12月定例議会の議案
○主な補正予算案
1、生活困窮者支援として、➀生活困窮者自立支援事業の追加、②非課税世帯へ1世帯10万円の臨時特別給付金給付、③子ども支援として5万円相当のクーポン給付など、
2、新型コロナ感染症対策として➀ワクチン接種費用、②検査・入院体制の強化、③医療・介護従事者への支援、④感染者のフォローアップなど、
3、事業者支援としてのプレミアム商品事業やエンターテインメント支援事業など、
4、災害復旧及び災害対策費の増額等
○主な一般議案
1、保健福祉局を感染症対策等の強化と福祉関連事業の充実を図るため、保険医療局と福祉局に分ける
2、デジタル化による税務手続きを簡素化する条例改正
3、発達障害者支援センター及び障がい者就労支援センターを舞鶴1丁目に設置するための条例
4、開発行為の強化等に関する条例案の改正
5、市の施設の指定管理者の指定
6、発達障害者支援センターや市営住宅等の工事請負契約
○議員提案議案
福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例の一部改正案
※子どもの臨時特別給付金は政府が方針変更したため、24日に一括で10万円現金での給付となりました。
議案質疑
1、非課税世帯への10万円臨時特別給付金の給付について
非課税世帯への臨時特別給付金の給付の在り方についての詳細がまだ決まっていないとのことです。国会では18歳以下の子どもへの10万円相当の臨時特別給付金の給付の在り方を巡って迷走しています。国は地方の状況を把握しないまま前のめりの対策を進めていることに混乱と無駄な経費を生じさせ、地方自治体に負担を強いることになっています。生活困窮者の支援は急がれています。公正さを確保するガイドラインは必要であるとしても、国に対して地方自治体が給付対象や給付方法等の裁量ができる生活困窮者支援金を交付するよう求めました。
2、開発行為の強化等に関する条例案の改正
条例改正は「都市計画法の一部改正により「市街化調整区域において特例的に開発及び建築を認める区域である条例区域から災害ハザードエリアが除外されたことによる」としています。しかし改正の中身は災害ハザードエリアであっても従来通りに改正前の許可された集合住宅等が繰り返し新築できることになります。これは新規に改正前の基準での建築ができないと言うだけで何も変わりません。近年気象災害が激甚化、頻発化しています。災害被害を軽減するという法の趣旨から、条例改正により除外された区域は建て替えを認めるべきでないと求めました。
3、油山市民の森の指定管理者指定について
都市公園法が改正され、PFI手法での公園の管理ができるようになりました。公園での収益事業を認める代わりに収益の一部を使って公園の維持管理を行うというものです。今回のリニューアル事業は指定管理制度で行われますが、契約期間が長期であり、パークPFI事業に類似しています。公共の役割は、住民は誰でも文化・芸術・良好な環境を享受できるようにすることで、生活の質を向上させることにあります。民間事業者が油山市民の森等でおこなう収益事業はこれまでの利用者が気軽に利用できるようすべきという私の質問に、前向きの回答をしています。
4、議員提出議案福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例の一部改正案について
市民の意識調査によると、福岡市は住みやすい街という評価がなされています。他方、これまで毎年のようにマンション紛争に関する請願が議会に出されているように、建築紛争が後を絶ちません。市民の意識調査による住みよいという評価は相対的に生活の利便性がよいことに起因するものとかんがえられます。しかし、マンション紛争が後を絶たないという現状は人が住む街としての環境としては問題があることを意味します。今回の条例改正で事業者に関係住民への説明を義務づけ、双方で内容を確認することで、建設者が条例を遵守することに繋がり、市が調整を図ることが今まで以上に機能します。
一般質問
1、みどりの食料システム戦略の福岡市の取り組みと学校給食のオーガニック化について
ネオニコチノイド系農薬がミツバチの減少など生態系に影響を与えていることなど問題となっています。ネオニコチノイド系農薬は、体内における分解が遅く蓄積されること、無害とされる低レベルでもマウスの実験では行動異常がみられること、日本における使用量と発達障がい児の増加に相関関係がみられるという研究結果が出されています。多くの輸入小麦からはグリフォサートなどの農薬が検出されています。みどりの食糧システム戦略においてもネオニコチノイド系農薬の切り替えと農薬使用の削減を謳っています。有機農業を広げることは食の安全とともに環境保全・生態系の保全に重要です。とりわけ子どもの健康と食育にオーガニック化は必要です。市内だけでなく県内の有機農業生産者との連携で学校給食に有機農産物を増やしていくことを求めました。
2、2040年カーボンゼロに向けて地域エネルギー自給について
環境省は、政府の2050年カーボンゼロを実現するため、2030年度までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとすることを目指す「脱炭素先行地域」を公募します。「脱炭素先行地域」は25年度までに対策の道筋を付け、家庭やオフィス、店舗、公共施設など民生部門の電力消費に伴う二酸化炭素排出を30年度までに実質ゼロとするというものです。福岡市は家庭と業務でのCO²排出量が52%を占め、電気エネルギーが34%、ガスが17%という現状から、再生可能エネルギー100への切り替えとエネルギー自給を進め、「脱炭素先行地域」にチャレンジしてもよいのではないかと提案しています。
3、須崎公園における樹木の保存について
地球温暖化防止対策は2030年までに思いきった政策が必要とされています。街路樹や公園の樹木など都心部の樹木を増やすことや林地の管理と木材の消費促進によるCO²吸収量を増やし、都市の気温上昇を抑制することでのエネルギー消費削減が求められています。福岡市は緑の基本計画の改定が2020年であったにもかかわらず、いまだに新たな計画を策定する動きがみられません。速やかに新たな計画を策定し、都市の樹木を増やし、林業の活性化を図ることを求めました。
討論
私は緑の党と市民ネットワークの会を代表して、本議会に上程された諸議案の内、議案第217号ないし議案第225号、議案第227号、議案第228号、議案第237号、議案第241号、願第242号、議案第248号内議案第255号、議案第258号、議案第259号、議案第261号に反対し、議員提出議案第4号福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例の一部を改正する条例案について賛成して討論を行います。
まず感染症対策等で厳しい職場環境にあり、また日本の実質賃金は増えておらず、勤労者の賃金の底上げが求められている今日、職員給与を削減することに反対します。
次に議案第237号福岡市開発行為の許可等に関する条例の一部を改正する条例案について反対の理由を述べます。
この条例改正案は都市計画法の一部改正により、災害レッドゾーンにおける自己業務用施設の開発が禁止されたこと及び,市街化調整区域において特例的に開発及び建築を認める区域である条例区域から災害ハザードエリアが除外されたことから,福岡市開発行為の許可等に関する条例の一部を改正するものです。危険区域での居住をなくすための措置として法の改正がなされ、それに伴い条例改正となっています。条例改正によって除外された区域では、これまで特例的に建築が許されてきた集合住宅等は新たに建築は認められませんが、定住化促進の観点から既存の建築物については権利者が変わっても建て替えは可能としています。そもそも災害被害が想定される区域であるため居住制限をするということが法の趣旨です。定住化促進ということで代償措置として条例杭域のおよそ50メート周辺部まで区域指定が緩和されることから、除外される区域においては既存施設の建て替えは認めるべきではありません。近年気象災害が激甚化、頻発化しています。質疑でも述べましたが、1822年のシーボルト台風は博多湾を通過し、3~4メートルの高潮が発生したと言われています。台風は巨大化しており、博多湾において高潮による災害が起こらないとはいえません。また、近年100年に1度と言われてきた短時間大雨量の降水も頻繁に起こっており、危険が想定される区域の居住は制限すべきです。減災、特に人的災害を減らすためには、法の趣旨にのっとり、条例改正により除外される区域での建て替えを認めるべきではありません。よってこの議案に反対するものです。
続いて議案第258号および議案第259号、諸中学校特別教室空調整備PFI事業に係る契約の締結についての反対理由を述べます。特別教室の空調整備は整備が急がれており、反対するものではありませんが、PFI事業という事業の在り方に反対するものです
そもそもPFIでは通常の管理費に加えて特別目的会社SPCの投資に対する配当の確保が必要となり、同じ事業を直接契約と比べると投資に対する配当分だけ余分な費用がかかることは容易に想像できます。さらに経費縮減を示すVFMを算出するに当たり、事業費の削減率や将来の公的財政支出見込額の現在価値を算出する割引率をどのようにするかで、VFMの結果は大きく異なります。そもそも長期にわたる効率化の程度を正確に推定することは容易ではないし、また、契約時点で計算されたVFMが事後的に見てそのとおり実現するわけではないという指摘があるように、PFIにすれば財政的に負担軽減になる根拠はありません。しかもモニタリングの最終責任は行政にあり、行政にはモニタリングをチェックできる能力が求められ、リスクが軽減されることはありません。チェックができないということであればSPCに丸投げということになり、問題は一層深刻です。また、発注者である行政側は、PFI事業の特徴である長期契約により総事業費を圧縮できると考えており、設備整備費の単なる圧縮による経費削減ではなく、民間企業に運営、管理の効率を求めていますが、事業者は競争入札という条件の下で応募者が多数の場合には価格を抑えるように行動すること、また、事業費の圧縮により経費の削減を行おうとしているとの指摘もあります。今回はいずれの入札も1者しかなく、性能審査は100点満点とすれば60点未満で不可でないという程度であり競争による優良な企業が選択されたとは言い難く、落札価格も予定価格のほぼ100%と競争性がありません。
また、経費が平準化されるとしていますが、PFIでない場合、設備整備費は一括記載さしますが、返済は10年後一括支払いなどで毎年度分割して積み立てられており、特別目的会社に分割払いするのと同じです。違うのは見かけ上起債残高が多くなるということです。PFIの支払いは将来の借金であり、隠れ借金となるだけです。市民に正確な負債が分りづらくなり、むしろ問題です。
PFIが効率的という根拠は、国のPFIガイドラインに沿った試算をしているという以外に根拠はありません。PFIガイドラインは、民間に新たな事業機会をもたらすと記載されているように、企業に新たな収益先をつくることを目的としています。直接契約にして地場企業を使うことこそ、地域活性化につながり、低賃金構造を防ぐことになります。よってこの議案に反対します。
次に、議員提出議案第4号福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例の一部を改正する条例案について賛成して討論を行います。
私はこれまでも一般質問で建築紛争予防と調整に関する条例の問題点について質問してきました。市は事前説明の方法については、戸別に訪問し、面談により行うことを原則とし、日時を変えて3回訪問しても不在等でやむを得ない場合は、建築主等の連絡先を記載した不在連絡票とともに、説明資料の投函による周知を認めているとしています。しかし、相談を受けた事例では一方的に説明の書面をポストに入れて行く形式的な事が行われているケースが多くあります。また、近隣住民から説明を求められた場合には適切に対応するよう指導しているとしていますが、私が相談を受けた事例では指導がなければ説明会を開催しないケースも多くあります。また、説明会についての市への報告は説明会参加者の報告と異なることも多々ありました。他都市の紛争予防条例を見ると、横浜市、神戸市、広島市、静岡市、浜松市などでは住民が事業者に説明を求めたときは事業者説明しなければならないとなっています。また神戸市では事業者が市に提出する報告書には誓約書が義務づけられています。福岡市は事業者へ説明を義務付けていますが、住民が説明会を求めた場合には事業者は努力義務になっています。さいたま市、横浜市、川崎市、神戸市では事前説明報告書を審査し、意見を付したり勧告など必要な措置ができるようになっています。さいたま市は事業者の事前報告書を公開し、近隣住民は意見を述べることができます。
建築紛争が後を絶たない状況がある中で、他都市の事例を見ると、福岡市の建築紛争之予防と調整に関する条例は見直しが必要であることは明らかです。住環境が守られない状況があるから建築紛争が生じているのであり、条例改正とともに、福岡市として建築行政の在り方を見直す事を求めます。
以上で我が会派の討論を終わります。