市長公約として出されたロープウェイ構想と箱崎ふ頭埋立計画
■誰がロープウェイに乗るのか
12月議会で、ロープウェイ構想について交通アクセス検討委員会(諮問委員会ではなく意見を聞く場と市はいっている)で検討中にもかかわらず、市長公約としてあげて市長選挙を行ったことは議会や市民を軽視するものと批判が噴出しました。検討員会の「意見」も出ておらず、議会に報告もなく議論がなされないまま市長公約に出すということは、事実上独断専行で物事を決める政治姿勢にほかなりません。構想では博多駅から国際センター方面へ、国際センター付近からKBC付近、KBC付近から三越付近まで約4kmとなっています。事業費は約400億円ともいわれています。ロンドンではオリンピックのために建設しましたが、現在は閑古鳥が鳴いているといわれています。
そもそもこのロープウェイは何のために作られるのかと考えたとき、それは観光客及び中央ふ頭部でのイベント参加の利用者の利便性を確保するものとしている点に大きな問題があります。高島市長はイベント開催時の交通混雑解消やクルーズ船帰港者の利用を見込んでいます。また、アクセス権等委員会の委員長も中央ふ頭部の再開発を前提に需要を見込み、ロープウェイは妥当といっています。(検討委員会の議事録はまだ作成中)しかし、クルーズ船の寄港数は減少、国際会議開催数も減少、世界経済は低成長期に突入し中国経済も停滞している現状から、過剰な期待(願望)をすることは問題であることは明らかです。観光客が増えれば市の経済が活性化し税収も増え、市民に還元されるというトリクルダウンの発想はもはや時代錯誤と言えます。市民の利用の為でないロープウェイに多額の投資をすることは許されません。この様な計画に優先的に投資するのではなく、市民の暮らしを優先すべきです。下図はクルーズ船の寄港数の統計です。クルーズ船の寄港数は2016年をピークに減少してきています。また国際会議の開催数も減少し始めています。呼び込み型の観光には限界が見えてきています。この様な多額な市税を投入する重大な計画は本当に必要なのか十分な議論がなされ、市民の意見を十分汲み取る必要があります。
■人工島事業破綻の反省がないまま再び埋立計画始める
箱崎ふ頭地先埋立については1議員の一般質問がなされるとともに同日に報道がなされ、議会に知らされたのはその後の常任委員会で議会に説明するという、これまた議会軽視というべきものでした。
この構想は箱崎ふ頭地先65ヘクタールを埋立、須崎ふ頭の施設を移転させた後須崎ふ頭を再開発するという計画です。現在の中央ふ頭の再開発(ウォーターフロント地区再開発)は既に400億円が投じられる計画になっており、今後第二期計画としてクルーズ船埠頭側の埋立等の整備が進めば1000億円が見込まれています。人工島の埋め立ては今でも終了しておらず、人工島D岸壁の整備の見通しもない状況で新たな埋め立てする必要は考えられません。人口減少が既に始まり、超高齢社会に突入した今日、果たしてかつての高度成長期のような経済に戻ることが出来るのか、誰が考えてもあり得ない話しです。人工島事業破綻の反省が全くないことにあきれるばかりです。
ロープウェイ構想も中央ふ頭安崎ふ頭の臨海部の再開発による需要増を前提に計画されています。この様な計画は過大にものです。2016年の福岡市港湾計画を見るとその実態が明らかです。2016年に策定された港湾計画では平成30年代後半の貨物取り扱い量を4,490万トンとしていますが、下図のように博多港の取扱貨物量は頭打ちです。その理由は後背地の福岡都市圏のみならず九州全体として超高齢社会・人口減少社会に突入していることにあります。この様に過剰な期待、願望の下に都市計画を進めることは大変問題であると共に、これまでのように誰も責任を取らないことが問題です。
桑原市政において福岡市は日本一元気な都市といわれましたが、都市の再開発に重点的に投資を行い12年間の任期中に1兆2千億円の借金を作りました。同じように高島市政は日本一元気な都市といわれていますが、乱開発による空き家問題・タワーマンションの維持管理や将来の建て替え問題、そのことから生じる将来危惧される都市のスポンジ化、過剰なインフラ整備による財政負担、そして後回しにされた超高齢者社会対策のツケが次世代に残されます。高島市政の暴走が始まったと言えます。
既に世界経済は低成長時代に突入、中国経済も米中貿易戦争の影響で低成長、日本は超高齢社会・人口減少社会に突入しており高度成長期のような成長経済は考えられない。①地場企業の支援育成、②介護・福祉・医療・教育などの職場の拡大、③非正規雇用を正規雇用へ転換促進、④高齢者支援、若者支援、子育て支援に政策に重心をシフトさせることが福岡市の発展に繋がる!