政府及び東京電量は8月24日午後1時頃から福島原発事故で生じた汚染水の海洋放出を始めた。そもそも汚染水は東京電力による福島原発事故とその後の東電と国による地下水の建屋への流入を止めなかったことによって生じたものである。政府及び東京電力は原発事故による環境破壊をこれ以上広げない責務がある。漁業関係者をはじめとする様々な関係者及び多くの国民が海洋放出に反対しており、政府及び電力は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と答えてきた約束を遵守し、国民の声に耳を傾けなければならない。
政府は、汚染水の海洋放出の影響を「風評被害」に矮小化しているが、「風評被害」ではなく「実害」である。ALPSで処理された汚染水には、トリチュウムだけでなくセシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素129などの放射性物質が残留している。政府及び東電は海洋放出に当たり、トリチュウム以外の放射性物質について汚染水中の残留量及び健康被害などについて触れられていない。希釈して海洋放出しても放射性物質の総量は変わらず、環境中及び食物連鎖による生態濃縮などの影響は明らかにされていない。
また、政府は、IAEAの「国際安全基準に合致」し、「人及び環境に対する放射線影響は無視できるほどである」という報告をもって「安全」としているが、この報告書には「海洋放出の方針を推奨するものでも承認するものでもない」との記載があるように、「安全」を担保したものではない。トリチュウムは自然界に存在することや他の原発から排出されてれていることをもって、希釈して海洋放出することに何ら道義的責任はないとしているが、人為的に放射性物質を環境中に排出することは環境汚染を進め、健康被害のリスクを高めることで許されない。
汚染水処理については、海洋放出以外に大型タンクを増設するとか、汚染水をモルタル固化するなどの有効な代替案が提案されているが、十分に検討されていない。政府は海洋放出は30年ほどもかかると言うが、廃炉が完了するまでは汚染水は発生し続け、海洋放出が続けられることになる。デブリを回収し廃炉にする見通しは未だ立っておらず、長期に亘りに海洋放出を続けることは許されない。海洋放出以外の対策を取る責任がある。
汚染水の海洋放出は、事故を起こした責任及び汚染水発生者の責任を放棄するもので許されない。ふくおか緑の党は海洋放出に強く抗議し、政府及び東京電力に「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と答えてきた約束を遵守し、国民の声に耳を傾け、海洋放出を直ちに中止することを強く求める。