私たちの個人情報は情報化が進む中で様々な場面で収集され、大量の個人情報はデータ処理され企業活動に利用されています。私たちの生活はキャッシュレス決済やSNSによる通信など情報化技術の高度化で利便性が高まる一方、個人情報の漏洩による犯罪が既に起こり、街中には監視カメラが氾濫し、マイナンバーと健康保険証・運転免許証・預貯金口座などのひも付けや個人情報保護法制の一元化など、監視社会へのリスクが高まっています。また、管政権は国家戦略特区法改正を受けて、2023年度からスーパーシティ構想に参加する全国の自治体を公募し、ビッグデーターとAIを使った実験を始めようとしています。これは住民の間で十分な議論が進まないままに進められる恐れが強く、監視社会に繋がる道です。
AI技術の進化は私たちの思考と行動を支配する
情報化社会は避けられませんが、個人情報はデータ主体である私たち自身のものであり、プライバシーが人権として保護される社会が維持できるのかが問われています。AIにより個人情報を類型化し行動予測し、個人の思考を誘導するという手法による統治が進む危険があります。既に私たちはカードやネットで商品を購入すると私たちの嗜好に合った商品が紹介されることを経験しています。
また、AI技術と顔認証技術と個人情報を結びつけることで瞬時にして個人の行動とあらゆる情報を把握し類型化が行われ、理由無き差別を醸成し、不透明な管理・規制し、個人の尊厳を冒すことが問題となっています。アメリカではAIによる類型化が黒人差別を醸成するとして、2019年以降、カリフォルニア州のサンフランシスコなどで顔認証技術の使用を禁ずる動きが広がっています
カナダ・トロント市のスパーシティでは、カナダ自由人権協会はカナダ政府などを相手取った訴訟で、この事業で監視が強化され、政府の役割を民間企業に外注することへの懸念を表明しています。専門家はプライバシー、データ侵害、偏ったアルゴリズムに関する問題に対処できる保証はないと警告しています。
中国では全ての国民の行動が監視され、プライバシーが奪われる社会となっています。国家に異を唱えるものは弾圧され、ウイグル族、チベット族、モンゴル族はその民族の歴史さえ奪われようとしています。ジョージ・オーウェルが描いた「1984年」の監視社会はすでに現実のものとなっています。
市民が「監視するものを監視する」ことができる法整備を!
コロナ禍において「COCA」を許容することは、AIを使った情報処理による社会規範の形成に繋がる恐れがあります。EUではデータはデータ主体の所有物とすることを基に「一般データ保護規則」が作られ、プロファイリング(分析し類型化)に対する異議申し立ての権利、プロファイリングなどの自動処理にのみ基づくデータ主体に関する重要な決定を下されない権利を保障し、プロフィリングの公正性と透明性を要請することで、「監視するものを監視する」仕組みと権利が保障されています。コロナ禍を「ショックドクトリン(災害などを口実に恣意的な政策を行うこと)」として活用し、マイナンバーカードを作らせ、また「COCA」を使わせようとする管政権に抗し、監視社会に「NO!」の声をあげましょう。監視社会を作らせないためにマイナンバー制度をやめさせ、EUの「一般データ保護規則」のような「監視するものを監視する」法整備と私たちの対応する力量の向上が急がれます。