私は緑と市民ネットワークの会を代表して「2021年度予算案中、約92億円余の人工島関連予算案を否決し、人工島事業の抜本的見直しを行うよう求める請願」に賛成して討論します。
私たちは、これまでも人工島事業は破綻しており、売れない土地処分のために多大な税金をつぎ込み、過剰な港湾計画を基に不要な港湾整備を進めて来たことは税金の無駄遣いであり、人工島事業の抜本的な見直しを求めてきました。
福岡市は2016年に新たな港湾計画を策定しました。港湾計画では2026年の取扱貨物量は4,500万トン、コンテナ取扱量130万TEUとしています。しかし、2015年の取扱貨物量は3,133万トン2019年では3,484万トン、コンテナ取り扱い量は2015年に87.4万TEUが2019年は96万TEUであり、2019年以降を見ると単純に5年間の伸びと同じく増えたとしても目標には達しないことは明らかです。近年の博多港の取扱貨物量は頭打ちの状況にあり、バラ積みの貨物のコンテナ化が終わった状況でコンテナ貨物量も頭打ちになっていることは当然のことです。福岡市は人口が増えていますが、後背地の近隣都市圏や九州山口全体を見ると人口減少が始まっていること、福岡市人口が増えているといっても超高齢社会を迎えていること、福岡市も近い将来人口減少が始まることを考えれば、博多港の取扱貨物量が今後飛躍的に増えるとは考えられず、むしろ減少することを考えなければなりません。福岡市は消費地であり、また福岡市内や近隣に工場が多くあるわけでもなく、消費財の輸入のウエイトが大きい港です。また外国貿易の中継地としての機能はなく、外国航路数も頭打ちの状況は今後も続きます。このように博多港を取り巻く現状を見れば、2016年策定の港湾計画は過大であることは明らかであり、既に破綻しています。
また、売れない土地を売るために、計画になかった中央公園造成、多くの市民の反対を押し切り、こども病院の移転、青果市場の移転、総合体育館の建設をしてきました。また、民間の開発業者や倉庫業者など事業者に大きく埋め立て原価を割った価格で土地を売り、更に住宅市街地総合整備事業補助金や立地交付金など多額な補助金を交付し、市民に大きな損害を与えてきました。その反省もなく、補助金等を支出し続けることは許されません。
昨年の新型コロナウイルス感染症により社会・経済が深刻な影響を受けている今日こそこの請願を真摯に受け止めるべきです。毎月勤労統計調査2021年1月における前年同月比の現金給与総額は0.8%減となっており、実労働時間2.2%減となっており、事業活動の低迷により勤労者の収入が減り続けています。政府は雇用対策や事業継続支援などを進めていますが、新型コロナウイルス感染終息の見通しは立っておらず、市民や事業者は依然厳しい状況にあります。このような状況で不要不急の事業はやめるべきであることは自明のことです。
以上のことから本請願に賛成するものです。議員各位の賛同を求めて討論を終わります。