2月議会の主な議案は➀保育士や介護従事者などエッセンシャルワーカーと言われる方達の処遇改善のための交付金、②3回目のコロナワクチン接種のための交付金、③2021年の市税収増による世界水泳サッカーくじtotoからの助成予定額30億円を建て替え積み立て及び庁舎建設等資金積立金80億円積み立て、宿泊税増による約17億円を基金積立など、④学校施設整備の補助の増額、⑤臨時座清田作歳の前倒し交付135億円、⑥科学館の閉館中の損失補填、⑦人工島の土地処分、等でした。議案第15号福岡市科学館特定事業にかかる契約の一部編について及び議案第20号及び21号 埋立造成地の処分について反対しました。
まず、議案第15号福岡市科学館特定事業にかかる契約の一部変更について反対の理由を述べます。
この議案は新型コロナウイルス感染症対策のため市の要請に従い科学館を閉館したことにより、利用料金の減少及び市が求める必須事業収入の減少額を、閉館による使用されなかった水光熱費等を差し引いて補填する議案です。この議案の問題点は、一つには補填の在り方として閉館した日数の日割りではなく、閉館した日があった月数で補填されていることです。これは事業者に開館していた日についても補填することになり、サービス購入費を二重に支払ったことになり、市民に損害を与えたことです。
二つ目はそもそもPFI事業で行っていることから、福岡市直営で行っていた時よりも実質的には負担が多くなっていると考えられることにあります。2020年度12月議会における同様の契約変更の議案について指摘があったように、来館者数は初年度には当初見込みの3倍、次年度も倍近い利用料金等収入の実績があり、利益は当初計画より大幅に上乗せとなっており、2年間の新型コロナ感染症による影響については十分対応できるものです。加えて、PFIでは株主への配当が確保されることを前提に事業計画が作られていることから、このよう事態には対応する余力があり、株主配当を減額してでも対応すべきものです。市直営事業であれば、同じ料金体系であれば株主配当分は市民に還元でき、もっと柔軟な対応が出来ます。以上の理由から今回の契約変更の議案に反対するものです。
次に、議案第20号及び21号 埋立造成地の処分について反対の理由を述べます。
本議案は人工島港エリアにおける造成地の土地処分についての議案です。議案では、議案第19号国等への土地処分の㎡単価は平均で10万6千円余、議案第20号株式会社ニトリへの土地処分は㎡単価18万8千円余、議案第21号東京建物株式会社を代表とするグループへの土地処分の㎡単価は30万円余なっています。ほぼ同じ面積の土地処分でありながら、国等への土地処分は不動産価格評定委員会の評価価格であり、ニトリ及び東京建物グループへの土地処分は公募による競争入札となっています。
2020年2月議会で議案における造成地の処分価格は、日野セールスサポート株式会社の㎡単価は11万7千円余、琉球海運株式会社の㎡単価は11万2千円余であり、これらの土地処分価格と比較するとニトリの価格は1,6倍強、東京建物グループは2,5倍強となっています。議案第20号の分譲予定の区画については、複数事業者からなるグループでの申込みを含めて11件、事業者数では19社、議案第21号東京建物株式会社を代表とするグループへ分譲予定の区画については、複数事業者からなるグループでの申込みを含めて7件、事業者数では15社が応募した結果であり、投資予定額はニトリ約325億円、東京建物グループ約297億円となっており、競争が働く環境にあることが明らかです。
立地交付金制度は山崎元市長が破綻した人工島事業を継続するために売れない土地を売るために創設したもので、当初は上限は2億円であったものがその後引き上げられ、吉田市長の時に事業の再検討がなされ上限が10億円に引き上げられました。高島市長が2012年に人工島事業を見直した時に160億円の赤字、最大421億円の赤字となるとされました。土地処分について「立地交付金・補助金の拡充、定期借地権なども検討すべき」との指摘を受け、立地交付金を30億円に引き上げ,4年間で240億円を交付するとしました。2016年3月をもって上限30億円の交付制度は終えて土地建物対象上限10億円プラス雇用対象上限5千万円の交付制度になっています。しかし、今回の土地処分状況を見ると競争性が働く環境にあり、立地交付金制度を継続する理由は無くなっているといえます。
そもそも立地交付金は全額一般会計から支出されるものであり、破綻した事業に多額の税金を使うこと自体に問題があります。子どもの支援や学校教育など市民に必要な事業に使うべきものが,破綻した事業に多額の税金が使われてきたことは、地方自治体の本旨である「住民の福祉の増進を図る」に反するものです。速やかに立地交付金制度を廃止することを求めます。
最後に、一般会計補正予算案には新型コロナウイルス感染症対策費が主たるものであり、賛成するものですがいくつか意見を述べます。
一つ目は世界水泳が1年間延期され緊急性がないにもかかわらずサッカーくじtotoからの公的助成等の相当額30億円を開催経費の財源とするために積立を行うことは問題です。この30億円は今年補正で急いで建て替えて積み立てしなくても後日助成予定されるものであり、もっと市民のために使うべきです。
また、1年延期されたことで追加の費用が発生することとなり、90億円を超える税金が世界水泳に使われます。オリンピックのような巨大スポーツイベントは開催国及び開催都市の負担が大きくなっており、その利益の多くは競技団体及び巨大放送事業者にいきます。市民や国民の税金の上に巨大企業の利益が生まれる極めて不公正な構造になっています。同様に、世界水泳も開催都市である福岡市の負担が膨らんでおり、経済波及効果が470億円といっていますが、その利益の多くは大企業に行き、市民の負担の上に成り立つ極めて不公正なものです。これが市民の福祉の増進といえるでしょうか。経済政策として巨大スポーツイベントを市民負担の上で行う発想はSDGsにも反し、加熱な開発投資を誘発し、住環境を悪化させます。巨大イベントに頼らない、市民の身近な文化・芸術・スポーツの振興によるウェルビイングを実現すべきです。