2023年12月議会報告

Pocket

12月議会の主な議題

一般議案

〇人事委員会勧告に基づく職員給与の増額に関する条例改正

〇会計年度任用職員の勤勉手当支給に関する条例改正

 勤勉手当分が若干総額になる

〇7区の区保健所廃止と市保健所をあいれふに設置する為の関連条例の改正

 市民や関係機関に説明もなく、議会も議案書配布時で初めて知らされるという非民主的な運営が問題となる。感染症の緊急時対策として区保健所を無くすことはマイナス。市民からの抗議行動がありましたが、賛成多数(7名の反対)可決。保健所運営について今後市民の監視が必要。

〇福岡市国民健康保険条例の一部を改正する条例案

 出産被保険者の出産の予定日又は出産の日の属する月(以下「出産予定月」という。)の前月(多胎妊娠の場合には、3月前)から出産予定月の翌々月までの期間に係る所得割額及び被保険者均等割額を減額。

〇福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例の一部を改正する条例案

 事業者に合理的は料を義務づけるなどの改正

〇集落排水事業を特別会計から企業会計に変更する条例

 入金方法が多様な方法にすることができる

〇市の施設の指定管理者指定

 利用者の意見を聞かないまま老人福祉センターの風呂が廃止されることは重要な問題。

〇人工島地区地区計画及び天神明治通り地区地区計画の区域における建築物の用途等に関する事項について条例による制限として定める等の改正

〇市営住宅建設の契約

〇福岡市の道路の管理不全など、市の原因による事故の損が賠償についての議決

補正予算案

〇物価対策

・物価高騰緊急支援給付金

住民税非課税世帯に対し、1世帯当たり7万円を支給

・介護・障がい者施設等への光熱費・食費支援

光熱費・食費高騰の影響を受けた市内介護施設、障がい者施設等に対して、価格高騰相当分を助成

・保育所等への光熱費支援

光熱費高騰の影響を受けた市内保育所等に対して、価格高騰相当分を助成

・中小企業等への光熱費等支援

光熱費等高騰の影響を受けた市内中小企業者等に対して、価格高騰分の一部を助成(補助率1/2、上限60万円)

〇道路・街路・港湾関連公共事業の国の補助金増額による補正

〇給与改定等

・月例給平均改定率0.84%引上げ、

期末・勤勉手当4.40月→4.50月分

〇ガザ地区における人道的休戦を求める決議案

森議員の議案質疑

1 議案第228号福岡市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案及び議案第229号単純な労務に雇用される職員の給与の種類及び基準を定める条例の一部を改正する条例案

地方公務員の非常勤職員等の適正任用や処遇確保の観点から地方公務員法及び地方自治法の改正がなされ、令和2年4月から施行されました。この法改正に伴い、それまでの臨時的任用職員や特別職非常勤職員の多くが、一般職職員として新設された会計年度任用職員に移行し、期末手当等が支給されることとなりました。しかし、会計年度任用職員の勤勉手当については、制度創設当初、支給できないこととされていましたが、国の非常勤職員の支給実績が広がってきたことなどから、地方自治法が改正され、令和6年4月から会計年度任用職員に対して勤勉手当の支給が可能となります。。

地方自治体ではこの30年余りの間に、正規職員が55万人余りも削減された状況で、その分非正規公務員が増加しました。劣悪な処遇は、「官製ワーキングプア」を生み出し、その多くは主に女性労働者です。保健師やSC、SSW、司書など専門的なスキルが要求される職場で会計年度職員が多いことは、市民、特に子どもたちにとってはもちろんのこと、住民サービスとして専門性を頼る関係部署にとっても制度があっても機能を果たせない状況にはなっています。今回、会計年度任用職員にも正規職員と同じ月数で勤勉手当が支給されることで処遇改善になるとは言えますが、会計年度任用職員に女性が多いことからも女性の貧困にも繋がっており、低賃金労働を行政が広げることになっていること、制度を機能させるために処遇改善だけでなく、会計年度職員を正規職にしていくことを求めました。

2 議案第232号 福岡市健康づくりサポートセンター条例の一部を改正する条例案及び議案第233号 福岡市保健所及び保健センター条例案

 この議案は7区の保健所を1つの保健所に統合し、7区に新たに保健センターを配置、各区の保健所運営協議会を福岡市保健所運営協議会に統合する議案です。統合の問題点と提案する経緯の問題を質しました。

新型コロナウイルス感染症対応を振り返る中で、情報の集約や分析など区を超えた健康危機事案への対応や、感染動向を踏まえた全市的な対応方針の変更等に係る機動的な対応などに少なからず課題があった、またこれまでの保健所における保健所機能のみを一元化し、市民にとって身近で利用頻度の高い保健サービスを提供する保健センター機能は、これまで通り、各区の保健福祉センターで実施し、変更が生じないと答弁しました。しかし、新型コロナウイルス感染症対応を振り返ると、平時からの緊急時へのスムーズな移行するには、緊急時に必要な人員を確保することや地域での機能をより有効に機能する必要があり、一元化するのではなく従来の7区保健所での人員配置を充実させ、柔軟に対応できる体制にすることが重要です。

 また提案の経緯ついて保健所機能に関連の深いや関係団体など、の意見を聞きながら丁寧に検討を進めてきたと答弁していますが、区保健所運営委員会や保健福祉審議会には知らされていません。突然の議案であり、議員無視、市民無視ということです。民主的な市政運営を進めることが重要です。今回は白紙にし、本当に大切な体制づくりを携わる方々や関係機関、そして市民と共に市民の暮らしと健康を支えられる機能を構築することを求めました。

3、議案第248号ないし254号福岡市立老人福祉センターの指定管理者の指定について

 老人福祉センターの指定管理の内容の変更について、高齢化が急激に進む中、健康寿命を延伸し、高齢期を元気に活動的に過ごせるよう支援することが重要となっており、老人福祉センターについては、「高齢者の社会参加の拠点施設」として、コーディネーターの配置と、社会参加にかかわる支援の強化、老人いこいの家など地域での事業展開の強化、入浴事業の廃止と必要な設備への改修等に取り組むことと説明しています。しかし、「高齢者の社会参加の拠点施設」としての強化と入浴施設の廃止は関係ありません。利用者の声も聞かず、市の都合で一方的に廃止することは問題です。社会参加にかかわる支援の強化は聞こえがいい言い方ですが、高齢者の雇用促進は働かざるを得ない経済状況を作り出している社会福祉制度の貧困にあるという状況です。軍拡と言われるような防衛費を増やすための増税はやめ、若者にも、子育て世代にも高齢者にも暮らしのために政治が働かなければならないことだと考えます。高齢者に必要な財政政策を国に求めるべきと質しました。

4 議案第216号一般会計補正予算案第4号の内、港湾改修事業について

 既存施設有効活用促進事業の中の博多ふ頭地区の整備に関して質問しました。今年9月29日日経新聞の記事では全国33カ所を選定し、防衛強化のため来年度予算案の「公共事業費に計上することをめざす」ことや「管理する自治体と近く協議を始める」また、11月27日の朝日新聞報道では、防衛力強化のために全国の空港と港湾の整備を進める「公共インフラ整備」の原案が政府関係者への取材でわかった。自衛隊などが使いやすいよう延伸や拡張する候補地として、全国の空港14施設と港湾24施設の計38施設を選定したとされています。報道では、整備の関連費用は来年度予算に盛り込む方針ということではありますが、今回の補正予算案で示されている既存施設有効活用促進事業が、前倒しとして扱われるのではないのか質問しましたが、明確な回答はありませんでした。日本の歴史学・政治学者である、山口大学の纐纈(こうけつ)厚名誉教授の「平時と戦時の線引きがなくなりつつある」との発言もあり、民間施設が軍事利用されることになると、市民が知らないうちに標的になる事であり、民間施設の軍事利用をやめさせなければなりません。

森議員の一般質問

1 博多港の防衛強化について

 国から特定重要拠点港湾に指定されと言う報道について、「総合的な防衛体制の強化に資する取組みの方向性について、10月10日に国から説明を受けた、特定重要拠点港湾とされた場合には、岸壁や航路の整備などの既存事業の促進を図るものであること、また、平時において、自衛隊、海上保安庁の船舶が円滑に利用できるような利用調整に関する枠組みを設けるものと聞いている。」と答えています。佐藤正久参議院議員の「有事に米軍が部隊派遣できるようにする意味もある」との説明があるように、自衛隊の使用可能な施設は米軍が使用できるようになります。福岡市が兵站基地となれば標的になり、市民の犠牲が強いられます。安保三文書の書き換え自体危険で、防衛という名の軍事利用可能なことが危険すぎます。国や市が言う「適切」が、住民にとって本当に適切なのか疑義を抱くようなことが多々起こっています。市長は市民の代表として軍用化を拒否し、有事にさせない政治を国に求めるべきことを、強く求めました。

2、自衛隊への本人の同意なき名簿提供について

 自衛隊へ18歳と22歳の市の名簿提供が令和2年から始まり、福岡市は4年間で合計118,256人の名簿を渡しています。除外する措置を行った人数は合計583人となっていますが、市民の多くは除外措置については知らないと考えられます。個人情報保護法は本人同意なしに目的外利用を禁止しています。されています。市は自衛隊法97条及び施行令120条で「資料を求めることができる」を根拠に、改正個人情報保護法69条の「法律に定められている」ので同意を取る必要はないといっていますが、根拠はありません。改正個人情報保護法が4月に施行されましたが、昨年3月に福岡市は個人情報保護委員会に紹介しており、その回答は「提供を行うべきか否か、その具体的方法は、各地方公共団体が法令の趣旨に沿って適切に判断すること。」と答えており、自衛隊法97条及び施行令120条は法的根拠にはなっていません。施行令が言う「資料」は募集状に関する情報を指すとされており、個人情報を指すものでありません。個人情報保護の立場から、提供していたが提供をやめた自治体や提供していない自治体があります。法解釈に規定なく勝手に名簿提出を「可能」と決めつけ、本人の権利利益を不当に侵害していることを指摘しました。

3,安心メール問題について

 本年7月、小学校にワクチンの治験案内メールが配信された「学校安心メール」について問題となりました。教育委員会は「学校安心メールの利用を希望する学校が、メール配信会社と利用にあたっての条件等を相互で確認したうえで、保護者に利用登録をお願いしている。保護者が、本サービスの利用規約を確認したうえで、自ら氏名等の登録を行うことになっており、学校から個人情報の提供は行っていない。」と答えています。学校とメール配信会社との間で利用条件を確認するとのこと答えていますが、利用条件等を記した「学校安心メール利用確認書」を取り交わしている学校と、口頭で確認している学校があるとのことです。「利用確認書を取り交わしていない学校が60校もあるとのことだが、重要な書類を作成していないのは問題ではないのでかとの質問に、教育委員会は「児童生徒や保護者の個人情報を学校が提供するものではなく、保護者が利用規約を確認したうえで、個別に利用登録を行っており、問題ないと考えている。」と答えており、極めて無責任な回答をしています。学校からの案内ということで、安易にその名の通り安心できるものだと思ってしまうし、学校が進めるものは教育委員会ともきちんとした契約なりがあるものと勘違いを引き起こします。しかし、教育委員会は「学校安心メールは、メール配信会社が広告の基準を定めて運用している一方で、効率的に保護者に連絡できる一斉メール配信サービスを無償で利用できるというメリットがあり問題はない」と無償を理由に保護者の個人責任に転嫁しています。大阪市は市の費用で広告がないメールを実施しており、教育委員会が責任を持って、広告の入らないメール配信の仕組みを構築すべきと質したところ、「今年度中には各学校に対し、安心して活用できる適切なサービスを紹介していく予定」と市費で責任持ったメールを始めることを拒んでいます。教育機関を通じ、個人情報を企業に保有させています。デジタル時代だからこそ、教育委員会の責任において、教育のあり方としての見直しをすることを強く求めました。

7区の保健所を廃止し、1カ所に統合・合理化することに強く抗議します。区保健所の復活を求めます。!

市民や関係者にも知らせないで7区の保健所を廃止することは許されません

令和5年第6回福岡市議会(12月定例会)において、福岡市保健所及び保健センター条例案として7区の保健所を廃止し、福岡市保健所に一元化する議案が上程されました。市民は7区の保健所が廃止され市保健所に統合されることは12月5日の新聞報道によって初めて知りました。市議会議員も12月4日に議案が出されて初めて知りました。12月議会で分かったことは、議案を起案したのは10月19日、保健医療局局長が決裁したのは10月23日、局長決裁後の同日に医師会と公式協議したことでした。医師会に通告するような進め方をしていた点、さらに7区にある保健所運営協議会や保健福祉審議会にも全く諮っていないことが分かりました。市民への意見聴取や説明がないこと、関係者の意見が聞かれてないことは許されません。

緊急時に対応するためには平時からの7区の保健所体制が必要です

区の保健所が私たちの暮らしにとって大変重要であり、統合することで様々な影響を受けることから、統合に強く反対します。市は新型コロナウイルス感染症対応における課題として、①平時から有事へのスムーズな移行、➁区を超えた健康危機事案への対応、③全市的な対応方針の変更等に係る機動的な対応、を説明しています。保健所の一元化でもって示された課題が解決できるとは考えられません。むしろ新型コロナウィル感染症対応の全国の状況を見ると、医療機関や保健所の縮小及び保健所などでの保健師の削減が緊急時の対応を破綻させた原因となっています。平時から有事へのスムーズな移行には7区の保健所の維持と保健所での人員の拡充が重要です。指揮系統の強化の問題も組織の日常的な訓練と、専門職員のキャリアアップと継続性によって解決されます。一元化によって健康危機管理体制の強化にならないことは明らかです。一元化による人員削減がなされれば、職員の負担増と市民サービスの低下が危惧されます。

議会は市民の負託に応え、市長は民主的運営をすべきです

12月定例会において、福岡市保健所を統合する議案が7名の議員しか反対しないという結果で可決されました。12月4日に議案が出され、わずか15日で結論を出すという異常な議会でした。議会として市民や関係者の声を聞き審議を尽くすことはできていません。このような状況で議案に賛成することは、地方自治の本旨である二元代表制の下、高島市長をチェックする責務を放棄したもので、市民の負託を裏切る行為です。同時に、市民や議会を無視した市長の進め方は民主主義を否定するものであり、住民の福祉の増進を図ることを本旨とする地方自治の否定でもあります。市長にこのような市政運営をやめることを強く求めます。市長は「福岡市保健所及び保健センター条例」を撤回し、改めて議論を尽くす手続きを求めます。