9月議会報告

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遅れましたが9月定例議会報告をします。

9月議会報告
9月11日(金)~22日(月)
9月11日(金)
 市長による議案説明のち議案質疑が行われた。
 今議会に上程された議案における争点は、7.19水害対策の専決処分および緊急対策予算に関連して福岡市の災害対策について、第三セクターの福岡市地下街開発株式会社に対する16億円の増資を約束する債務負担行為の確認、大野城市・太宰府市のゴミ処理を受託することをみとめる議案、3点の議案が争点となった。

1、7.19水害について
 特に7.19水害については、4会派と私が議案質疑で、3会派が一般質問で質問をした。99年6.26水害が起こったわずか4年で2度の大水害にあった。福岡市の対応がいかにずさんであったかが各会派から指摘された。福岡市は予想を超える雨量であり、御笠川の上流で起きた局地的集中豪雨であったことから天災と主張した。しかし、避難誘導の遅れ、避難先が水没していたこと、市職員への連絡が遅れた局があり防災計画通りの体制がとれてなかったにもかかわらず虚偽の報告をしていたこと、地下鉄では交通局に連絡が行かず当直の人員で対処するなど、明らかに人災であったことが指摘された。
 福岡市は緊急通報施設の整備や遊水池の建設、御笠川河川改修を急ぐよう国・県に要請するなどの対策を示した。県の御笠川改修計画は計画水量毎秒730トンでしたが、実際は毎秒890トンの流量であったことから県の改修事業の見直しが早急に求められた。また、未だにハザードマップ(災害被害予想図)も作られていないために避難先が水没していたというような事態が起こったのであり、早急にハザードマップをつくり、防災計画を作り直すことをもとめた。
 今回の水害は異常気象などによる局地出来な集中豪雨によるもので、典型的な都市災害といえる。開発により田や畑が消え、アスファルトの道路やコンクリートの建築物など流域の保水力が低下していることが災害を大きくした。このような災害は市内どこでもいつでも起こりえるもので、今回早良区の椎原・脇山地区で局地的な集中豪雨による被害が出た。国でも都市型災害に備えて流域での貯留機能・遊水機能を持たせた総合治水が進められている。私は6月議会でも、節水条例に関連して雨水利用を進め、流域での保水力向上と節水、災害時の水源として「雨水利用の街づくり」を求めた。今回の7.16洪水は、改めて「雨水利用の街づくり」の必要性を示しており、9月議会でも重ねて総合治水政策を求めた。
 今回の7.19水害に関連し、災害補償のあり方が問題となった。現在の補償制度では、床上浸水以上の被害を受けた方に見舞金が2万円ないし3万円、自宅が半壊以上の被害にあった方には県から100万円ないし150万円が支給される。それ以外は低利の融資があるが、自営業者には低利の融資以外はない。これまで災害被害者は個人の財産という理由で個人補償はなされかったが、国では地震災害に関して個人補償をする動きとなっている。現在の見舞金制度や支援制度では、被害の実態にあったものになっていないことが私を含めて多くの議員から指摘された。生活再建へ被害の実態にあった福岡市独自の支援策を求めた。

2、福岡市地下街開発株式会社への16億円増資に反対
  福岡市は福岡地下街開発株式会社に福岡市が平成16年度8億円、17年度8億円と2年に分けて計16億円の増資することを補正予算の中で債務負担行為として議案提出した。いま、全国的に第三セクターの経営破綻が次々と起こっており、第三セクターの存在そのものが問われている。福岡市においても例外ではない。地下街開発株式会社は、当初から地下街の延伸について必要性および採算について疑問が出され、銀行はつなぎ融資しかしないと言っている。なぜ福岡市は地下街開発株式会社に増資をするのか私を含め多くの議員から質問がなされた。
 現在の福岡市地下街開発株式会社の売り上げは年々減少しており、加えて南の新設の地下街だけでは採算はとれない。オーバーストア状態が生じ採算はいっそう悪化するのではないかという問いに、地下街開発株式会社の人員を削減し、販売促進に力を入れる、委託費などの経費を削減し、南と北の地下街を一体的に経営をすることで採算がとれるようにすると答えた。

3、大野城市・太宰府市のゴミ焼却を受け入れる議案について
 福岡市はこれまで都市膨張政策を採り続け、ゴミは右肩上がりに増えるとして過剰なゴミ焼却施設をつくってきた。臨海第4工場900トン/日が完成し現在処理能力は3050トン/日、現在東部清掃工場の建て替えが行われており完成すると廃炉する200トン/日をさしひいて福岡市のゴミ処理能力は3150トン/日となる。福岡市のゴミ焼却量は現在1900トン/日で頭打ちの状況となっており、稼働率を80%とすれば現状でも2440トン/日で明らかに過剰である。市の言い分を認めて稼働率を73.6%としても処理能力は2240トン/日これでもいかに過剰かわかる。国もダイオキシン削減には焼却量を減らす方針を示しており、福岡市も2010年には2000年比10%の減量を目標としており、いっそう過剰になる。これまでも私たちが主張してきたように、臨海第4工場建設は必要なかったのである。
 今回の議案は、大野城市・打差畏怖の焼却場建設を止めて大野城市・太宰府市のゴミ(日量127トン)を受け入れる、南部工場を補修して10年使い、その後建て替え共同運用するというものである。同時に、焼却灰処分場を大野城市につくるということになっている。しかし、仮に両市のゴミを受け入れても、過剰施設であることには変わらない。福岡市は、過剰施設をつくり、その破綻の穴埋めに両市のゴミ受け入れする考えである。ゴミ政策の反省を求めたが、反省は全くなかった。
 ダイオキシン対策の基本は燃やさないことであり、ゴミになるものは造らない、使わない、そしてゴミにしないことである。ゴミ処理の広域化・処理施設の大規模化は、ゴミ減量を阻害していることが全国的状況からも明らかとなっている。ゴミ処理の広域化・大規模化は浪費社会を変えないばかりか、浪費を促進することにつながっている。ゴミは地域な処理が原則であり、大野城市・太宰府市のゴミ受け入れに反対するとともに、南部工場は廃炉にし、焼却施設の削減を求めた。

9月17日(水)
今回は一般質問を3日間とったため、17日となった。
一般質問
1、住基ネット
 住基ネットの危険性を考えるために、住民基本台帳の問題を質問した。住民基本台帳は誰でも閲覧できるため、ストーカーやDVの被害者にとって脅威である。福岡市における住民基本台帳をめぐるトラブルの状況と対策についいて尋ねた。現時点では特にトラブルはないということであるが、危機意識を持っていないためにわからない可能性が高く、対策を求めた。世帯単位での通知は、危機意識のなさを物語っている。この点も質した。住民基本台帳の閲覧については規制する考えを示したが、世帯単位の通知については、プライバシー侵害であるという認識は全くない答弁であった。
 ストーカーやDV加害者は誰でもなり得、職業も特定されない。ストーカーDV加害者はどのようなことしてでも目的を達しようとし、情報が一元集中するシステムは非常に危険になる。福岡市がいかにガードを固めても、ガードが甘い自治体から進入できる。(先日の長野県の実験がこの事実を証明)いまの住基ネットではプライバシーを守ることはできない。個人情報は人格であり、同意がないままに自己情報が使われることは個人の人格権を侵すことになる。先日の最高裁判所判決では早稲田大学の講演会出席者名簿を出席者の同意なしに警察に提出したことが違法とされた。目黒区個人情報保護審査会は区民の住基ネットへの接続中止請求について、憲法13条を基に個人情報の自己コントロール権を認めている。国は当初93の業務に限定といっていたものが264に拡大され、国の恣意的な管理が強められようとしている。地歩自治体の本旨である住民の福を増進するという点からも、市長はプライバシーをどのように考えているのか。現在市民が住基ネットへの中止請求をしているが、選択制にすべきと考えるが市長の所見を求めた。
 答弁は厳重に借りされているので問題内の一点張りであった。

2、桧原葬祭場について
 6月議会で他議員の質問に対する答弁を聞きいたが、市の答弁は質問に適正に答えていないだけでなく、納得できるものではなかったので質問した。
 まず、くらしの財団が資金調達し、施設の建設を行い、施設を福岡市に譲渡する、その後施設の管理運営業務を福岡市から受託する方式がもっとも効率的としていることについて、どうして市が建設し、運営すると非効率になるのかその説明を求めた。答弁は、相変わらず、第三セクターなので機動的に動けるからだと答えたが、市がすると機動的に動けないいまの仕組みが問題である。。
 次に、3企業体での競争入札が予定されていたが、2企業体が不祥事を起こした企業が出たことで辞退することになり、要件を満たした共同企業体一社残ったので随意契約をしたと答えている。どうして随意契約になったのか説明になっていない。少なくとも当初5共同企業体が参加しており、3共同企業体による競争入札はできたのではないかと質問したが、入札要件を満たした帰郷対は1企業体だけであり、価格も予定価格の9割であったので妥当と判断し随意契約したと繰り返した。再度条件を提示して3企業体で競争入札することは可能であり、そもそも競争入札する気がなかったとしか言いようがない。
 次に規模の適正さについても、どうして全面立て替えになったのか質問した。コンクリート建造物の耐用年数は50年以上であり、耐用年数の半分にも満たない建物をどうして全面的に取り崩すのか、不必要な廃棄物を生み出し、財政的にも無駄である。どうして現在の待合室等を継続使用する計画にしなかったのかその理由を尋ねた。また、人口減少が始まることをどのように計画に組み入れたのか、かつ火葬炉の数が適正なのかお尋ねた
 炉の建設位置の問題で解体はやむ得ない、大理石などは出来るだけ再利用するようにしている、また、規模については人口推計を見直し、まず26基を造り、その後は動向を見て検討すると答弁。
 国立社会保障・人口問題研究所の中位推計では2006年をピークに人口は減少するとしている。当然福岡市においても10年程度の遅れで人口減少が始めると考えるべき。ところが、基になる総務企画局の将来人口予測は2030年に至るも人口は増え続けている。昨年の出生率は1.32人となっており人口減少は加速化していることを考えると、100歩譲って福岡市の試算をただしものとしても、2015年の26基で過剰にになることは明らかである。基本的に廃棄物を出さないという視点がない上に、過剰施設をあえてつろうとしているしか考えられない。財政難の折、こんな無駄遣いが許されいいのだろうか。

3、人工島に病院を造るという市長の方針について
 先日の報道によりますと、市長は子ども病院と市民病院を統合し人工島に新たに病院を建設する方針を表明している。そこで、なぜ子ども病院と市民病院を統合しなければいけないのか、また立て替えの場所がどうして人工島なのか説明路求めた。6月議会の質問でも、港湾区域は危険性が高い場所であり、住宅や病院など建設することは適当ではないことを示した。病原体を持つ外来ネズミが上陸。東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、小樽、志布志港の8港湾と2つの空港でリンパ性脈絡髄膜炎の病原ウィルスやハンタウィルスをもつ外来種ネズミが見つかっている。また、外来種の毒グモセアカゴケグモが大阪港湾地域を中心に港湾区域から内陸部経路で生息域が広がっている。他に用地があるにもかかわらず、危険性が高い場所をあえて選んだ理由を尋ねた。
 立地については規模や適正配置、療育環境などから選んだ、利便性もよいと強調した。港の危険性についても関係機関が連携して安全性について対処していると答え、危機意識は全くない。そもそも、統合についても、どうして400床、5万平米の大規模病院が必要なのか、また、子ども病院の必要性は高いが、統合する理由はこじつけでしかない。市民の利便性を考えても人工島は問題であり、市内には救急病院はいくつもあり、ことさら人工島につくる理由はない。移転対象用地は六本松他いくつもある。要は、人工島計画破綻の穴埋めに病院を使おうとしているだけである。こんなことは許されない。

9月18日(木)
建築局
 水害復旧の状況についての報告がなされた。また、市街化調整区域について土地利用の基本方針を定めなければいけなくなったために、福岡市土地開発行為の許可に関する条例の変更および市街化調整区域の容積率・建坪率を新たに指定しなければならなくなった。福岡市はこの条例および容積率・建坪率についてのパブリックコメントを実施する。11月1日から11月30日まで。考え方として、市街化調整区域については原則第1種低層住宅と同じ扱いにするとしている。詳しくは、区役所等に資料を用意している。

9月19日(金)
都市整備局
 この日は福岡市地下街株式会社へ16億円増資する債務負担行為が議論となった。地下街の南への拡張の事業費は230億円、工事の見直しにより6億円削減し224億円である。事業費の内訳は店舗部分131億円、通路・広場93億円、資金計画として銀行からの借り入れ107億円、出資金46億円(内、福岡市が18億6千万円、民間11億4千万円、今回の福岡市の増資16億円)、補助金29億円、敷金42億円となっている。しかし地元3銀行は融資を渋っており、その他の銀行との協議を行っている。
 この事業は当初から採算が危ぶまれ、福岡市が反対を押し切って事業を進めた経緯がある。地下街の売り上げは年々減少し、昨年度は赤字となっている。事業の見通しについては、1)人員の削減(役員を6→3、職員46→30)、2)委託費の削減等経費の削減、3)経営の強化(店舗管理、顧客管理などの強化)をあげている。また、説明会では178者が応募している。採算については、敷金坪400万円、賃料は最低坪5万円、坪50万円の売り上げを超えた場合は賃料を歩合で上げる、年間最低で7億3万円の収入と敷金2億円があるので、北部分を併せて事業を行えば採算に乗るという。要は南部分だけでは採算に乗らないのである。銀行団は歩合制の賃料についいての不安があるといわれている。採算性がとれる見通しがないため、融資を拒んでいるのだ。
 福岡市が16億円の増資をする理由は、通路・広場などの公共部分の負担相当だという。しかし、公共部分であれば補助金等応分の負担をすればよく、事業をする理由はない。民間でさえ事業の見通しを危ぶんでおり、オーバーストー状況の天神で甘い見通しによる失敗のツケを市民に回すべきでない。
 その他、香椎駅周辺土地区画整理事業の減歩緩和のための土地購入に関する補助金が付いたことに関連して質問した。この区画整理事業は、住民との協議が充分なされなかったために、反対運動が続いている。土地区画整理事業は、指定区域の住民に約25%程度の減歩(土地の供出)を強要し、その保有地を売却することで事業を行う。区画整理により地価が上がることを前提にして制度で、地価が下落している状況では住民負担が大きくなる。事業目的や、事業手段、減歩についいて充分理解が得られなければ住民に一方的に負担を強いることになる。駅前開発は全国的に失敗しており、その理由は行政が一方的に事業を進め、住民参加がないため、全国同じような特徴のない街になっていることにある。
 改めて住民との協議を尽くすように求めた。

9月22日(月)
討論ののち議案の採決
反対討論
 議案第201号平成15年度予算補正予算案中、港湾環境整備事業の補正予算、福岡地下街開発株式会社への増資に関する債務負担行為について、議案第206号、第207号香椎駅前周辺土地区画整理事業関連補正予算案について、議案第213号福岡市と大野城太宰府環境施設組合とのゴミ焼却処理事務の委託に関する協議について議決を求める議案について反対して討論を行います。

 まず反対討論に先立ち、7月19日水害に対する緊急対策の先決議案および補正予算に関連して討論を行います。4年前の水害を上回る被害が出た7月19日水害は、上流域における予想を上回る集中豪雨であったこと、深夜から未明における洪水であったとはいえ、人災の側面が多きと指摘せざる終えません。議案質疑の中で指摘された、初期の市民への通報体制、人員配置の不備、避難誘導の問題、また99年06.29水害以降指摘されていた堤防のかさ上げや山王公園水路の逆流問題、地下街や地下鉄への浸水対策の不備など、防災計画が実践では役立たなかったことが明かとなっています。 今回の水害は未明で起こり、予想を上回る雨量、そして川上域での集中豪雨、予想しなかった事態であったということが理由に挙げられています。しかし、それが災害の本質です。常に予想をしない事態が起こりうることを想定し、最悪の事態に対応する必要があることが改めて明らかとなりました。今回の被害が大きくなった原因は、予想しない事態に対応できない防災計画であったこと、ハザードマップさえ作らなかった防災計画の問題、油断としか言えません。御笠川の改修の遅れがありますが、仮に改修が終わっていたとしても、設計流量は毎秒730トンであり今回の毎秒890トンには耐えられない結果となっていました。水害は発生していたと考えられます。しかし、被害を最小限に食い止めるためには、ハザードマップをつくり水害に備える、初期の情報伝達や人員配置などが改めて検討されなければなりません。今回の水害をキチンと総括し、想定できない事態にも対応できるよう、梅雨前には御笠川流域での防災訓練を毎年行うなど、福岡市の防災対策を抜本的に見直すことを求めます。
 今後の対策として、御笠川の改修および護岸のかさ上げなどの緊急対策を早急に実施するよう国・県に要請するとともに、市内各河川の流域対策を進めなければなりません。地球温暖化、ヒートアラン度現象などから異常気象による今回のような予想を上回る局地的な集中豪雨による災害は今後も、そして市内どこでも起こりえます。都市型災害は都市の保水力の低下、流域全体の保水力の低下が被害を大きくしている要因となっています。御笠川に限らず、市内河川流域における貯留機能、遊水機能、保水機能の強化が必要です。防災は街づくりという視点から、大規模な貯留施設や遊水施設だけではなく、雨水利用を家庭や地域での取り組みが必要です。国でも、水害対策として雨水利用を進めるために、雨水利用する法人に対する税制での優遇措置を執ることにしています。6月議会での節水条例の質疑でも指摘しましたように、家庭や小中学校、公民館などの公共施設を始め、事業者にも積極的に雨水利用を進めるべきです。
 またソフト面でも地域自主防災組織の充実が求められています。様々なNPO、地域組織との連携、社会的弱者に対する支援体制が改めて求められています。防災は街づくりであることをもう一度確認すべきです。
 被災者への支援についても、被害の実態にあった見舞金制度や補償制度になっていないことが指摘されました。生活再建に向けての支援制度の充実が必要です。個人補償についても、地震被害における国の個人補償の見直しの動き、また2002年ヨーロッパ水害の調査団でも水害封建や水害再保険制度の検討など、災害補償の見直しの動きが出ています。国の体制が整うことを待つのではなく、市独自の実態に即した補償制度を求めます。

 次に議案第201号一般会計補正予算における港湾環境整備事業に関する補正予算について反対討論をします。
 今年5月に福岡市は博多港開発(株)へ45億円の緊急融資をしました。銀行でさえこれ以上焦げ付きを出さないために、福岡市に銀行融資の肩代わりをさせたものです。通常の企業であれば倒産状態です。全国各地の自治体が行ってきた埋め立て事業・土地造成事業はことごとく破綻しており、人工島も例外ではありません。埋め立て地を福岡市が買わなければ事業は進まない状況となっています。当初市民には人工島には税金は使わないと説明してきましたが、いまや際限なく税金をつぎ込まなければ人工島建設は進まなくなっています。一体何のための埋め立てだったんでしょうか。そして誰がこの責任をとるのでしょうか。
 2005年には人工島で緑化フェアを計画しています。緑化フェアを開催する目的は人工島の土地の魅力を高めるためだと行っています。売れない人工島の土地を売るために45億円ものお金をかけようと言うのです。こんな税金の無駄遣いが許されるのでしょうか。
 また、これまで市立病院のあり方が問題となってきましたが、このたび市民病院と子ども病院を統合し、高度医療機関として再編することになりました。ところが、この新病院を人工島に建設ことが同時に提案されています。どうして新病院を人工島に建設しなければならないのでしょうか。用地の規模や適正配置を理由としていますが、仮にそれを認めたとしても、人工島に建設する理由はありません。子ども病院の利用実態は、市民以外の利用者が約半数を占められています。このことは、子ども病院の必要性が広く認められ広域的な利用者の要請があることを示しています。この子ども病院の役割を考えれば、より広域的に立地の検討がなされても良いのです。利用者の多くが市民であることからも市民が利用しやすいところに建設すべきです。
 港湾区域では新たな問題も出てきました。東京港、大阪港、名古屋港、神戸港など全国8港湾、また2空港で致死率が高いハンタウィルスなどの病原菌をもったを持った外来種のネズミが見つかっており、港湾地区に隣接する場所に病院や住宅地などを建設することは好ましくありません。どうしてこんなところに新病院を建設しなければならないのでしょうか。人工島に新病院を建設する計画は、人工島事業破綻の穴埋めとしか考えられません。
 人工島の破綻は明らかです。破綻が明らかなこの埋め立て事業は直ちに中止し、市民を含めて抜本的な見直しを求めるものです。よってこの議案に反対するものです。

 つづいて案第201号平成15年度予算補正予算案中、福岡地下街開発株式会社への増資に関する債務負担行為について反対討論をします。この議案は福岡市が福岡地下街開発会社に平成16年度、17年度に分けて16億円の増資をするものです。全国の第三セクターの破綻が大きな問題となっており、福岡市においても第三セクターの抜本的見直しが迫られています。地下街開発株式会社は新たな地下通路の建設にともなう地下街の拡張を計画していますが、この計画は当初からオーバーストア状況を生み出しと考えられ、採算性が疑問視されていました。周辺の反対の声を押し切ってでもこの事業を進めたのは誰か、誰がこの事業を進めようとしているのか、無責任な開発事業をなくすために責任の所在を明らかにし責任をとる仕組みが必要です。
 近年の不況の中で地下街開発株式会社の収益は落ち、事業の見通しはいっそう厳しいものとなっており、銀行でさえも融資を渋っています。今回の増資についいては他の企業からの増資はなく、福岡市が全面的に増資をすることになっています。増資の理由は地下街における通路および広場などの公共施設建設に対する負担としています。しかし、計画の見通しが厳しい事業にどうして福岡市が増資をす必要があるのでしょうか。そもそも、地下街の延伸はオーバーストアを招き、周辺商業施設にも影響を与えることになり、地下街株式会社の収益をいっそう悪化させることになります。市の説明でも、地下街延伸部分だけでは採算がとれないことを認めており、現地下街との一体的な経営で維持するとしています。それも現状の売り上げが維持できることが前提となっています。地下街開発株式会社は販売促進や人員の削減、委託の見直しなどの経費削減を進めるとしていますが、「コスト削減など民間だったら当たり前のことが出来ていなかった」と友池社長自ら述べているように、行政が収益事業に関わるべきでなかったのです。
 そもそも、なぜ福岡市が収益事業をしなければならないのか、その理由はありません。通路等の公共施設について負担が必要であれば周辺事業者も含めて応分の負担をすればよく、出資して事業そのものに関わる必要性はありません。甘い見通しにより、結果として市民に負担を求めることになりかねない地下街開発株式会社への増資はやめ、事業そのものを見直しすべきです。民間がすべきことは民間に任せ、行政がすべきことは行政が責任を持って行う、民と官の整理をすべきです。よって今回の増資案には反対します。

議案第206号、第207号、香椎駅周辺土地区画整理事業関連の補正予算について反対討論をします。
 そもそも土地区画整理事業制度に問題があります。土地区画整理事業は地価が右肩上がりに上がり続けことるを前提にし、減歩しても地権者の財産を保全しかつ価値を高めとして地権者に負担を強いる一方、減歩によって得た保留地の処分によって事業費を賄おうというものです。地価下落が進む今日、この制度はすでに破綻しています。さらに、この香椎駅前周辺土地区画整理事業の進め方が強引であるため、住民の合意形成が出来ず、事業は遅れ、今日に至るまで混乱が続いています。
 全国各地で行われてきた駅前開発は金太郎飴のように同じような顔になっており、失敗例に事欠きません。福岡市においても、土地区画整理事業・再開発事業の多くは失敗しています。その原因は、住民の参加がないまま、バブル期の地価高騰を背景に強引な開発を進めたことによります。街づくりは住民が参加しなければ失敗します。特徴がある街、魅力ある街にするためには、住民の創造力が求められます。これまでの福岡市の対応に住民は多くの不信感を持っており、福岡市の今後の対応が問われています。このままでは香椎駅前周辺も全国の例に違わず失敗する可能性がよりいっそう高くなるものと考えられます。よりよい街づくりを進めるためには、時間が掛かってもキチンと住民と向き合うべきです。よって、香椎駅前周辺土地区画整理事業に関連する補正予算に反対するものです。

 最後に、議案第213号、福岡市と大野城太宰府環境施設組合とのゴミ焼却処理事務の委託に関する協議について議決を求める議案について反対討論を行います。
 福岡市はこれまで都市膨張政策を進め、ゴミは増え続けるとして過大な焼却施設の建設を進めてきました。国ではすでに97年(平成9年)、当時の厚生省「ゴミ処理に係るダイオキシン削減対策検討委員会」は、ゴミ排出抑制と焼却量の削減をダイオキシン発生防止対策の基本とするガイドラインを策定しています。99年(平成11年)には政府は一般廃棄物について、2010年(平成22年)までに96年(平成8年)対比で、排出量5%削減、焼却量15%削減、最終処分量50%削減を目標として閣議決定しています。ところが、福岡市は国の施策に反して、98年(平成8年)に策定した「第2次福岡市一般廃棄物処理基本計画」でも国の方針とは反対に焼却主義を進め、右肩上がりのゴミ処理計画をつくり過大な焼却施設を建設してきました。
 現在の福岡市での処理能力は、公称能力日量3050トン、80%稼働として日量2440トンです。東部工場の建て替えが終わり旧東部工場および東部第2工場を廃炉にしても、処理能力は公称処理能力日量3150トン、同じく80%稼働として日量2520トンになります。一方、これまでのゴミ処理実績を見ると日量で平成9年1876トン、平成10年1762トン、平成11年1840トン、平成12年1877トン、平成13年度1876トンとなっており、ゴミ処理量は頭打ちとなっています。現状でも日量600トンを超える量が過剰となっており、新東部工場が稼働すると700トンを超える過剰施設となります。福岡市ゴミ循環システム研究会は2001年(平成13年)にゴミ処理の削減目標を2010年(平成22年)までに2000年(平成12年)比10%削減を目標としています。福岡市がこの目標に向けて取り組めば、日量800トンを超える処理能力が過剰となります。南部清掃工場の建て替えはもち論、改修も必要ではなく、現施設は廃炉すべきなのです。そもそも臨海第4工場の建設事態が不要であったのです。国の方針にも逆らい、過剰なゴミ処理計画をつくり、過大な焼却施設を建設し続けたことを福岡市は反省すべきです。この反省がないまま、他都市のゴミ処理を受け入れることは許されるはずはありません。
 今回の大野城市・太宰府市のゴミ処理事業の受託は、破綻したゴミ処理計画の隠蔽であるとともに、反省がないままに焼却主義を続け、大野城市・太宰府市地区に最終処分場を求めようというものです。ゴミ処理の基本は域内処理です。ゴミ処理の広域化、処理施設の大規模化はゴミ減量にはなりません。排出抑制を進め、焼却量を減らすことがダイオキシンの発生を減らし、最終処分場を延命させることになります。ところが、福岡市はこれまでの焼却主義の反省に立たないばかりか、過大な焼却施設建設の破綻を隠すために大野城市・太宰府市のゴミ処理を受け入れようとしているのです。このことは桧原葬祭場建て替えでも、葬祭場の既存施設を利用することを入札の応募要件にしていないことにも現れています。建設後まだ20年程度しか建っていない施設を建て替えるとは、廃棄物削減を市の政策の基軸としてすえていないことを示しています。福岡市が廃棄物排出削減を真剣に考えているのか疑われます。
 今回の大野城市・太宰府市のゴミ処理受け入れは、現在の南部工場の改修をした上で当面両市のゴミ処理を受け入れ、10年後には南部工場を建て替え、新たな施設を大野城市・太宰府市を含めた4市1町で運営する将来計画を含んでます。しかし、前述の通り福岡市のゴミ処理施設は過剰であり、南部清掃工場は改装せずに廃炉にし、新たなゴミ焼却施設建設は止めるべきです。4市1町各々の自治体において分別収集を強化し、排出抑制を進め、焼却量削減に取り組み、さらに焼却施設を減らしていくべきです。そのためにも地域内処理を原則にして、それぞれの自治体が責任を持ってゴミ処理することを求めます。よって、議案213号は認められません。

 以上をもって、討論を終わります。