私は緑と市民ネットワークを代表して箱崎ふ頭の埋め立てについて慎重を期すことを求める決議案に賛成する討論をします。
今議会において「博多港における新たな価値の創出」として箱崎ふ頭水面著牧場と海面処分場の検討を始めると突然報告されました。私たちは報道で始めて事実を知り、その内容についても所管の常任委員会に所属していないこともあり、まさに寝耳の水でした。更に新年度にも埋め立て申請の手続きに入るとされ、市民や議会でも議論がなされないまま65へタールもの埋め立てが始まろうとしており極めて粗雑で強引な進め方で許されるものではありません。
浚渫土砂の処分場としての海面処分場については、埋め立てが必要な状況にあるとは考えられず、直ちに埋め立てを進める理由はありません。そもそも土地需要があるかということです。人工島では未だD岸壁の埋め立ては終了していません。これは国が貨物の取り扱いが増える見込みがないと判断しているのではないかと考えます。博多港の取扱貨物量を見ると明らかです。2016年港湾計画では博多港の2018年後半の取扱貨物量は4,482マントとされていますが、2017年の実績は3,324万トン、2016年の3,381万トンを下回っています。コンテナ取り扱い量も2016年は91.1万TEU、2017年は92万TEUとなっており、博多港の取扱貨物量が今後飛躍的に増えるとは考えられず、むしろ超高齢化、人口減少に加え、後背地の九州の地方都市の人口減少が加速化することを考えればむしろ減少すると考えられます。
加えて、世界経済は成長が鈍化しています。更に中国経済も成熟期に入り経済成長が鈍化しており、また世界の生産工場から消費国に移りつつあります。このような状況を反映してクルーズ船の入港数も2016年をピークに減少に転じています。中国の替わりにベトナムやインドネシアなど東南アジアが世界の工場となりつつあり、港湾整備も進んでいます。この様な生産国からの船便は博多港を経由することなく欧米に向かいます。
これまでの人工島事業の経緯を見ると、人工島の土地処分では博多港第2工区を市が買い取り事業を進め、多額の立地交付金や市街地住宅総合支援事業としての多額の補助金漬けで青息吐息で土地処分を進めました。市第4工区の土地処分も残っている状況で大規模な埋立事業を進める必要があるのか疑問です。新たに埋め立てをする理由はありません。
財政も厳しい中でやるべき事業なのか、誇大妄想というべき過剰な土地需要見込み、港湾部の再開発を進めることは問題です。博多港開発を使い、民間事業として埋め立てをしても、土地需要がなく再び市が買い取るということになりかねません。1円も税金は使わないといって始めた人工島事業は税金漬けです。人工島の博多港開発工区の土地の9割は福岡市が買い取ったと言っても過言ではありません。過去の反省もなく、誇大妄想で事業を進めることに断固反対します。
以上を持って討論を終わります。