長崎県川棚町に石木ダム建設が進められています。このダム建設は50年以上前に計画され、当時から反対運動が繰り返されてきました。ダムを造る理由は当時佐世保市に工場団地を作る計画があり、将来水が足りなくなるというものでした。しかし、工場はくることはなく、ハウステンボスが作られましたが、水需要は足りなくことはなく、むしろ減少し続け、ダム建設の理由は全くなくなっています。また、近年は新たに治水を理由にしていますが、石木ダムが造られる石木側の集水域は奔流の川棚川の集水域の1割しかなく、洪水防止にはなりません。むしろ川棚川河口の浚渫と堤防のかさ上げが必要であり、県は浚渫とかさ上げをしています。
ところが、長崎県はこのような状況を無視し、ダム建設計画を進め、九州地方整備局は事業認可をしました。更に一昨年は土地収用法を強行し、土地収用委員会が土地の強制主要を認めました。昨年からダムの取り付け工事を開始し、住民は工事現場で座り込みでの阻止闘争をしています。長崎県は話し合いの場を作るふりをしていますが、工事は強行しています。佐世保市の水需給予想と水供給実績に大きな乖離があるにもかかわらず事業認可した九州地方整備局偽金があるとして、6月8日に申し入れをしました。無駄な公共事業をやめさせ、、住民が住み続ける権利を守るために皆さんの支援をお願いします。
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石木ダム建設計画見直しの申し入れ
2021年6月8日
九州地方整備局長 村山一弥様
石木ダム強制収用を許さない議員連盟
石木ダム・強制収用を許さない福岡の会
石木ダムは、1972年には、佐世保市の針尾島に工業団地を造る計画の中で工業用水の必要性から、建設計画が作られました。
しかし、工業団地作りは途中で断念され、ハウステンボスが作られましたが、ダム建設計画だけは生き残り、次にダム建設の目的に「治水」が加えられました。
しかし、当時語られたのは「治水が目的に入れば、国の資金が導入できる」事でした。
1.佐世保市は、ダム建設のために、市の水道水の需要予測を過大に設定し続け、2013年3月22日~23日の国交省主催の「石木ダム関連公聴会」の報告書62ページから63ページにあるように、嶋津公聴人の「この右肩上がりの需要予測が正しいと言い切れるのか」との質問に、イエスと答えられませんでした。
さらに、1994年の佐世保市の大渇水時に供給した水量が2020年自由に使った水量より多いことが明らかになり、1994年の大渇水時の状況ならば、断水なしで賄えることが明らかになったと言えます。
トイレ、洗濯機など節水型器具の普及により、水の使用量が減り、人口減少とも相まって水の需要が下がっているのは時代の常識であり、札幌市の当別ダムの例を待つまでもなく、ダムができたら水道水需要の予測値が一気に下がる事は目に見えています。
2.次に治水面ですが、川棚川下流の浸水発生の殆どは内水面氾濫です。内水面氾濫はダムで防ぐものではなく、排水能力の問題です。
また、計画されているダムの流域面積は、川棚川全体の流域面積の約11%に過ぎず、川棚川全体の治水面から考えると殆ど意味がないし、先日の川の改修工事完成の後、知事は「これで水害対策も万全だ」と発言しています。
さらに、波佐見町を中心に広大な田圃が存在し「田圃ダム」を造れば、はるかに経済的にも安く、実際にも水害防止に役立つ事は明らかです。
コロナ禍で出費多端になることを考えれば、この際石木ダム建設の計画を思い切って見直すチャンスだと考えます。
以上の理由により、貴当局の賢明な判断を要請します。
本来なら、国民の要望を直接聞いて頂き、直接の説明をお聞きしたいのですが、コロナ禍で困難との事でしたので、文書で申し入れます。
- 貴整備局は、佐世保市の水道水の需要予測を本当に正しいとお考えなのかどうか?
- 流域面積を考えれば「田んぼダム」の方が、はるかに経済的で有効な手段だとの私共の考えについての、貴整備局の考えを聞かせてください。
以上2点を踏まえた貴当局の回答を求めます。
回答は2021年6月28日までに「石木ダム・強制収用を許さない福岡の会」宛、文書にてお願いします。
以上の様な根拠の薄い目的で、現住する住民を強制収用してまで進めるべきではないと思われます。
〇添付書類 2点
・佐世保市水道の一日最大給水量の実績と市予測(佐世保地区)グラフ
・水害から地域を守る「田んぼダム」をご存知ですか?チラシ