1月23日の博多港開発は第2工区の埋立免許が失効するため、免許の継続の手続きを行いました。福岡市はわずか2日で許可しています。この申請書の添付書類である事業の収支報告書を見ると、資金的に余裕がなく、予定の価格で、予定の時期に売れなければたちまち資金繰りが付かなくなります。収支計画は数字のつじつま合わせでしかなく、破綻は明らかで、福岡市が免許を許可したことは違法行為です。現在融資している11の銀行の内、信託系の銀行5行は融資を見直す動きがあると報道されています。私たちは銀行団に破綻した事業に融資をやめるよう申し入れをすることにしました。しかし、銀行は受け取りを拒否しているため、申し入れを郵送することにしました。
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平成16年2月10日
人工島事業への融資停止を求める要望書
殿
人工島点検を点検する会 代表 荒木龍昇
博多湾市民の会 代表 安東 毅
博多湾会議 事務局長 脇 義重
1月23日、博多港開発㈱の埋立免許の延長が許可され、そのときに福岡市に提出された情報が公開されました。そのなかの事業計画(資金計画、土地処分計画など)をみれば、博多港開発㈱が直ちに借入金の返済に行き詰まり、福岡市による人工島事業/博多港開発㈱への際限のない税金の投入が繰り返されることは明らかです。その結果、市民生活が大きな影響を受けることは確実で、そのような事態に陥ることを未然に防止するために、銀行団の皆さんに、博多港開発㈱への融資の継続を思いとどまっていただくようお願い申上げます。
免許申請書に添付された事業計画書の問題点を例示すると以下のとおりです。
1)土地処分予定単価が現実を無視した甘い水準に設定されている。
住宅地、研究施設用地、いずれも市場の現実を上回る水準に設定されている。現在、 住宅用地の事業者を選定中だが当初の土地処分予定価格を4‐5万円/m2下回る価 格での落札が見込まれている。
更に、分譲予定単価が年に数%上昇する想定になっており、現実離れした前提とい わざるを得ない。
2)「新事業計画」策定後、2年も立たないうちに当初の見通しは崩れてしまった。
博多港開発㈱は銀行団の求めに応じ、60億円の増資を行なったが、これは経営基 盤の強化につながるどころか早速返済金の充当に使われ、さらに45億円の緊急融資 を福岡市から仰がざるを得なくなった。住宅地の処分単価が計画値を下回ることでさ らに約40億円の資金不足が発生すると予想されており、このまま事業が継続されれ ば200億円の緊急融資枠を使い切るのに多くの時間を要しない。
3)「借入金償還計画」にはまったくゆとりがない。
この計画は、上記のとおりの甘い前提に基いているにもかかわわらず、資金のゆと りがまったくない。すなわち、予定が少しでも計画を下回ると博多港開発㈱は直ちに 資金不足に陥り、借入金の返済が滞ってしまう。
4)「新事業計画」との間の整合性がない。
今度の計画は「新事業計画」策定後2年しか経過していないにもかかわらず、土地 処分計画の内容に整合性がない。計上されている土地処分に具体的な裏づけがあるの か、疑問に思わざるを得ない。このような事業計画が早晩行き詰まることは明らかで、 このままでは福岡市/博多港開発㈱は銀行団への借入金の返済のために次々と公金を 投入することになります。このような事業への融資を継続することは、初めから公金 投入を当てにした融資を行なうことに他なりません。銀行の使命は市民(預金者)の 大切な財産を預かり、それを社会的に有意義な事業に融通することで経済を動かし、 その成果を預金者に還元することにあるはずです。税金で補填しなければ資金の回収 ができない事業への融資を続けて果してその使命を果せるでしょうか?
福岡市は厳しい財政難に当面しています。税金を破綻した事業の赤字の補填に投入 することは、市民生活の向上のために必要な事業が犠牲になることにつながります。 あってはならない税金の使い方といえるのではないでしょうか?人工島事業への融資 の継続は、このような税金の使い方を公認することに他ならないのではないでしょう か?
この事業の見通し、銀行の社会的使命を今一度考え直し、博多港開発㈱への融資の 継続を思いとどまっていただくようお願い申上げます。そのことが、人工島事業を根 本から見直し、お金を、土地を、海を福岡市の将来のために有効に使う為の第一歩に なると考えます。
追伸 1.免許申請書の一部、私たちのグループで発行した冊子を同封いたします。 どうぞ参考にしてください。