重要土地調査規制法の強行採決に抗議し、廃止を求めます

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2021年6月16日

ふくおか緑の党 代表 あらき龍昇

 

「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」(「重要土地調査規制法案」)が、十分な審議が尽くされないまま、会期末直前の本日6月16日の午前2時前、参議院本会議で可決成立したことに強く抗議します。

この法案は、日本弁護士連合会の会長声明にもあるように、憲法に保障され基本的人権や国際人権規約に反する恐れが強い内容です。

本法案では、内閣総理大臣は、閣議決定した基本方針に基づき、重要施設の敷地の周囲おおむね1000メートルや国境離島等の区域内に「注視区域」や「特別注視区域」を指定することができ、そして、その区域内にある土地及び建物の利用に関し、調査や規制をすることができることとなっています。「重要施設」の中には、自衛隊等の施設以外に「生活関連施設」が含まれていますが、その指定は政令に委ねられ、恣意的な解釈による広範な指定がなされるおそれがあります。

政府は、注視区域内の土地等の利用者等の思想・良心や表現行為に関わる情報も含めて、広範な個人情報を、本人の知らないうちに取得することが可能となり、また刑罰の威嚇の下に、注視区域内の土地等の利用者等に対して、報告又は資料提出義務を課すことができ、思想・良心の自由、表現の自由、プライバシー権などを侵害する危険性が指摘されています。また、「機能を阻害する行為」や「供する明らかなおそれ」というような曖昧な要件の下で、財産権の侵害につながる規制が行われる可能性も懸念されています。

また、地方公共団体の長等に対し、注視区域内の土地等の利用者等に関する情報の提供を求めることができるとされており、その範囲が政令に委ねられていることは、地方自治という点でも深刻な侵害につながりかねません。

私たちふくおか緑の党は、不明確な文言や政令への広範な委任により基本的人権や地方自治を侵害するおそれが極めて大きい重要土地調査規制法の廃止を求めます。