欠陥だらけの福岡市公益通報制度

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欠陥だらけの福岡市公益通報制度[2/2]
福岡市の公益通報制度
 
欠陥だらけの福岡市公益通報制度[1/2]
千代田区の公益通報制度

福岡市の公益通報制度として、「福岡市職員サポートライン」を設置することになった。この制度は多くの問題があり、欠陥だらけの制度である。
本来市は市民の生命の安全や福祉を充実させる責任がある。この点から「公益」についてはは市民の安全脅かす、環境を害する行為、法的な違反行為、市が実現すべき公正な市政を妨げる行為などと幅広く設定するべきである。ところがこの制度は「他の職員の職務に関する非違行為又はその発生のおそれがあると認め行為について」通報となっている。これは、これまで福岡市に起こってきた度重なる贈収賄事件、不祥事の反省があるとは認められない。制度の対象者を常勤の職員のみと対象と制限していることは、極めて身内かばいのものでしかない。ケヤキ庭石事件は第三セクターで起こった事件であり、制度の対象者を第三セクターの職員、OB、非常勤職員も含めなければ不祥事は防げない。しかもこの事件を起こした中心人物は元助役の社長と、元港湾局理事の部長、そして元市議会議員である。このような権力を握ったものの犯行を告発するには、対象より広範囲者を設定すべきであり、また独立した第三者による調査・勧告権が必要である。
また、港湾局における計画課長の贈収賄事件、前理事のタクシークーポン券請求事件を見ても、責任者による違法行為が多い。このような事件をなくすためには、通報対象者は取引業者も含める必要がある。現に千代田区では、第三セクターの取引先職員も対象としている。
なぜ条例ではなく要綱にしたのか。市長自らも通報の対象と考えていないからではないのか。独立した第三者による調査・勧告権がなければ、身内でのもみ消しも起こりかねない。また、市長指揮下の行政監察筆が相談窓口では通報者の秘匿性も危うい。相談員の弁護士にしてもただ受け付けるだけで、何ら調査権もないし、勧告も意見表明の権利もない。弁護士さえも身内ではないかという疑いさえ生じる。同じ要綱でも、中野区は総務課長のみが知りうる仕組みにして秘匿性を保障しようとしている。ところが福岡市では行政監察室の誰が受け付けるのか、その責任の所在が不明確で本当に秘密が守られるのか不明である。これでは安心して通報できない。いずれにしても、この要綱では真剣に不正事件再発防止のために公益通報制度を作る意思が見られない。市民への説明責任を果たさず、お茶を濁しただけのものだ。行政の品質保証にはならない制度といわざる終えない