今回の臨時議会は、8万4千名もの市民による地方自治法74条に基づき、提出された「人工島建設事業の賛否を問う福岡市住民投票条例案」を審議するものであった。住民投票は市民自治の基本であり、地方分権社会の基礎である。多大な税金を投入し、市民生活を大きく圧迫している人工島事業について市民が意思表示を行い、市政に反映させることは当然の権利である。ところが、市長および自民、公明、民主、みらい福岡、平成会はこの条例案は必要ないとした。まさに市民自治を否定するものである。彼らは市民に付託されて議会で決定してきたというが、選挙の時に人工島に際限なく税金を使い、博多港開発救済をすると公約したものは誰一人いない。社民党は人工島事業に賛成の立場ではあるが、市民が自分たちの将来を決定する住民投票は市民の権利として認めている。これが自治都市である。山崎市長は「自治都市」を標榜するが、質疑の中で「自治都市と住民投票は関係ない」と暴言を吐いている。全く情けない福岡市である。今回の「人工島建設事業の賛否を問う福岡市住民投票条例案」が否決されたことは、福岡市政に大きな汚点を残すことになった。次回の選挙では市民に賢明な選択を期すところである。
臨時議会報告
2005年4月18日(月)、19(火)
議案:第197号人工島建設事業の賛否を問う福岡市住民投票条例案について
18日(月)
本会議
日程1:会期について
臨時議会の会期について共産党から討論がなされ、採決した。共産党の主張は、重要な議案であり充分な会期を持つこと、また委員会付託については特別委員会を設置して付託すべきというものであった。私は無所属であるため、議会運営いい勘に主席しておらず、議論については後日知ったために、特に討論はしなかったが、議決については、会期を2にすることには反対した。会期を2日にすることに反対したのは共産党と私だけであった。
日程2:議案質疑
市長が提案理由と、①人工島は福岡市の将来に必要である、②これまでも市民の意見は充分聞いてきた、③議会に議決を得てきたという理由を述べて住民投票条例は必要ないという意見を述べ、その後直接請求の代表者2名が意見陳述を行った。
質疑には6名が立ち、民主市民クラブは必要ないという立場から質問、社民市政クラブ、共産党が2名、ふくおかネットワーク、私が住民投票条例は必要という立場から質問した。
私の議案質疑
第1点は人工島事業は破綻しているのではないかということから、以下質問した。
①まず、博多港の国際コンテナターミナルの強化をあげているが、直近の過去5年間における5万トンを超える船の入港について
②直近のの福岡市の世帯数と住宅数。
③ソフトリサーチパークの第2期事業の現状と理由。
④香椎パークポートおける当初計画販売面積、現時点での売却済み面積
⑤市工区の販売状況。
⑥他都市における埋立地の土地処分状況について、神戸市ポートアイランド第2期埋立 地、大阪市咲洲について、横浜市みなとみらい21について、東京都臨海副都心につ いて竣工時期と土地処分状況
第2点として、財政上このまま人工島事業を続けることが許されるか。
①福岡市の財政状況について、今後の見通し。
②これまで人工島事業に使われた市の事業費、今後人工島事業に使われる見込の市の事 業費について、市工区、博多港開発第1工区、博多港開発第2工区について
③今回の地震被害における震災復旧対策にどれだけの費用が必要と見積もっているか。
第3点として市長はこれまでも市民の声を聞き、施策に反映してきたと言っているが、具体的にこれまで何時どのようなことを行い、市民の声をどのように反映したのか。
以上の質問に対する答弁は
第1点の人工島事業の破綻状況について
①5万トン以上の入港数は
H12:91隻 H13:117隻、H14:110隻、H15:51隻、
H16:41隻
※博多港統計でも船舶数は増加しているが総トン数は減少しており、小型船舶の入港が増えていることを示している。博多港では1万トン以下の船が増えており、上海航路などでRORO船(コンテナを直接自動車で積み込み・積み出しする)が増えれば大型船は増えない。RORO船が増えればガントリクレーンやコンテナヤード、上屋などは必要なくなる。物流が大きく変わりつつあり、コンテナが増えても大水深の岸壁や大型施設は必要なくなっている。
②直近の住宅数と世帯数については
平成15年の統計から 世帯数63万余世帯、住宅数70万余戸
③ソフトリサーチパークについて
平成7年から10年に第1期事業が終わったが、長期低迷する厳しい経済状況で第2期事業については10年間延期することを認めた。つまり見通しがないということである。
④香椎パークポートの土地処分状況
土地処分面積32.9㌶ 売却18.2㌶、賃貸3.9㌶、未売却3㌶
暫定使用の公共ヤード7.8㌶
※当初竣工平成8年、平成11年には完売といっていたが売れず、1部公共ヤードに転用、なおかつ売れ残りがある。暫定使用の公共ヤードは本来売却予定の土地である。
⑤市工区の販売は平成15年にエバグリーンと相互運輸に1㌶、平静16年に上組に2.2㌶、計3.2㌶を販売。
※エバグリーンと相互運輸は香椎パークポートの出口の交差点改良と称して不必要な道路拡張工事により人工島に移転させたもの。移転補償17億円、用地買収費用など、餌を与えて移転させた。上組も買ったものの、しばらくはコンテナの済み場に使用で、倉庫建設等は数年後に検討となっている。要するに、土地需要がないのである。なお販売対象は78.2㌶であり、売れている面積は微々たるものである。
⑥他都市の状況
■神戸市ポートアイランド第2期埋立
H4~15竣工 190㌶の内処分済み面積13㌶
■大阪市咲洲
昭和38~竣工 573㌶の内処分済み面積509㌶
(土地が売れても建物は建っていない空き地がかなりある)
■横浜市みなとみらい21
H2~H17竣工 87㌶の内処分済み面積58㌶
■東京臨海副都心
H2~H13竣工 139㌶の内処分済み面積78㌶
第2点の財政上から
①財政状況については国の三位一体の改革による交付税改革の影響や扶助費の増加で厳しい財政状況が続く。
※因みに財政局の中期財政見通しでの財源不足額は
平成18年95億円不足、平成19年112億円不足、平成20年134億円不足
また、市の貯金である財政調整基金は平成4年に942億円あったものが平成17年見通しでは21億円しかない。
②これまでに人工島に使った市税および今後予定されている市税は
これまで使った額 今後予定されている額
■市工区 1041億円 826億円
■博多港開発第1工区 97億円※ 78億円※
■博多港開発第2工区 396億円 336億円
※答弁の博多港開発第1工区に使われた税金の額には、公園用地、学校用地や道路用地の用地代が含まれいないことが判明。また、今後の支出見込みには病院移転費用などが入っていない。これまだ購入した用地費などを入れると既に300億円超える税金が使われており、今後病院の移転や中華街構想のどの事業を考えると1000億円を越える税金が博多港開発救済に使われることになる。
③地震復興には4月15日時点で424億円
第3点の市民への説明については、埋立申請時の市民意見発表会、東区で4ヶ所での説明会、10大プロジェクト点検時のパブリックコメント、マスタープランのパブリックコメット、今年2月のタウンミーティングなどで市民意見を聞いたと答えた。しかしこれら全て一方的に説明し、聞き置くだけで、都合いいものだけ取り入れた格好をつけているのが実態である。
以上の答弁を受けて以下再質問した。
答弁でも大型船舶が減少しており、博多港統計でも入港船隻数は若干増えているが総トン数は減っており、小型船舶が増えている。現在、5万トン以上の大型船舶も上海や釜山で荷を下ろして入港するので推進13mの岸壁で間に合っている。九州経済は日本経済の1割しかなくバックヤードが小さいこと、加えてシンガポールや釜山などと比べてハブ港湾としては格段の差がついており、国内においても神戸港や大阪港のなどの5分の1程度であり、また北九州響灘港との競合を考えるとハブ港湾には成り得ない。以上のことから大水深の港湾施設は必要ないのではないか。
次に住宅数は世帯数を約8万戸上回っており、市内には住宅および住宅地は余っていることは明らか。人工島に18000人、6千戸の住宅を造ると言っているが、住宅を造る理由はない。また、少子高齢化が進む中で、人口は増えても構造的に住宅需要は減る状況にあり、土地処分は難しい。今回の地震で明らかになったように埋立地は必ず液状化現象が起こり、住宅や病院には適さない。小中学校の建設、病院の移転、住宅建設は止めるべき。
次に産業用地について、他都市においても産業集積は難しく、土地処分が進んでいない。福岡市内においても、ソフトリサーチパークも第2期はめどが立たず、いまだ香椎パークポート売れ残り、人工島市工区も処分の見通しが立たない。博多港開発工区でも、平成15年のコンサルタントの報告でアジア国際ビジネス関連の産業集積について、ターゲットとして
①外資系企業の東北アジア進出・管理拠点
②日本企業の東北アジア進出・管理拠点
③アジア企業の日本進出拠点
をあげ、いずれをとっても、日本経済の長期低迷という大きな制約条件の中で対象企業の進出需要の喚起には困難性がともなうことを覚悟せざるを得ない状況である、と書かれている。大阪市コスモスクエアのアジアトレードセンター、ワールドトレードセンター、また東京都臨海副都心のテレポートセンターなど、産業集積を担った第三セクターは破綻し、特定調停がなされている。人工島も同じ轍を踏むことは見え見え。このまま事業を進めても展望はないのではないか。
つづいて財政上の点から。財政局の答弁のように厳しい財政状況で、人工島に多大な税金をつぎ込むことになる。震災の被害は目に見えないものが多くあり、保険の対象や助成の対象にならない被害が多く、市民の生活を圧迫しており、新たに震災復興のための負担が増大する状況であり、破綻が明らかな人工島事業を続けることに市民が納得するとは思えない。
これまでも多くの市民が人工島中止・見直しを求めてたが、どのように受けとめてきたのか。市長は縷々市民の声を聞いてきたと言っているが、聞き置くだけで政策に反映したとは考えられない。今回の条例案についても8万4千人の署名について重く受けとめているとしながら、人工島に関してはそぐわないと答えているが、なぜそぐわないのか市民には理解できない。そこで、地方自治法74条例に記載されている市民の直接請求権についてどのように考えるのか、また他都市では市民参画を進めるために自治基本条例を制定する動きがあり、自治基本条例では住民投票は市民参画の一つの手段と考えているが、このような動きについて市長はどのように考えるのか。
以上再質問した。
このような問いに、人工島は福岡市の将来に必要であり、成果が着実に出ていると答えた。また、8万4千に署名は重くとらえるが、議会で同意を得ており、これまで事業が進んでいるので、住民投票にはそぐわないと答えた。
この答弁に対し、これまでの質疑から分かるように、銀行でさえ博多港開発への融資をやめた理由は、この事業が経済的にも破綻しているからであり、博多港開発に代わって博多港開発第2工区を市が直轄化して事業を進めてもこの事業が破綻することには変わりはない。市工区においても土地処分の見通しはなく、市民の借金を増やすことになる。博多港開発第1工区についても、このまま事業を進めても博多港開発の赤字が膨らみ、市が博多港開発救済のために税金をつぎ込むことになる。博多港開発を直ちに会社精算すべき。このように、人工島事業を続けることは、福岡市の財政に大きな負担を掛け、現在市民生活に大きな影響を与えており、将来に亘っても市民生活に大きな影響を与えることは明らか。このような事業について市民の声を聞き、政策判断することは市長の責務。今最優先にすべきことは震災復旧に全力を挙げることであり、安心して暮らせる街尽くにお金を使うべき。厳しい財政状況だからこそなおさら税金をどのように使うか市民の声を聞き、政策に反映させるべき。市長は、この議案に附した意見を撤回し、条例制定に努めるべきと求めた。
市長は人工島は福岡市の将来に必要、議会で充分議論し同意を得てきた、市民には充分聞いてきたと、意見書と同じ答えを繰り返した。
日程3:委員会付託
質疑の後、第三委員会付託が提案されたが、特別委員会を整地し、付託すべきと考え 反対した。共産党とあらき以外は賛成した。
第三委員会
質疑が終了した午後4時から第三委員会が開催された。
第三委員会に付託されたため、私は審査を傍聴することしかできなかった。本来、項wんきょうくだけの問題ではなく、市政全般にかかる事案である。市長の出席および全議員の出席で審査が行われるべきであった。
審査において、自民党、みらい福岡、公明党の委員は市長の意見と同じ内容で意見および質問をした。実酒・市民クラブは発言なし、社民市政クラブ、ふくおかネットワーク、共産党は条例推進の立場から質問をした。社民・市政クラブとふくおかネットワークは住民投票条例を必要としない理由を尋ね、これまで市民への説明がなされていないこと、市民の声が聞き入れられて異な事を指摘した。
共産党は、市民にこれまで税金は使わない、環境への影響は軽微であるといってきたことについて、市民が指摘してきたように環境悪化が進み、公約を破り博多港開発救済に税金を全面的に使っていること、6万トン以上の船が人工島に接岸していないこと、大型船舶の入港が減少し、小型船舶が増えているなど物流の変化により大水深の埠頭は必要ないこと、拾他や住宅地はしないに余っており、また、人口もまもなく減少に転ずることから人工島に住宅建設する理由はないこと、百道浜のサイエンスパークの計画が当初計画の半分の第1期しか終わっておらず2期計画の見通しがないことや神戸市の中華街構想がうまくいっていない状況などから新産業集積についても、見通しが立たないことを指摘した。
採決では、共産党、ふくおかネットワークが賛成、他は反対した。ただし、社民・市政クラブは採決の時に間違えて賛成に挙手しなかったことを翌日の議会運営委員会で謝罪し、賛成に訂正した。
19日(火)
本会議
住民投票条例案に賛成の討論を社民・市政クラブ、共産党、ふくおかネットワーク、荒木が、住民投票条例案に反対の討論を自民党、民主・市民クラブ、みらい福岡、公明党、平成会がおこなった。住民投票条例制定に反対理由はこれまで①福岡市の将来に必要なこと、②事業をこれまで進めていること、③議会で充分議論してきたこと等である。反対者にはそもそも市民の視点がないし、市民自治の理解が全くないと言える。いかに事業が進んでいたも、常に事業の再検討は必要であり、何より市民の自己決定権を否定する理由にはならない。まして、議会が本当に市民の声を反映しているのか、先の市長選挙の時のマスコミによるアンケート調査では6割を超える市民が人工島事業に反対しているのである。今回の8万4千にもの署名は今なお人工島事業に疑問を持つ市民が立場超えて多くいることを示しているのであり、住民投票条例を認めない議会はとても市民の声を反映指定とは言えない。法定数を超えた署名数でもって直接請求された条例案については、議会は市民の意思を受けとめ、住民投票条例を実施するのが議会の責務である。まして市長であれば、住民投票条例を成立させ、市民の意思を聞き、市政に反映する責任がある。今回の市長および議会の対応は地方分権社会を否定し、市民自治を否定するものであり、福岡市政の歴史大きな汚点を残すものである。
採決の結果は、自民、公明、民主、みらい福岡、平成会が条例制定に反対、社民、共産、ふくおかネットワーク、荒木が条例制定に賛成、条例案は反対多数で否決された。
賛成討論
今度臨時議会に上程された「人工島建設事業の継続について賛否を問う福岡市住民投票条例案」について賛成討論を行います。
この条例案は地方自治法第74条に基づき、有権者である市民約8万4千人の署名を持って条例制定を求めた条例案です。期間が1ヶ月間であること、受任者しか署名がとれないこと、受任者の選挙区内の市民しか署名できないこと、直筆による署名捺印を要すること、署名の日付が必要であるなど厳しい制限なかで集めたこの署名の意味は極めて重いものです。この署名は大多数の市民が立場を超えて人工島事業に疑問を持っている証です。しかるに、多数の署名については真摯に受けとめるといいつつも、市長は漠然と福岡市の将来に必要であること、市民の意見は聞いてきた、議会で議決を得てきたなどとして住民投票条例は必要ないという意見を附したことは、市民の意思を踏みにじるもの以外の何ものでもありません。加えて、昨日の質疑で市長が「自治都市と住民投票は関係ない」という答弁を行ったことは、市民自治そのものを否定するものであり、断じて許されるものではありません。市長は常々「市民とともに、市民のために」と語っていますが、市長が語る「市民とともに、市民のために」という中身は一体何を指しているのでしょうか。市長が条例案に附した意見、そして「自治都市と住民投票は関係ない」という認識は、「市民とともに、市民のために」という言葉を否定するものであり、市長は市民に謝罪するとともに、附した意見を撤回すべきです。
地方分権一括法が施行され、地方分権社会を迎え地方自治体の自律が求められています。地方分権社会の主人公は市民であり、市民自治の実現が求められています。その動きとして、新潟県巻町における原発立地をめぐる住民投票をはじめ、各地で自治体の将来に大きな影響を与える事案について住民投票が実施されてきました。この流れは、地方自治体による自治基本条例制定の動きとしてあり、政策決定過程から市民が参画できる仕組みを模索しています。市民参画の大きな柱として住民投票条例が位置づけられています。これらの自治基本条例では、市の将来に大きな影響を与える事業については、住民投票をおこない市民の声を政策に反映させるという考えが示されています。議会の結論と住民の意思が必ずしも一致しないこと、有権者は議員へ白紙委任をしているわけではないことを、制度的に補完して市民自治を実現させるために、住民投票を自治基本条例として条例制定するというものです。
昨日のと質疑においても、制度的な議論が必要としつつも住民投票は間接民主主義の補完的役割を果たすとしてその必要性を市長部局は認めています。しかし、人工島についてはこれまでの経緯がある、これまで事業がが進んでいるのに賛成反対の二者択一では本当の意見が反映されないなどと答弁しています。この答弁は問題がありますが、市長の考えである「自治都市と住民投票は関係ない」ということは相容れないものです。ともあれ、どのような事業でも事業が進んでいたも、常に再検討が必要であり、必要があれば計画を変更することが当然行われるべきです。山崎市長は人工島事業を市民の合意を得ないまま公約を破り、計画変更してきました。市民生活の将来に大きな影響を与える人工島事業であるから、直轄化がなされ、地震にあった今冷静に将来について議論を行い、市民の意思を問い、政策に反映させる必要があるのではないでしょうか。
そもそも人工島事業は環境への影響は軽微である、税金は使わない、市民には迷惑を掛けないといって事業を進めてきました。しかし、和白干潟をはじめ博多湾全体の環境悪化は目に余るものがあり、また、2002年の新事業計画への変更、2005年の博多港開発第2工区の直轄化と際限なく税金をつぎ込んできました。山崎市長は市長選挙で「引き返す勇気を持って見直しをする」と公約したにもかかわらず、抜本的な見直しをしなかったばかりか、従来通り事業を進め、破綻した博多港開発の救済に際限なく税金をつぎ込むに至りました。このように、環境への影響、際限ない税金の投入、土地利用計画の大幅変更、事業は大きく変わったにもかかわらず、市民に対する説明責任は果たさず、市民の意見も聞こうとしませんでした。今回の人工島を直轄化自体は、銀行でさえ将来の事業性がないことを示すものであり、人工島事業が破綻していることを物語っています。先日の議案質疑においても明らかなように、国際経済の変化により物流は変化しており港湾施設をこれ以上拡張する必要性がないこと、既に住宅や土地は余っており人工島に住宅建設する必要性がないこと、少子高齢化・人口減少により将来土地需要は更に少なくなること、新産業の集積についても他都市の事例をみても福岡市内の事例を見ても展望がないことは明らかです。加えて今回の地震により、埋立地は液状化が起こり多大な被害が出ること、また、公共残土等を多量に持ち込み鉛やヒ素などの有害物質が含まれているようなところに、博多港開発救済のために病院を移転させる、住宅地を造る、小中学校を建設すること自体に問題があります。
福岡市の財政状態は今後とも極めて厳しい状況が続き、無駄遣いは許されません。平成17年度予算においてもごみ処理有料化、下水道料金値上げ、市立高校の授業料値上げ、国民保険料の値上げ、公立保育園の民営化など市民に多大に負担を求めています。その一方、市民が求めている図書館や児童館の建設、特別養護老司ホームの建設、学校司書の配置、小規模作業所の支援などには財政難を理由に拒否し続けています。更に、今回の地震災害復旧に多大な費用を要する中で、これ以上人工島に税金をつぎ込むことが許されるでしょうか。このように福岡市政に大きな影響を及ぼす人工島事業のあり方について、市民が自分たちの意思を政策に反映させることを求めることは当然です。
漠然と人工島は将来に必要ということでもって莫大な借金をつくり、市長以下市の執行部も議会も誰も責任を取らない、全て市民に、将来の世代にツケを回すことについて、責任がとれる仕組みを作る必要があります。市の将来に大きな影響を与える人工島事業については、全ての責任を負う市民にその意思を問い、市民の意思をを政策決定に反映させる仕組みを作らなければなりません。今回上程されている「人工島建設事業の継続について賛否を問う福岡市住民投票条例案」について、議会として可決することが、議員の責務と考えます。市民自治の福岡市政にするために、全ての議員がこの議案に賛同することを求めて賛成討論を終わります。
※住民投票を間接民衆主義の補完とするのは間違いと指摘された。自治の原則は自己決定権を市民が持つことであり、補完ではない。今回の議論は地方制度調査会の答申に流された嫌いがあることを反省した。