跡地利用について調査した。93年に移転を終え、中之島地区は大阪市が取得し、文化地区として整備を進めている。対岸の福島地区は文部省の財務センターが一端引き取り、10,000㎡を合同庁舎に、残り約21,000㎡を都市再生機構に売却した。中之島地区は現在大阪市立科学技術館と国立国際美術館が建設されているが、市立武術官が計画されているが財政難で建設されていない。また1,000㎡に敷地に大阪大学が土地を買い戻して、大阪大学中之島センターを建設している。せんたーは10かいだてで、7~10階が大阪大学、3~6階が財務センター、1、2階は共用となっている。共用部は外部委託している。
 中之島センターは70周年を記念して大阪ドリームプランとして同窓生から寄付を募り建設した。地域との交流の場にする、社会人教育を行っている。市民向けの最先端技術に関してのセミナーや夜間に社会人の大学院教育をしている。独立採算をめざしているため、講義に使わない時は市民や企業に会議室や交流施設として解放している。また、ハイテクを駆使してテレビ会議ができるようになっており、セミナーや講義を国内外にの提携大学に配信している。
福島地区は都市整備機構が京都桂地区の土地と交換することで取得した。土地利用について、大阪市が設置した「大阪大学病院跡地利用懇談会」の提言でにぎわいが流施設および中之島地区対岸には文化施設をと言う指定がなされていた。エリアを2分割し、A地区を業務、にぎわい、文化集積施設に、B地区を住宅、にぎわい、文化集積施設としてコンペを行った。A地区には朝日放送が本社移転する事で施設整備を行う、B地区はオリックス・ビープラネッツグループが整備することになった。特にB地区については川辺に文化施設をと言うことで、ビープラネッツが多目的ホール建設となっている。B地区は3エリアで施設建設を提案させた。施設面積の割合は指定したが、分割はグループに任せたということである。05年々着工、08年街開きということで、工事が始まっていた。
 跡地利用はどこでもうまくいっていない。大阪大学の場合は、京大移転とセットで都市整備機構に土地取得をしてもらったこと、また朝日放送が地上デジタル化で施設更新など移転時期のタイミングが良かったことなど条件に恵まれたことによると思われる。九大移転跡地利用は、最終的には公的施設を考えなければ進まないと思われる。