12月議会報告

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主な議案

主な補正予算は新型コロナ感染症対策としてPCR検査の拡充、指定管理者施設の減収補填、7月の災害の復旧事業追加、西新小学校の児童数急増による用地購入費、職員の期末手当0.05ヶ月分削減など、条例案として3歳から中学校までの通院医療費の自己負担を1病院1ヶ月500円に改定(来年7月1日から)、貝塚駅周辺土地区画整理事業、元岡地区の研究開発拠点用地の取得(ダイハツが進出しないために住居等の支援施設用に転売予定)、指定管理施設の指定管理者の指定、市の管理瑕疵による損害賠償など

議案質疑

 駐輪場の指定管理者の指定について、図書館の指定管理者の指定について総合体育館および科学館の契約変更について、福岡高速3号線延伸の計画変更の同意について質問しました。

〇駐輪場の指定管理者の指定について

市は自転車駐車場の適正かつ効率的な運営を図るために,「自転車をめぐる状況や市民の多様なニーズがある中で,自転車駐車場の適正かつ効率的な運営を図るために,指定管理者制度を導入し,広く事業者へ門戸を開いている」と答弁しているように、公の施設で民間企業が収益を上げる機会を提供することが目的であることは明らかです。また、指定管理者制度を導入した理由として、「導入以前の管理委託制度においては,受託事業者は市が示した仕様書に従って管理を行うもので,民間の創意工夫を十分に活かすことができなかった。」と答えていますが意味不明です。サービス向上については利用者のモニタリングなどを通じて改善すればよく、民間でないとできないという理由はありません。

また、「指定管理者制度においては,同じ内容の業務を各事業者が効率的な人員配置や業務頻度などを創意工夫することで,管理委託制度と同等以上の効果を発揮する」と競争することでサービスが向上するかのように言っていますが、シルバー人材センターは一定のサービス水準を維持しており、シルバー人材センター以下の評価を受けた事業者が受注していることを見ても、競争すればサービスが良くなるという根拠はありません。シルバー人材センターは高齢者としての生きがいづくり、仕事づくりを目的とした政策です。超高齢社会が進む今日、その政策の意義はますます大きくなっていると考えますが、政策を推進するために駐輪場の指定管理者制度はやめるよう求めました。

〇図書館の指定管理者の指定について

指定管理事業者が図書館事業を担うことが経済的に本当に効率的なのか、また、図書館設置目的を実現できるのかが問われています。効率的なのかという問いに管理経費等の条件が異なっており,一概に比較することは困難であると答えていますが、そもそも民間が事業を行うことは、株主の配当、金利の負担、剰余、法人税、消費税などの管理費が生じることから、同額の予算で事業を行うとすれば委託事業の合理化、人権費削減、となります。多様な市民のニーズに対応するとなればなおさら業務量は増え、サービスの質の向上を図ることとの矛盾が生じます。この矛盾を解決するために東図書館および早良南図書館ではどのような対応しているのか説明を求めましたが、明確な説明はありませんでした。

図書館法では、「目的として社会教育法の精神に基づき、図書館の設置及び運営に関して必要な事項を定め、その健全な発達を図り、もつて国民の教育と文化の発展に寄与することを目的とする。」とし、第三条では、「図書館は、図書館奉仕のため、土地の事情及び一般公衆の希望に沿い、更に学校教育を援助し、及び家庭教育の向上に資することとなるように留意し、おおむね次に掲げる事項の実施に努めなければならない。」として、「資料の収集、図書館資料の分類配列を適切にし、及びその目録を整備すること、図書館の職員が図書館資料について十分な知識を持ち、その利用のための相談に応ずるようにすること。読書会、研究会、鑑賞会、映写会、資料展示会等を主催し、及びこれらの開催を奨励すること」など9項目に亘って図書館のなすべき事業が示されています。新たな市民ニーズとして新ビジョンの基本理念に「市民がくつろぎ,本や人と楽しくふれあえる,新たな学び・情報・交流の拠点となる図書館」を目指していくとしていますが、図書館法が定める設置目的とどう違うのか、説明を求めました。

教育委員会は、「少子・高齢化や高度情報化,国際化の進展など大きく変化しており,また市民の学習活動や文化活動も高度化・多様化していることから,課題解決型のサービス機能の充実や,市民と図書館を結ぶ行事・イベントの充実など,さまざまな取り組みが求められている。」、また指定管理者にしたことで「開館時間の延長等やイベントの運営,広報の充実など民間が持つノウハウを活用した新しい魅力づくりなどによるサービス向上が図られている。一部の分館に民間活力を導入することで,図書館運営における行政が持つノウハウと民間が持つノウハウについて,相互に情報交換,連携することでより良い市民サービスが発揮できる」と答弁していますが、直営でも可能なことと考えます。むしろ、市民の多様なニーズに対応するためとして指定管理者の要件を緩和することが図書館の設置目的の達成を妨げ、サービス低下になります。そもそも指定管理制度は公がなすべきことを民間の収益の場にすることが目的とされています。同じ経費で図書館の設置目的を達成させようとすれば必然的に人件費の削減しか解決方法はなく、結果的にはサービス低下を招くことにつながり、地域の低賃金構造を再生産し、貧困と格差を拡大します。図書館の指定管理は問題であり、高島市長が進める行財政改革の問題を指摘しました。

 〇総合体育館および科学館の契約変更について、

総合体育館および科学館に関する議案は新型コロナウイルス感染症による市の指示による休館、感染症対策、開館後の利用者減の要求水準の変更によるサービス購入費の見直しですが、積算根拠は不透明です。PFI事業ではSPCを構成する投資家の利益、金利負担、法人税、消費税、その他管理費がサービス購入費に含まれています。適正な負担なのかを見たとき、直営の事業であれば今回のサービス購入費の変更額よりも市民負担は少なくてすみます。PFI事業は効率的でなく、見積積算根拠は不透明であり、PFI事業については全事業内容を公開し、検証する必要があることを指摘しました。市はPFIは事業終了後(20年~30年)でないと評価できないと答えています。これは大問題です。

〇福岡高速3号線延伸の計画変更の同意について

空港口交差点は現時点でも交差点需要率(交差点の混雑状況を示す指標)は0.75で、交通量が捌けない状況にはなく、まして国道3号が高架化されれば延伸の必要はありません。すでに日本は人口減少社会に入っており、福岡市も高齢化が進んでおり、2035年をピ-クに減少に転じます。また、福岡市の国際会議開催数は2016年をピークに減少、クルーズ船寄港数も2016年をピークに大きく減少、福岡空港利用者数も頭打ちの傾向となっており、新型コロナ感染症拡大以前から人の移動は頭打ちないし減少傾向が見られています。政府は2050年には温暖化ガスの排出を実質ゼロにすると宣言しており、福岡市も2040年に温室効果ガス排出量実質ゼロを表明しています。そのような中で今後交通量が減ることはあっても急増するとは考えられません。また、2019年度末の地方・国の債務は1117兆円、GDP比200%となっており、新型コロナ感染症対策で国債がすでに99兆8千億円追加発行されています。他方、新型コロナウイルス感染症による経済的影響は数年続くとみられ、今後税収減が続き地方も国も極めて厳しい財政状況が続くことは明らかです。このような状況をどのように判断しているのか、また不要不急の事業である福岡高速3号線の延伸事業をやめるよう求めました。

一般質問

〇GIGAスクール構想について健康被害予防対策を求めました

政府はICTを普及させるために、全ての小・中学校および特別支援学校に、児童生徒に一人一台のタブレットを貸与して授業を実施するとしており、福岡市では11月にすべの学校にタブレットと設備が設置されました。ICT授業ではブルーライトによる健康被害および電磁波による健康被害や学習障害、発達障害が世界的に問題となっています。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツやアップル創業者のスティーブ・ジョブズは我が子には14歳になるまでスマホを使わせなかったと報道がありました。

・ブルーライトの健康被害要望を求めました

ブルーライトによる健康への影響について教育委員会は、医学的評価が定まっていないとしていますが、近年の研究では、①目の網膜に第三の光受容体といわれる「ブルーライト」のみを感知する特殊な細胞が信号を脳へ伝え、体内時計を狂わせ、睡眠障害を引き起こすこと、②ドライアイとの合併でより見え方の質を低下させ眼精疲労を増加させる可能性があること、③目の網膜においては、ブルーライト等のエネルギーの強い可視光の長期的曝露は、基礎研究や動物実験により、細胞死(アポトーシス)や変性 (菲薄化や縮小)を引き起こすことが確認されており、「加齢黄斑変性」や 「網膜色素変性症」などの疾患のリスクを高める可能性が示唆されていること、また、アメリカ医師会が「光公害の時代だ」と警鐘を鳴らしています。予防的な視点から考えると、可能な対策はとるべきです。

・電磁波過敏症の調査と対策を求めました

先日、アメリカの外交官が高周波の電磁波による攻撃を受け、めまいや聴覚障害などの被害を受けたとの報道がありました。電磁波による健康への影響があることはこのことからも示唆されます。OECDでの調査では、教育現場でICTが普及している国とそうでない国との学力に与える調査があり、ICTが普及していない国の方が学力が高いと報告されています。人体は微量な電気で神経回路は働いており、電磁波の影響により集中力がかけたり、思考力が低下しているとみられています。

携帯電話の普及とともに世界的に電磁波過敏症は増えていると言われ、日本では3.0%~5.7%いると言われています。きちんと調査し対策をとるべきです。電磁波過敏症の人は電磁波を遮断すれば症状は出ません。子どもの学習する権利を保障するために、きちんと調査を行い、電磁波過敏症の子どもに対する対策として、有線LANにする、やむを得ず無線LANを使用する場合は使用時のみスイッチを入れる、被爆しない場所での授業を保障するなど対策をとるべきです。

ブルーライトや電磁波による健康への影響について科学的な評価が定まっていないと繰り返し答弁しましたが、ブルーライトによる健康への影響は眼科医ではすでに認識されており、新型コロナウイルス感染による休校時のオンライン授業を受けた高校生に視力障害が出ていることが報告されています。電磁波による健康被害は世界的に問題となっており、フランスでは無線LANのWiFi設置について6歳以下の児童をあずかる幼稚園及び託児所で禁止にされています。ドイツ連邦放射線防護庁は被曝量低減を求めており、バイエルン州では学校での無線LAN導入を禁止しています。九州大学のチームで2011年携帯電話基地局と周辺の子どもへの影響について疫学調査をしており、統計的に優位に影響があるとしています。経済を優先する日本政府の対応に問題があります。大人に比べ成長期の子どもに対する影響が大きいことから、地方自治の本旨である住民の福祉の増進を図るべく学校現場で予防的措置をとることを強く求めました。

 

〇学校給食をオーガニック給食にすることおよび無償化を求めました

・オーガニック給食実施を求めました

先日ゲノム編集技術応用食品が認可されましたが学校給食では使用すべきではありません。学校給食のパンの原料である小麦はカナダ・アメリカ産となっています。日本消費者連盟の調査では調査した市販のパンの全てから農薬のグリホサートが検出されていることがわかりました。今、アレルギー、アトピー、発達障害の子どもが増えていると言われており、環境省でも化学物質と子どもの健康障害の関係を調べるエコチル調査をしています。グリホサートは植物がアミノ酸を作るシキミ酸回路を壊し、枯れ葉剤と同じ働きをします。ネズミの実験では孫、ひ孫世代に異常なネズミが多く出現しています。世界33カ国ではグリホサートを使用禁止、自由に使えるのは日本だけです。微量であっても摂取し続けることは問題です。そもそも輸入小麦を使用しなければ子どもは農薬を摂取することはありません。まずは米飯に変えることを求めました。

農水省は今年からオーガニック給食を進めるために1億5千万円の予算をつけています。福岡市は規模が大きいので難しいとの答弁をしていますが、取り組む姿勢がないからできないのではないのでしょうか。千葉県いすみ市は有機米100%の給食を実施しています。まずパン食をやめて100%米飯給食にする、次に都市圏の自治体や県と協力して100%有機米の学校給食にするなどの取り組みから始めることはできるのではないかと考えます。フランスをはじめ、世界でオーガニック給食が広がり始めています。韓国では全ての学校給食がオーガニック給食となっており、無償化されています。

・学校給食を生物多様性を学ぶ食育の場になるよう求めました

福岡市では栄養バランスや食文化の継承に取り組んでいることは評価されますが、食の安全や食育について更に検討する余地はあります。食は命のつながりであり、環境と深いつながりがあることについて理解を深める教育も必要です。生物多様性は気候危機と関連して大きな問題になっていますが、食文化とも関連し、健康と深くつながっています。学校給食を通じて生物多様性を学ぶ場にするよう求めました。

・給食の無償化を求めました

また、韓国では給食は教育を保障する国の責任として無償化されており、世田谷区では昨年10月から4人家族で年収が760万円以下の世帯は給食が無償化されています。国に無償化を求めるだけではなく、地方から制度を作ることが必要として、福岡市においても学校給食の無償化を求めました。

給食が果たす役割は大きく変わってきています。家庭を含めた健康と環境をつなぐ食育の場であり、給食で命をつなぐ子どもの生きる権利の保障、食文化の継承などです。オーガニック給食はその表現であり、給食の無償化は教育の保障です。オーガニック給食と無償化を強く求めました。