2022年12月議会報告

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12月議会の主な議案

補正予算案:➀出産・子育て支援として妊娠時に5万円、出産時に5万円、計10万円の現金給付に係る予算、②介護・障害者施設等への光熱費・食費支援の給付、学校等公共施設の光熱費の増額、③新型コロナウイルス感染症対応経費(ワクチン接種費、急患センターの体制強化、オンライン診療の支援、介護・障がい者施設等でのオンライン化のタブレット購入費1/2を助成)、④市職員の給与改定など

一般議案:➀職員の給与に関する条例の改正、②戸籍の謄本等のオンライン申請の手数料50円減額する条例改正、③狂犬病接種手数料の無料化の条例改正、④地球温暖化防止対策として断熱構造の強化及び再生可能エネルギー施設等の設置義務化などの法律改正による低炭素建築物申請手続きの変更に関する条例改正、⑤アミカスや市営住宅など公共施設の指定管理者の指定、⑥宝くじの販売額の上限の決定、④三瀬トンネルの料金変更の同意など

議案質疑

1、議案第196号福岡市建築関係手数料条例の一部を改正する条例案について

この条例改正の原因となっている都市の低炭素化の促進に関する法律は、都市の低炭素化の促進を図ることを目的として、低炭素建築物新築等計画の認定制度などを定めています。2020年に政府が2050年カーボンニュートラルを表明したことから、低炭素建築物の認定基準をより高い水準に引き上げるものとして、今年10月に法律が改正されたものです。認定申請単位が共同住宅や複合建築物の住戸については住宅個別の認定が廃止され、複合建築物の住宅部分、非住宅部分の認定が新設されました。また、省エネ誘導基準の見直しおよびその他講ずるべき措置が見直しとなっています。

省エネ誘導基準のエネルギー消費量を、改正前での省エネ基準が10%以上の削減であったことに対し、改正後は建築物の用途に応じて20%から40%以上の削減する断熱構造を強化することでのエネルギー消費削減を進めることを図っています。また、認定基準に太陽光発電設備や風力等を利用する発電設備、太陽熱・地中熱を利用する設備などの再生可能エネルギー利用設備を設置することを義務づけることで再生可能エネルギー利用の促進を図るものです。また、断熱構造を強化することはヒートショックを減らし、介護や医療における財政的および人的負担軽減にもつながります。しかし、現時点では低炭素建築物認定の申請をされるは任意であり、今後新築される建築物が全て低炭素建築物になるものではなく、また、対象地域は市街化区域等に限定されていることから、福岡市として認定申請するよう政策的に誘導することを求めました。

2、議案第179号令和4年度福岡市一般会計補正予算案(第5号)母子保健費について

この議案は出産・子育てを応援するための経済的支援として、令和4年4月以降に出産した方に、妊娠の届け出をしたときに5万円、出産したときに5万円を給付する事業です。

今回の補正予算における事業は令和5年9月までとのことですが、今後は恒久的な制度となると見込まれているとのことです。ライフステージに応じた子ども子育て支援の一環として経済的支援と併せて相談支援等がなされることは一歩前進といえます。しかし、3歳未満児の保育費の無償化や保育における副食費の無償化、学校給食の無償化や子どもの医療費の無償化など、子育て支援がさらに充実される必要があると考えます。市としてこれらの事業を先行的に取り組むとともに国に制度として確立するよう要請することを求めました。

 また、今回のような給付事業において民間に委託することは、市に直接的指揮権がないため、事業者は契約の範囲でしか措置できず、イレギュラーな事案が生じた場合には必然的に対応が遅れます。また、事業進捗の管理も間接的になり、給付の遅れの原因となります。迅速かつ的確に給付を行うためには、市が直接事業を行うよう求めました。

一般質問

1、個人情報保護条例の改正について

 昨年個人情報保護法が改正され、地方自治体の個人情報保護条例が改正されることになりました。個人情報保護法が改正され、法律およびガイドラインにより全国一律の判断基準で個人情報保護を行うとしています。しかし、これまで自治体が積み上げてきた住民の権利利益を守る取り組みが、統一的運用によるとして個別事案の諮問を個人情報審議会などに審議させないなど、地方自治を侵害するもので、問題が残る改正です。また、政府は個人情報を匿名化することで個人情報の利活用を進めることに前のめりとなっており、同意なき個人情報を収益活動に使用することを認める・進めるというあり方は、憲法に保障された個人情報の自己コントロール権の侵害です。私たちは行政サービスを受けるために個人情報を提供しており、目的外利用は原則禁止です。同意がない匿名化による行政情報を収益事業に提供することには公益性はなく違法な目的外利用です。加えて収益活動に匿名化された個人情報の提供が義務づけられ、大量に匿名化された個人情報が出回り、また個人情報がオンラインでつながりやすい環境は、ますます個人情報漏洩のリスクが高まります。福岡市は地方自治の本旨である「住民の福祉の増進を図る」ことに則り、個人情報保護法の不備を補完し、現在の福岡市個人情報保護条例を下回らないよう住民の個人情報保護に資する条例改正を強く求めました。

2、地下鉄七隈線空港延伸について

 地下鉄七隈線を福岡空港国際線ターミナルまで延伸する構想が11月21日市長選直後に西日本新聞に報道されました。西日本新聞に報道された内容は七隈線の国際線延伸について具体的な路線位置が記載されており、朝日新聞の報道とは全く異なる内容です。答弁では「課題として認識しているが、地下鉄七隈線の国際線延伸について具体的な検討は行っていない」としていますがあの記事を読んだ市民は既に計画が確定し事業が始まると誤認すると考えます。そもそもこれまで議会で説明を受けてきた地下鉄の計画には全くない計画であり、また報告もありませんでした。事実でないのであれば西日本新聞の記者が記事をねつ造したということであり、福岡市として西日本新聞に謝罪を求めるとともに訂正記事を掲載するよう求めることを要請しました。