気候変動危機対策として、石炭火力発電をゼロに!  原発に頼らず、再生可能エネルギー100%の早期実現を!

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毎年のように豪雨災害や巨大台風の甚大な被害が起こっています。環境省・気象庁はIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)のモデルを使って21世紀末の気象予想を行っており、何も対策をしなければ、2100年8月の福岡市の気温は41.9度と予想しています。

世界では30年近く前から気候変動対策が様々取り組まれてきましたが、実効あるものとなっていません。1992年にリオデジャネイロで「地球サミット」が開催され、「持続可能な開発」が合意され、アジェンダ21が採択されました。1997年に京都で開催された国際会議(COP3)では日本が中心となって京都議定書が作られ、日本は温室効果ガス排出量を2012年までに「1990年比6%削減」を約束しましたが、削減できないどころか増加しました。2015年に新たな枠組みとしてパリ協定(2100年までの気温の上昇を産業革命以前より2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする)が合意され、2016年11月に日本政府も批准しました。

福岡市は今年2月、「2040年に温室効果ガス排出実質ゼロを目指す」と表明しました。9月議会で「今後に向けた具体的なロードマップは、計画の改定の中で検討していく」と答えています。

製造業が少ない福岡市において温室効果ガスの大部分は家庭・事業所・運輸の3部門とされており、それら3部門における電気・ガス・石油類の割合は、2018年度の温室効果ガス排出量で算出すると表のようになります。

  電気 ガス 石油類
家庭部門 77% 18% 5%
業務部門 71% 22% 7%
運輸部門 1%   99%

家庭および業務部門における温室効果ガス排出量は、電気が7割強を占めています。温室効果ガス削減を進めるためには電源構成における化石燃料の削減、とりわけ電力の29%を占める石炭火力(九州電力2019年実績値)をなくすことが必要です。まず市が率先して脱炭素社会に向けて姿勢を示すため、環境配慮契約法の理念にもとづき、市内の公共施設等においては石炭火力がゼロで、再生可能エネルギーの割合が大きい電力事業者との契約を進めるべきです。

また、原発は決して「環境にやさしい」電気とは言えず、福島原発事故の悲惨な被害を直視すれば、未来のエネルギーとして原発はありえません。原発に頼らず、再生可能エネルギー100%を早期に実現する必要があります。ドイツでは2022年までに全ての原発を廃炉に、2038年までに全ての石炭火力発電所を廃止するとしています。

 

2019年

電力構成単位%

アジア ヨーロッパ アメリカ大陸  
中国 インド 日本 デンマーク フランス ドイツ アイルランド イタリア ポルトガル スペイン スウェーデン イギリス カナダ チリ 米国  
石炭 65 71 32 12 1 29 4 11 10 5 1 2 8 33 24  
石油 0 0 4 1 1 1 1 1 2 5 0 0 1 7 1  
ガス 3 4 35 6 7 15 54 44 33 31 0 41 10 18 37  
原子力 5 3 6 0 69 12 0 0 0 21 39 17 15 0 19  
自然エネルギー 27 21 20 79 22 42 40 41 55 38 59 38 66 42 18  
その他 0 0 3 3 0 1 1 1 0 0 1 2 0 0 0  
合計 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100

(出典:国際エネルギー機関IEA(2020年6月))