6月議会報告

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6月議会の主な議案は①待機児童対策として500人分の施設増設のための5億9千万円(国5億3千万円)と保育士確保のために正規雇用保育士のうち世帯主の保育士に月1万円の家賃補助に9千万円余(補助なし)の補正予算、②教書採択制度の変更、③中小企業振興条例の全面改正、④公園使用の規制緩和の条例改正でした。

 

<補正予算>

6月議会の補正予算案は待機児童対策として500人分の施設整備費の追加と保育士確保の追加費用です。2017年度当初予算では2000人分の待機児童対策の予算が組まれましたが、4月の時点で予定以上の応募があり、今後さらに入所希望者が予定以上に増えると見込まれるため追加しました。財源は国の補助が5億3千万円余(補助率8/9)、市支出分(1/9)は子ども未来基金からの繰り入れです。子ども未来基金は福岡空港運営権譲渡に伴い福岡空港ビルディング会社を解散することにより生じた株売却益64億円のうちの30億円で作ったものです。施設建設費の情勢をしても用地確保が難しいことがあり、公有地の提供などの支援が必要です。

保育士確保のための補正予算は9千万円余、財源は全額子ども未来基金からの繰り入れです。正規雇用の保育士で勝つ世帯主の保育士に月額1万円を10月から3年半支給するというものです。今年なその半年分です。対象者数は約1500人。理由は求人倍率が全国的に上昇しており、福岡県では14となっており、市内の保育士養成機関からの卒業者を市内で就職することを進めるためとしています。

しかし、碑石保育士は対象でないなど問題があり、処遇改善にはもっと独自の予算措置を執るべきです。また、福岡市は国の補助がつかない事業は原則しません。「都市の成長の果実を市民へ」といっていますが、その中身は安倍政権が憲法改悪のために支持率を落とさないようにする対策のばらまきであり、赤字国債のつけは将来の世代に回ります。

 

<教科書採択制度の変更―教育に政治の介入が強まる恐れ>

教科書採択制度変更は選定に関して教科書会社から金品を授受した関係者がいたこと見直しの背景にあります。従前の教科用図書採択諮問委員会で行っていた業務を調査会と調査研究委員会に分け,調査会は基礎調査を、調査研究委員会は調査会の資料で審議し,教育委員会は調査会の報告を受けて審議・採択するよう変わります。ここで大きく変わるのは従前の諮問委員会は図書の評価し順位付けしたものを教育委員会に答申,教育委員会はこの答申を基に教科用図書を採択,事実上諮問委員会の順位が追認されていたものが,調査研究会の報告をうけ教育委員会で審議採択するようになること,もう一点は諮問委員会が非公開であったものが調査研究委員会は公開される点です。しかし、一抹の危惧を感じます。教育委員会制度が変わり,教育長が従前の教育委員長職を兼ねることになり教育長の権限が強化されたこと,市長と教育委員会との総合教育会議の設置が義務づけられ市長は教育の大綱を作るとなっており、市長の教育への影響力がより強化されたことから,教育に政治的介入が強まるのではないかと危惧されます。これまで順位付けで現場の教師等の意見が反映できていましたが、市長部局の意向が強く反絵され政治的中立性を担保できなくなる恐れがあります。私は、政治的中立性を担保するために,より市民の意見が反映できるよう教育委員会の審査においても市民参加による参考人制度や公聴会制度を作るべき求めました。

教科書採択方式(現行)170701 001 教科書採択方式変更(新規)170704 001

<中小企業振興条例の全面改正―企業規模ごとの対応を求める>

福岡市中小企業振興条例案は昭和48年に制定された福岡市中小企業振興条例を全面改正し、市だけではなく中小企業支援団体等、金融機関等、大企業者、教育機関、大学等研究機関及び市民一丸となって支援するという理念条例になっています。福岡市の中小企業は市内全企業数の99.1%、従業員数86.3%を占めます。福岡市の経済を活性化させ、持続的可能な社会を形成するには地域での雇用の確保が必要であり、中小企業振興が重要です。雇用がなければ需要は生まれず、需要がなければ経済は活性化しません。同時に地域での消費が地域での所得に繋がり、地域で循環する経済にしなければ持続可能な社会になりません。

福岡市の規模毎事業所の割合(2014年経済センサー) 001福岡市事業規模毎の従業員の割合(2014年経済センサー) 001

今回の条例改正では自然体で中小企業を支援する枠組みを洗面にしたのは一歩前進といえます。しかし、企業のグローバル化やスタートアップ事業に力点が置かれ、地場の零細企業や自営業者の支援は弱いのではないかと懸念します。地域経済を安定的に発展するは、20人以下の小規模事業所、5人以下の小企業、自営業者が持続できるよう支援することが重要と考えます。

企業規模でニーズが異なり、規模に合わせたきめ細やかな支援が必要です。中小企業の従業員は市民の大多数を占めており、人材確保と市民生活の向上には、中小企業従業員の所得の向上と、就労環境の改善や厚生福祉事業の充実が必要です。そのために、公契約条例制定による公契約事業従事者の処遇改善や、小規模修繕事業登者録制度による受注機会の創出、住宅リフォーム助成制度などの地域循環経済策を進めるなど、総合的な施策を求めました。

 

<公園における収益事業推進のための条例改正>

「都市緑地法等の一部を改正する法律案」が4月の国会で可決成立しました。それに伴い都市公園の利用について「都市公園の再生・活性化」として規制緩和が行われます。公園は市民が休息する場であり、災害時には避難場所ととなり、都市の緑地としてヒートアイランド現象の緩和など、公共の福祉を増進する施設です。今回の公園条例の一部改正により、特定の公園について賑わいづくりのために週年的な興行を誘致するとしています。

条例改正の内容はこれまで公園使用料は1日の占有料6千円とテント等の専有面積に利用単価をかけていたものを、特定の公園(舞鶴公園、水上公園、清流公園、冷泉公園、警固公園)については収益事業を行う事業についての使用料を専有面積に単価をかけたものに簡便化するというものです。単価は市役所に士広場の単価を基準に、公園近傍の公示地価と市役所近傍の公示地価の比率で算定されます。福岡市は街の賑わいづくりのために公園でのイベント開催を推進しており、使用料計算の簡便化でイベント開催が増えると見込んでいます。

条例改正のもう一点は特定の公園に公募によってカフェやレストランなどの収益施設を許可する場合の地代を、これまで900/㎡を近郷の公示地価を基に他の施設の使用料と同じ算定で行うとものです。このような施設がある公園は水上公園と城南区と早良区の境にある西南の杜公園の2カ所で、当面は対象の公園はないとのことです。この条例改正の背景は、素性公園の使用料が安すぎる、大企業優遇だとの批判を受けて書いてするものですが、水上公園については経過措置ということで値上げ幅は抑えられるようです。

市は周年でイベント誘致を進めるとしています。これでは街全体がテーマパーク化し、都市公園本来の憩いの場や災害時の避難場所など誰でもが自由に利用できる公共オープンスペースでなくなります。都市公園設置の原点に戻り、公共オープンスペースのあり方について市民を含めた協議会を設置することを求めました。「都市の成長」のために市民の生活の質が低下するこの条例案の撤回を求めました。

 

「加計学園」の獣医学部開設への安倍首相の関与疑惑の徹底解明を求める意見書案に賛成する討論

本意見書で徹底解明を求める加計学園の獣医学部開設問題は、安倍首相のお友達が理事長を勤める加計学園に獣医学部を作らせるために、安倍首相が文部部科学省に認可させようとしている問題です。加計学園問題同様に、森友学園問題は籠池夫妻と安倍首相夫妻がお友達で、安倍首相の意向を忖度して、国は森友学園に土地を安く売り、大阪市は小学校新設を認可しようとしました。安倍首相が行政に介入しゆがめていることが大きな問題なのです。国会閉会後、加計学園問題について各調査機関が行った世論調査では、軒並み7~8割が「説明が不十分」と答えています。また、各調査機関が実施した内閣支持率も、軒並み10%ほど低下しています。安倍首相は内閣支持率低下を受けて「真摯に説明責任を果たしていきたい」と反省の弁を述べていますが、戦争法に関する疑問に丁寧な説明をしていないように、加計学園問題についても未だ説明責任を果たそうとしていません。

これまで国会において加計学園問題に関して野党は調査を求めてきましたが、安倍首相の関与が疑われる文書について菅官房長官を始め安倍政権は怪文書としてきました。安倍政権は「安倍首相の意向」という文書が存在するという事実を前川前文部事務次官の告発や文部科学省内の内部告発にもかかわらず調査をせず、国民の批判に逃がれられなくなると共謀罪の審議を打ち切り強行採決して国会を終わらせ幕引きを図りました。その後、文科省において調査が行われ、新たな文書が見つかっています。20日には萩生田副官房長官が文科省幹部いったとされる「官邸は絶対にやる」という発言の記録が見つかっています。また、安倍首相が加計学園理事と萩生田副官房長官を別荘に招きバーベキューを楽しんでいる写真も報道され、安倍首相と加計学園理事長との親密な関係がうかがわれます。ますます安倍首相自身の説明責任が求められています。

先日、籠池森友学園前理事長が安倍昭恵氏から受けたとする寄付金100万円を返却にいった報道がありました。これまでも昭恵氏とのメールや、旧国有地取得を巡る財務省幹部との交渉の音声記録を公開し、小学校認可や土地代値引きに安倍首相の後ろ盾があったことを示しました。安倍首相は「もし自分や妻が関与していたら総理も議員も辞める」といっていましたが、森友学園問題の真相究明をさせないまま、森友学園の不正事件の捜査を進めることで事件をもみ消そうとしています。加計学園問題についても野党は閉会中審査を求めているにもかかわらず、自民党は閉会中審査を拒否しています。このような自民党の姿勢は国民からの負託を踏みにじるもので、許されものではありません。森友学園問題同様に加計学園問題をもみ消させてはいけません。

加計学園に見られるように、安倍首相の意向で国の政治がゆがめられることを許すことはできません。加計学園の追求から逃れるために共謀罪法案の審議を打ち切り強行採決したことは、民主主義の自殺行為です。民主主義は熟議を重ね、少数意見も配慮し合意形成を図るもので、多数者が力で支配するものではありません。今の安倍政権は強行採決を繰り返し、白を黒と言いくるめるような政治を強行しており、独裁政権そのものです。安倍首相の意向で物事が決まる日本は安倍首相に私物化された社会・独裁者の国といえます。安倍首相による日本国の私物化を許さないために、このまま加計学園問題・森友学園問題を終わらせてはいけません。加計学園問題の徹底追求を求めて討論を終わります。