福岡市の高齢者乗車券は、高齢者が社会参加し、健康で長生きできるよう支援するために設けられた制度です。しかし、7割の方しか利用されておらず、3割の方は制度そのものを知らない状況があります(交付状況)。まずはもっと多くの市民にこの制度を知らせていく必要があります。
いま、問題になっているのは、高齢者乗車券が縮小あるいは廃止されるのではないかという懸念があることです。現在の福岡市保険福祉総合計画(2016年~2020年)を策定する際、市が審議会に提出した資料にはインセンティブ制度が記載されており、次期の保健福祉総合計画策定時には見直しされる可能性があります。現在、福岡市は次期総合計画の策定に向けてTOPPANに調査を委託し、今年3月に「健康・社会参加インセンティブ制度検討」(最終報告)を受け取っています。
社会参加や地域の活動に協力した方にポイントを与え、ポイントがたまると乗車券がもらえるという制度は、高齢者乗車券交付の本来の目的とは異なります。社会参加や地域の活動に参加した方に別の制度としてあげることは事業の拡充の一つと言えますが、そうでない人には交付しないことは問題です。
高齢者が外出する機会を増やすことで、健康寿命が延び、医療費や介護保険費の削減にも成ます。また、外出すれば様々な消費が生まれ、経済効果も生まれます。高齢者乗車券交付と高齢者の社会参加を促すインセンティブ制度は切り分けすべきです。社会参加を勧めるための制度は別の制度として作るべきです。
仙台市では高齢者乗車券は年間12万円です。他都市と比べて福岡市が際立ってい良いわけでなく、健康年齢を延ばす取り組みが課題となっており、高齢者乗車券は拡充すべきだと考えます。元気な高齢者が増えれば、結果的には社会的負担が軽減でき、また高齢者の外出が増えれば地域経済にも貢献します。いずれにしても、制度が継続されるよう市民の声が届く市政にすることが重要です。