人工島新「見直し案」ー福岡市はいよいよ人工島と心中する道を歩み始めた。
福岡市は「照葉プロジェクト」が失敗し、住宅用地が予定価格を大幅に下回ることになり、事業計画の見直しを始めた。港湾局が与党議員のために作成した文書では「新事業計画の維持・継続は困難、これ以上の公的支援は困難」「長期かつ大規模な事業については、金融機関からの資金調達は非常に困難」として、平成14年に銀行の圧力で見直した「新事業計画」が破綻していることを認めている。わずか2年で計画が破綻し、3度目の見直しである。社会、経済の構造的変化を認めようとしていないために、同じ過ちを繰り返している。
この文書では、社会状況の変化として、「産業集積用地は賃貸が主流になっており、土地処分は厳しい、地価の下落状況は継続している」としている。「融資について平成25年3月までに銀行団に完済するとしているが、現状では実現困難な土地処分スケジュール」と言っているにもかかわらず、見直し案では相変わらず地価上昇を前提として計画になっている。その根拠は、新しい土地なので、街の成熟によって地価が上がるという理屈なのだ。しかし、街の成熟するためには土地が売れなければならない。需要がなければ土地は売れない。
福岡市は既に住宅は世帯数を5万から6万戸オーバーしており、少子高齢化により、需要そのものが減っていく。東部地区でも現状で年間600戸、東区中央部で200戸しか売れていない。しかも不動産鑑定士の意見として、分譲よりも賃貸の需要が多いとなっている。にもかかわらず、街は毎年3~4%成熟し続け、地価もそれに合わせて上昇するとしているのである。
しかも、懲りずに「採算性に配慮した賃貸方式の導入や多様な資金調達方策の検討など新たな事業スキーム」を検討すれば「新事業計画の194億円の黒字」より大幅に減少するが、黒字は維持できるというのである。ではその新たなスキームとは何か、それは土地建物の証券化や市による直轄化である。つまり、「第三セクターの博多港開発にはもう金は貸せないが、福岡市であれば取りはぐれがないので銀行は金を貸すだろう」ということである。つまり、全面的に税金で埋立事業をするということなのだ。
埋め立てれば土地は売れると根拠もなくもなく埋立を続け、福岡市の財政をいよいよ瀬戸際まで追いつめている。平成16年度予算では国の三位一体の改革の影響もあり、財政調整基金など115億円基金の取り崩しをしなければいけない状況になっている。財政調整に使える基金は後126億円しかない。本来市民が安心して暮らせるように税金は使われるべきなのに、ゼネコンのために無駄遣いをして、博多湾の自然を破壊したこの責任は一体誰がとるのか。