私は緑と市民ネットワークの会を代表して2019年度10月からの消費税率10%への引き上げ中止を求める意見書案に賛成し討論をします。
安倍首相は10月15日の臨時閣議でアベノミクスによって経済が12.2%伸びたといっていますが、リーマンショック前年の2007年の名目GDP532兆円に対して2017年のGDPは547兆円、2.8%しか伸びていません。雇用は250万人増えたといっていますが正規雇用は78万人で非正雇用は172万人と非正雇用は約40%まで増え続けています。実質賃金は安倍政権下6年ではマイナスとなっており、賃金もピーク時の1997年の賃金に比べ50万円ほど低く格差と貧困が広がっています。大企業は最高益を上げ内部留保は446兆円に達する一方、労働分配率は下がり続け多くの国民が景気回復の実感をもてず、総務省の家計調査においても消費支出はマイナスとなっています。このような状況で逆累進性が強い消費税を上げれば、多くの国民の生活に、とりわけ低所得者ほど強く悪影響を受けます。
安倍政権は消費税増税ショック緩和策として低減税率の導入、キャッシュレス決済によるポイントの還元、資産課税の減税などを打ち出していますが、事業者も消費者も大きな混乱が生じます。併せて導入されるインボイスは中小事業者には大きな負担を生じさせるとともに、現在免税対象となっている零細事業者が排除されることが懸念されます。また、低所得者層に臨時福祉給付金を給付するとしていますが、一時的なものであり対策にはなりません。
また安倍首相は増税の半分を国民に還元するとして幼児教育の無償化するといっていますが、他方先日閣議決定された防衛大綱では護衛艦「いずも」を空母にする、弾道ミサイル迎撃のイージスアショア2基導入、ステルス戦闘機F35などの導入を決め、2019年から2023年の防衛費は27兆4700億円としています。消費値上げの半分は国民への還元としていますが、半分は財政健全化だけでなく軍事費の財源となることは明らかです。軍備拡張のために消費税が使われることには強く反対します。
私たちは増え続ける社会保障需要に対応するためには増税が必要性と認めています。しかし、この間の安倍政権が行ってきた消費税増税分は目的外使用がなされてきたこと、また消費税値上げ前に公正な税制にすることが必要であること、また社会保障の給付のあり方を見直す必要があることから、今回の消費税率引き上げ中止に賛同するものです。所得税の累進制の強化や総合課税化、相続税の強化、金融資産課税の強化、環境税の導入などを先行するとともに、消費税増税時には低減税率ではなく給付税控除を導入し公正な負担とすべきです。また、社会保障の給付のあり方として所得制限ではなく、全ての人に普遍的に給付することで全ての人が受益感を持つことが重要と考えます。
以上の理由から安倍政権が2019年10月の消費税引き上げは延期し、公正な税制度の構築を求めるものです。
以上を持って討論を終わります。