市政報告(2020年後半)

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<9月議会>

主な議案

補正予算として検査・医療提供体制の強化、生後6ヵ月~18歳の児童等および高齢者へのインフルエンザ予防接種の補助、介護施設等従業者へのPCR検査補助、エンターテイメント事業者の支援など第3次の感染症対策、災害対策、GIGAスクール構想の前倒しの補正予算案、条例案として感染症による経済的影響による、市税・国民健康保険料・介護保険料・上下水道料など延納に関する条例改正、学校、公園の用地取得など。

議案質疑

一般会計補正予算案のうち、歳入について及び新型コロナウイルス感染症対策について質疑を行いました。

 

○歳入について

現時点での市税等の歳入不足は160億円が見込まれ、事業見直しによる115億円の財源確保がなされています。見直された主な事業は、新型コロナウイルス感染症の影響による夏休み、冬休みの短縮等に伴い、2年度の実施が困難となった学校関連工事約56億円、公共施設の改修、修繕等約10億円、今年度中止した主な事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために中止したイベント等約2億円です。

パンデミックの収束の見通しはなく、国際的な物流及び人流は、大きく変わることは避けられません。新型コロナウイルス感染症による影響が出る前から、既に米中経済摩擦や世界的な経済の停滞が始まっており、アベノミクスも2018年末には失速していました。福岡市においても、クルーズ船の寄港数の減少、国際会議の減少が始まっており、また、日銀の金融緩和政策による不動産バブルを呈している福岡市の現状は大きな転換期を迎えていたと言えます。新型コロナウイルス感染症による経済的影響は数年続くとともに、経済構造も大きく変わらざるを得ません。今回の新型コロナウイルス対策に国は2度の補正予算を組み、2度の補正予算によって新たに約100兆円の国債発行が予定され、国の借金は約1,220兆円に達すると思われます。国において税収減が今後も続くと見られ、地方自治体にとっては市税等の減収だけでなく、地方交付税への影響も考えられます。新型コロナウイルス対策を継続しながら経済政策を取るとしていますが、人工島事業、中央ふ頭再開発、天神再開発、博多駅周辺再開発、さらに都市高速道路の福岡空港延伸事業などを見直すことを求めました。

つぎに今年も球磨川流域をはじめとする豪雨災害が起こり、巨大台風が発生しており、気候変動危機対策が喫緊の課題となっています。世界ではコロナ後の経済対策として、気候危機対策、再生可能エネルギー拡大による雇用創出や様々な協同組合事業など社会的公正な労働を生み出すことで雇用と経済を立て直すグリーンリカバリーが議論されていますが、福岡市におけるグリーンリカバリーを求めました。

○新型コロナ感染症対策について

福岡市において新型コロナウイルス感染症対策として、妊婦や介護事業所従事者、障がい者施設従事者でPCR検査を希望する者に助成することで不安の解消に役立つものと考えます。他方、保育や医療、教育などの従事者には仕事を継続する上で不安を持つ人もいると聞いており、社会的に必要とされる方たちへの拡大、同時に、PCR検査をすることで新たな差別や分断が生じないよう市民への周知など対策のさらなる充実を求めました。 報道ではインフルエンザ予防接種を受ける際にCOCOAのインストールが条件と記載してあり、スマホを持たない人、COCOAをインストールしたくない人がいます。COCOAのインストールを強要することはインフルエンザ予防接種助成の趣旨に反し、人権侵害になるとして、条件でないことを丁寧に説明することを求めました。

以上、コロナ後の世界的な経済構造の変化、少子・超高齢化社会が進む中で、従来の企業呼び込みの経済政策、都市政策を見直すことを求めました

 

一般質問

○気候変動危機

毎年のように豪雨災害や巨大台風の甚大な被害が起こり、今夏は40度を超える都市も増えてきました。脱炭素を一日でも早く実現することが求められており、福岡市は今年2月、「2040年に温室効果ガス排出実質ゼロを目指す」と表明しました。

家庭および業務部門における温室効果ガス排出量は、電気が7割強を占めています。温室効果ガスの削減を進めるためには化石燃料の削減、とりわけ電力の29%(九州電力の2019年実績値)を占める石炭火力をなくすことが必要です。まず市が率先して、環境配慮契約法の理念にもとづき、市内の公共施設等においては石炭火力がゼロで、再生可能エネルギーの割合が大きく、かつ原発を使わない電力事業者との契約を進めるべきだと求めました。

これまでの経済成長優先の市政から転換し、「温室効果ガス排出実質ゼロ」に向けた実効性のある施策が必要です。

○気候変動危機対策として、石炭火力発電をゼロに!

原発に頼らず、再生可能エネルギー100%の早期実現を!

毎年のように豪雨災害や巨大台風の甚大な被害が起こっています。環境省・気象庁はIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)のモデルを使って21世紀末の気象予想を行っており、何も対策をしなければ、2100年8月の福岡市の気温は41.9度と予想しています。

世界では30年近く前から気候変動対策が様々取り組まれてきましたが、実効あるものとなっていません。1992年にリオデジャネイロで「地球サミット」が開催され、「持続可能な開発」が合意され、アジェンダ21が採択されました。1997年に京都で開催された国際会議(COP3)では日本が中心となって京都議定書が作られ、日本は温室効果ガス排出量を2012年までに「1990年比6%削減」を約束しましたが、削減できないどころか増加しました。2015年に新たな枠組みとしてパリ協定(2100年までの気温の上昇を産業革命以前より2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする)が合意され、2016年11月に日本政府も批准しました。

福岡市は今年2月、「2040年に温室効果ガス排出実質ゼロを目指す」と表明しました。9月議会で「今後に向けた具体的なロードマップは、計画の改定の中で検討していく」と答えています。

  電気 ガス 石油類
家庭部門 77% 18% 5%
業務部門 71% 22% 7%
運輸部門 1% 99%

製造業が少ない福岡市において温室効果ガスの大部分は家庭・事業所・運輸の3部門とされており、それら3部門における電気・ガス・石油類の割合は、2018年度の温室効果ガス排出量で算出すると表のようになります。

家庭および業務部門における温室効果ガス排出量は、電気が7割強を占めています。温室効果ガス削減を進めるためには電源構成における化石燃料の削減、とりわけ電力の29%を占める石炭火力(九州電力2019年実績値)をなくすことが必要です。まず市が率先して脱炭素社会に向けて姿勢を示すため、環境配慮契約法の理念にもとづき、市内の公共施設等においては石炭火力がゼロで、再生可能エネルギーの割合が大きい電力事業者との契約を進めるべきです。

また、原発は決して「環境にやさしい」電気とは言えず、福島原発事故の悲惨な被害を直視すれば、未来のエネルギーとして原発はありえません。原発に頼らず、再生可能エネルギー100%を早期に実現する必要があります。ドイツでは2022年までに全ての原発を廃炉に、2038年までに全ての石炭火力発電所を廃止するとしています。

○自衛隊への名簿提供は直ちに中止を!

今年6月、自衛官募集業務への協力として、市は18歳と22歳の若者男女約3万人分の氏名と住所を自衛隊に渡しました。しかしこれは個人情報保護法に違反し、かつ、地方自治の観点からも問題があります。2003年に国会で石破大臣(当時)は「依頼をしても、こたえる義務は必ずしもない」と答弁しています。市は名簿提供することについて「公益性がある」と言っていますが、自衛官以外に公務員の募集のために住民基本台帳の閲覧や名簿提供している事例はありません。また、市は「公益性」を理由に名簿提供した最近の事例として「介護報酬の返還のため」、「国民健康保険レセプト点検自動化実証実験を行うため」という2例を議会で答弁しましたが、3万人もの個人情報を毎年提供し続けることは、行政の裁量権を逸脱していると言わざるをえません。自衛隊への名簿提供は直ちに中止することを求めます。

 

○IR=カジノ=賭博!IR誘致に反対-賭博に頼る地域経済はいらない!

8月19日に東区西戸崎地区の市民団体から福岡市長及び市議会にIR誘致を求める上申書が出されました。市は議会で「検討していない」と答えていますが、市民や議会が知らない水面下で進められているとしたら大問題です。市民生活に大きな影響を与える問題を、議論がなされないまま進めることは許されません。

IR(統合型リゾート)はMICE関連施設や文化・娯楽施設等が併設されるとしていますが、その核心はカジノによる集客です。日本はパチンコや公営ギャンブルの額は27兆円、世界一のギャンブル大国であり、ギャンブル依存症は500万人とも言われています。また、反社会的勢力が関与するのではないかという点も懸念されます。

IR推進側は「地域経済の活性化や雇用を増やす」と主張しています。しかしカジノに依存する経済が、健全な持続可能な経済とは考えられません。IRは全国3箇所とされ、指定を巡り不正事件が起こるなど加熱していますが、観光政策の一つとして福岡市にIR誘致は必要ありません。

 

決算特別委員会質疑

○PFIや指定管理は検証が必要です

この40年近く、民営化を進め規制緩和を行うことで市場を活性化し、経済成長をめざす「新自由主義」の考え方が広がりました。しかし、リーマンショックやコロナショックを通して、市場は決して万能ではなく、国や自治体が積極的に社会経済活動を支えないと、社会的に弱い立場にある人たちはますます厳しい状況になっていくということが明らかとなりました。

福岡市も含め全国の自治体ではこの20年近く、PFIや指定管理などの制度を活用し、民間の資金やノウハウなどを活用する取り組みが増えました。しかし、雇用や地域経済の観点から検証することが必要であり、決算特別委員会で質問しました。

まず、PFIの導入が相応しいかどうかを判断する「VFM(Value For Money)」の算出根拠が極めて曖昧です。愛知県西尾市では市長が交代し、PFIを中止した例もあります。また、福岡市は「最終的な評価は事業終了後」と議会で答弁していますが、契約期間は20~30年と長期にわたるものが多く、「終了後でなければ評価できない」というのは、きわめて不合理です。

また、東区のなみきスクエアの図書館の指定管理について、「市が直営でやった方が経費は安くなる」と試算した市民もいます。指定管理者に委託すると、中間に管理費用が発生し、そのしわ寄せが雇用者の低賃金化という形で現れます。公契約条例を作り、直営で個別に事業者に委託した方が地域の雇用と所得の向上につながります。

 

〇2019年度決算

「元気な福岡市」の正体は「特定の企業の利益増」、「住民の福祉の増進を図る」自治体に転換を!

2019年度も市税収が増加しています。その主たる市税増の要因である個人市民税増は人口増だけではなく、年金切り下げなどによる高齢者の就労や低賃金の中で子育て世代の就労増によるものです。消費税増税の負担増、社会保障制度切り下げと非正雇用の増加による格差の表れともいえます。また、もう一つの市税収増の主たる要因である固定資産税および都市計画税の増は、日銀のゼロ金利・マイナス金利政策による投機資金が不動産投資されたことによるものです。不動産への投機は地価の上昇と乱開発を起こしており、住環境を悪化させ、過大規模校問題や市内各所でのマンション紛争を引き起こしています。「元気な福岡市」の正体は5年間で約400億円もの多額な税金の投資と特区指定による規制緩和で過剰な投機資金が誘導されて大企業は収益を上げ、他方非正規職員の増加と実質賃金はマイナスといういびつな構造で「砂上の楼閣」といえます。コロナ禍によって「砂上の成長」は崩れ始めています。

同時に、髙島市政は竹中平蔵氏関連の人材派遣会社パソナや麻生太郎氏関連の麻生グループ企業など「特定の大企業」に毎年多額の事業委託をしています。新型コロナ感染症対策としての10万円定額給付金事業もパソナに委託されましたが、パソナは十分な人員体制を執らなかったため給付事業が遅れ、なんと市職員が応援に派遣されています。市はこの人件費は請求しないどころか、違約金の請求をしないという異常な関係が問題となっています。

2019年度決算は一般会計の実質収支93億円の黒字、特別会計実質収支38億円の黒字となっており、プライマリーバランス(と歳出のバランス)も黒字を続けており、財政健全化指数も改善しています。しかし、市債発行残高は未だ2兆円もあり、毎年2千億円程度の借り換えが行われる中で超低金利政策によって金利負担が抑えられているのが現状です。公債費は高止まりであり、扶助費等義務的経費は今後とも増えると考えられ、公共施設の維持管理費など厳しい財政が続くと考えられます。アベノミクスが破綻し、コロナ禍の影響で今後はさらに厳しくなると考えられます。都市高速道路からの人工島接続道路や空港への延伸事業など無駄な公共事業は許されません。

歳入を見ると市税収が増加していますが、主たる市税増の要因である個人市民税増は人口増だけではなく、県費負担教職員制度の権限委譲に伴う税率の変更および高齢者や子育て世代の就労の増によるものです。これは生産年齢人口減少の中で高齢者の就労者が増えていくことが予測され、高齢者施策のあり方を問うています。

また、市税収増の主たる要因である固定資産税および都市計画税の増は、日銀の異次元的金融緩和による市場の投機資金が特区による規制緩和と補助金による呼び込みによって不動産投資されたことによるものです。不動産への投機は地価の上昇と乱開発を起こしており、コンクリートの街はヒートアイランド現象を激化させ、過大規模校問題やマンション問題を引き起こしています。

他方、2019年度の法人市民税は減少しており、その要因はアベノミクスが2018年10月には終わり、すでに景気後退が始まっている中、追い打ちをかける2019年の消費税増税の影響にあります。人工島には100億円もの支出がなされ、クルーズ船誘致やMICE誘致、ウオーターフロント整備等に約58億円、天神ビッグバン関連で14億円など多額な税金が使われています。多額な税金の投資と特区指定による規制緩和で過剰な投機資金が誘導される、いびつな構造で福岡市の成長が支えられていたといえます。

「元気な福岡市」と言われる実態は砂上の楼閣と言え、安倍政権下で非正規雇用が増え続け、実質賃金はマイナス、格差が広がっています。市民経済計算によると、一人当たりの市民所得は2011年3,273千円から2017年3,373千円と増える傾向ですが、一人当たり市民雇用者報酬の賃金・俸給は2011年4,284千円が2017年4,284千円と頭打ちの状況です。非正規雇用も40%と高い水準にあり、年収300万円以下の世帯が40%とされ、全国平均の34%よりも高く、格差が広がっています。PFIや指定管理者制度は公共施設を私的収益事業に変え、市民サービスの切り下げと低賃金構造を促進しており、直ちにやめるべきです。

歳出を見ると、子ども育成費が大幅に増えているのは消費税増税に伴う「幼児教育の無償化」によるものです。「幼児教育無償化」は3歳未満の保育児は対象外であることや副食費が利用者負担になるなど問題が残っています。また、子どもの貧困対策が求められる中、就学援助を生活保護費切り下げに併せて対象者を削減し、困窮者をいっそう苦しめる市政は容認できません。夜間中学新設の強い要望が出されており、文部科学省は全国都道府県および政令市には最低1校は設置するように求めていますが、2019年度は全く進展していません。さらに、朝鮮学校の補助金を廃止し、朝鮮学校幼稚部を「幼児教育無償化」から除外するなど排外主義を推し進める、「アジアに開かれた国際都市」とはとてもいえない髙島市政に強く抗議します。

また、これまでも少人数学級が求められてきましたが教員増がなされません。スクールソーシャルワーカーや学校司書は増員されましたが非正規雇用であり人数も足りていません。また、保育士の助成は拡充されましたが、正規雇用に限られるなど課題が残されています。都市再開発に投資をするよりも人への投資をすべきです。

昨年度末には消費税増税による消費の落ち込みに加え、コロナ禍による甚大な社会的経済的被害をうけました。昨年12月から武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症は日本にも広がり、2月27日に必要もない合理性もないにもかかわらず突然一斉休校が決定され、子どもは学ぶ場を奪われ、保護者は休職を余儀なくされ、消費の落ち込みにより経済は大きく落ち込みました。飲食業や集客施設、とりわけ中小零細事業者、個人事業者は大きな収入減となりました。市民生活を支えるために、上下水道料金の減免などがなされるべきでした。2019年度末において困窮する市民生活に対する補正予算を組むことができ、また2020年度に予算も組み替えすることができたにもかかわらずなされませんでした。

2019年度決算は特区による規制緩和と金融緩和による投機資金呼び込みの都市膨張政策を進めたもので、格差と貧困を広げ、乱開発による住環境の破壊を進めるもので認定できません。コロナ禍の影響は今後とも続くと考えられ、新自由主義政策は被害を深刻化させています。「住民の福祉の増進を図る」という地方自治の原点に立ち戻り市政を転換することを求めました。

 

<12月議会報告>

主な議案

主な補正予算は新型コロナ感染症対策としてPCR検査の拡充、指定管理者施設の減収補填、7月の災害の復旧事業追加、西新小学校の児童数急増による用地購入費、職員の期末手当0.05ヶ月分削減など、条例案として3歳から中学校までの通院医療費の自己負担を1病院1ヶ月500円に改定(来年7月1日から)、貝塚駅周辺土地区画整理事業、元岡地区の研究開発拠点用地の取得(ダイハツが進出しないために住居等の支援施設用に転売予定)、指定管理施設の指定管理者の指定、市の管理瑕疵による損害賠償など

 

議案質疑

 駐輪場の指定管理者の指定について、図書館の指定管理者の指定について総合体育館および科学館の契約変更について、福岡高速3号線延伸の計画変更の同意について質問しました。

 

○駐輪場の指定管理者の指定について

市は自転車駐車場の適正かつ効率的な運営を図るために,「自転車をめぐる状況や市民の多様なニーズがある中で,自転車駐車場の適正かつ効率的な運営を図るために,指定管理者制度を導入し,広く事業者へ門戸を開いている」と答弁しているように、公の施設で民間企業が収益を上げる機会を提供することが目的であることは明らかです。また、指定管理者制度を導入した理由として、「導入以前の管理委託制度においては,受託事業者は市が示した仕様書に従って管理を行うもので,民間の創意工夫を十分に活かすことができなかった。」と答えていますが意味不明です。サービス向上については利用者のモニタリングなどを通じて改善すればよく、民間でないとできないという理由はありません。

また、「指定管理者制度においては,同じ内容の業務を各事業者が効率的な人員配置や業務頻度などを創意工夫することで,管理委託制度と同等以上の効果を発揮する」と競争することでサービスが向上するかのように言っていますが、シルバー人材センターは一定のサービス水準を維持しており、シルバー人材センター以下の評価を受けた事業者が受注していることを見ても、競争すればサービスが良くなるという根拠はありません。シルバー人材センターは高齢者としての生きがいづくり、仕事づくりを目的とした政策です。超高齢社会が進む今日、その政策の意義はますます大きくなっていると考えますが、政策を推進するために駐輪場の指定管理者制度はやめるよう求めました。

 

○図書館の指定管理者の指定について

指定管理事業者が図書館事業を担うことが経済的に本当に効率的なのか、また、図書館設置目的を実現できるのかが問われています。効率的なのかという問いに管理経費等の条件が異なっており,一概に比較することは困難であると答えていますが、そもそも民間が事業を行うことは、株主の配当、金利の負担、剰余、法人税、消費税などの管理費が生じることから、同額の予算で事業を行うとすれば委託事業の合理化、人権費削減、となります。多様な市民のニーズに対応するとなればなおさら業務量は増え、サービスの質の向上を図ることとの矛盾が生じます。この矛盾を解決するために東図書館および早良南図書館ではどのような対応しているのか説明を求めましたが、明確な説明はありませんでした。

図書館法では、「目的として社会教育法の精神に基づき、図書館の設置及び運営に関して必要な事項を定め、その健全な発達を図り、もつて国民の教育と文化の発展に寄与することを目的とする。」とし、第三条では、「図書館は、図書館奉仕のため、土地の事情及び一般公衆の希望に沿い、更に学校教育を援助し、及び家庭教育の向上に資することとなるように留意し、おおむね次に掲げる事項の実施に努めなければならない。」として、「資料の収集、図書館資料の分類配列を適切にし、及びその目録を整備すること、図書館の職員が図書館資料について十分な知識を持ち、その利用のための相談に応ずるようにすること。読書会、研究会、鑑賞会、映写会、資料展示会等を主催し、及びこれらの開催を奨励すること」など9項目に亘って図書館のなすべき事業が示されています。新たな市民ニーズとして新ビジョンの基本理念に「市民がくつろぎ,本や人と楽しくふれあえる,新たな学び・情報・交流の拠点となる図書館」を目指していくとしていますが、図書館法が定める設置目的とどう違うのか、説明を求めました。

教育委員会は、「少子・高齢化や高度情報化,国際化の進展など大きく変化しており,また市民の学習活動や文化活動も高度化・多様化していることから,課題解決型のサービス機能の充実や,市民と図書館を結ぶ行事・イベントの充実など,さまざまな取り組みが求められている。」、また指定管理者にしたことで「開館時間の延長等やイベントの運営,広報の充実など民間が持つノウハウを活用した新しい魅力づくりなどによるサービス向上が図られている。一部の分館に民間活力を導入することで,図書館運営における行政が持つノウハウと民間が持つノウハウについて,相互に情報交換,連携することでより良い市民サービスが発揮できる」と答弁していますが、直営でも可能なことと考えます。むしろ、市民の多様なニーズに対応するためとして指定管理者の要件を緩和することが図書館の設置目的の達成を妨げ、サービス低下になります。そもそも指定管理制度は公がなすべきことを民間の収益の場にすることが目的とされています。同じ経費で図書館の設置目的を達成させようとすれば必然的に人件費の削減しか解決方法はなく、結果的にはサービス低下を招くことにつながり、地域の低賃金構造を再生産し、貧困と格差を拡大します。図書館の指定管理は問題であり、高島市長が進める行財政改革の問題を指摘しました。

 

○総合体育館および科学館の契約変更について、

総合体育館および科学館に関する議案は新型コロナウイルス感染症による市の指示による休館、感染症対策、開館後の利用者減の要求水準の変更によるサービス購入費の見直しですが、積算根拠は不透明です。PFI事業ではSPCを構成する投資家の利益、金利負担、法人税、消費税、その他管理費がサービス購入費に含まれています。適正な負担なのかを見たとき、直営の事業であれば今回のサービス購入費の変更額よりも市民負担は少なくてすみます。PFI事業は効率的でなく、見積積算根拠は不透明であり、PFI事業については全事業内容を公開し、検証する必要があることを指摘しました。市はPFIは事業終了後(20年~30年)でないと評価できないと答えています。これは大問題です。

 

○福岡高速3号線延伸の計画変更の同意について

空港口交差点は現時点でも交差点需要率(交差点の混雑状況を示す指標)は0.75で、交通量が捌けない状況にはなく、まして国道3号が高架化されれば延伸の必要はありません。すでに日本は人口減少社会に入っており、福岡市も高齢化が進んでおり、2035年をピ-クに減少に転じます。また、福岡市の国際会議開催数は2016年をピークに減少、クルーズ船寄港数も2016年をピークに大きく減少、福岡空港利用者数も頭打ちの傾向となっており、新型コロナ感染症拡大以前から人の移動は頭打ちないし減少傾向が見られています。政府は2050年には温暖化ガスの排出を実質ゼロにすると宣言しており、福岡市も2040年に温室効果ガス排出量実質ゼロを表明しています。そのような中で今後交通量が減ることはあっても急増するとは考えられません。また、2019年度末の地方・国の債務は1117兆円、GDP比200%となっており、新型コロナ感染症対策で国債がすでに99兆8千億円追加発行されています。他方、新型コロナウイルス感染症による経済的影響は数年続くとみられ、今後税収減が続き地方も国も極めて厳しい財政状況が続くことは明らかです。このような状況をどのように判断しているのか、また不要不急の事業である福岡高速3号線の延伸事業をやめるよう求めました。

 

一般質問

○GIGAスクール構想について健康被害予防対策を求めました

政府はICTを普及させるために、全ての小・中学校および特別支援学校に、児童生徒に一人一台のタブレットを貸与して授業を実施するとしており、福岡市では11月にすべの学校にタブレットと設備が設置されました。ICT授業ではブルーライトによる健康被害および電磁波による健康被害や学習障害、発達障害が世界的に問題となっています。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツやアップル創業者のスティーブ・ジョブズは我が子には14歳になるまでスマホを使わせなかったと報道がありました。

 

ブルーライトの健康被害要望を求めました

ブルーライトによる健康への影響について教育委員会は、医学的評価が定まっていないとしていますが、近年の研究では、①目の網膜に第三の光受容体といわれる「ブルーライト」のみを感知する特殊な細胞が信号を脳へ伝え、体内時計を狂わせ、睡眠障害を引き起こすこと、②ドライアイとの合併でより見え方の質を低下させ眼精疲労を増加させる可能性があること、③目の網膜においては、ブルーライト等のエネルギーの強い可視光の長期的曝露は、基礎研究や動物実験により、細胞死(アポトーシス)や変性 (菲薄化や縮小)を引き起こすことが確認されており、「加齢黄斑変性」や 「網膜色素変性症」などの疾患のリスクを高める可能性が示唆されていること、また、アメリカ医師会が「光公害の時代だ」と警鐘を鳴らしています。予防的な視点から考えると、可能な対策はとるべきです。

電磁波過敏症の調査と対策を求めました

先日、アメリカの外交官が高周波の電磁波による攻撃を受け、めまいや聴覚障害などの被害を受けたとの報道がありました。電磁波による健康への影響があることはこのことからも示唆されます。OECDでの調査では、教育現場でICTが普及している国とそうでない国との学力に与える調査があり、ICTが普及していない国の方が学力が高いと報告されています。人体は微量な電気で神経回路は働いており、電磁波の影響により集中力がかけたり、思考力が低下しているとみられています。

携帯電話の普及とともに世界的に電磁波過敏症は増えていると言われ、日本では3.0%~5.7%いると言われています。きちんと調査し対策をとるべきです。電磁波過敏症の人は電磁波を遮断すれば症状は出ません。子どもの学習する権利を保障するために、きちんと調査を行い、電磁波過敏症の子どもに対する対策として、有線LANにする、やむを得ず無線LANを使用する場合は使用時のみスイッチを入れる、被爆しない場所での授業を保障するなど対策をとるべきです。

ブルーライトや電磁波による健康への影響について科学的な評価が定まっていないと繰り返し答弁しましたが、ブルーライトによる健康への影響は眼科医ではすでに認識されており、新型コロナウイルス感染による休校時のオンライン授業を受けた高校生に視力障害が出ていることが報告されています。電磁波による健康被害は世界的に問題となっており、フランスでは無線LANのWiFi設置について6歳以下の児童をあずかる幼稚園及び託児所で禁止にされています。ドイツ連邦放射線防護庁は被曝量低減を求めており、バイエルン州では学校での無線LAN導入を禁止しています。九州大学のチームで2011年携帯電話基地局と周辺の子どもへの影響について疫学調査をしており、統計的に優位に影響があるとしています。経済を優先する日本政府の対応に問題があります。大人に比べ成長期の子どもに対する影響が大きいことから、地方自治の本旨である住民の福祉の増進を図るべく学校現場で予防的措置をとることを強く求めました。

 

○学校給食をオーガニック給食にすることおよび無償化を求めました

オーガニック給食実施を求めました

先日ゲノム編集技術応用食品が認可されましたが学校給食では使用すべきではありません。学校給食のパンの原料である小麦はカナダ・アメリカ産となっています。日本消費者連盟の調査では調査した市販のパンの全てから農薬のグリホサートが検出されていることがわかりました。今、アレルギー、アトピー、発達障害の子どもが増えていると言われており、環境省でも化学物質と子どもの健康障害の関係を調べるエコチル調査をしています。グリホサートは植物がアミノ酸を作るシキミ酸回路を壊し、枯れ葉剤と同じ働きをします。ネズミの実験では孫、ひ孫世代に異常なネズミが多く出現しています。世界33カ国ではグリホサートを使用禁止、自由に使えるのは日本だけです。微量であっても摂取し続けることは問題です。そもそも輸入小麦を使用しなければ子どもは農薬を摂取することはありません。まずは米飯に変えることを求めました。

朝日新聞から

農水省は今年からオーガニック給食を進めるために1億5千万円の予算をつけています。福岡市は規模が大きいので難しいとの答弁をしていますが、取り組む姿勢がないからできないのではないのでしょうか。千葉県いすみ市は有機米100%の給食を実施しています。まずパン食をやめて100%米飯給食にする、次に都市圏の自治体や県と協力して100%有機米の学校給食にするなどの取り組みから始めることはできるのではないかと考えます。フランスをはじめ、世界でオーガニック給食が広がり始めています。韓国では全ての学校給食がオーガニック給食となっており、無償化されています。

 

学校給食を生物多様性を学ぶ食育の場になるよう求めました

福岡市では栄養バランスや食文化の継承に取り組んでいることは評価されますが、食の安全や食育について更に検討する余地はあります。食は命のつながりであり、環境と深いつながりがあることについて理解を深める教育も必要です。生物多様性は気候危機と関連して大きな問題になっていますが、食文化とも関連し、健康と深くつながっています。学校給食を通じて生物多様性を学ぶ場にするよう求めました。

 

給食の無償化を求めました

また、韓国では給食は教育を保障する国の責任として無償化されており、世田谷区では昨年10月から4人家族で年収が760万円以下の世帯は給食が無償化されています。国に無償化を求めるだけではなく、地方から制度を作ることが必要として、福岡市においても学校給食の無償化を求めました。

給食が果たす役割は大きく変わってきています。家庭を含めた健康と環境をつなぐ食育の場であり、給食で命をつなぐ子どもの生きる権利の保障、食文化の継承などです。オーガニック給食はその表現であり、給食の無償化は教育の保障です。オーガニック給食と無償化を強く求めました。