本日、2017年4月24日に山口祥義佐賀県知事が九州電力玄海原発3,4号機の再稼働に同意することを表明しました。私たち緑の党は強く抗議します。
福島原発事故から6年が経過しましたが、福島原発事故被災者は未だに10万人ともいわれる数の方が避難生活を強いられています。しかし、国と東電は責任を取るどころか、除染をしても放射線量が未だ高いところに無理矢理帰還させ補償を打ち切ろうとしています。そしていまも原発被災者は地域の関係や人間関係が引き裂かれた状況が続いています。子どもの甲状腺ガンは184人が確認され、健康被害が心配されています。
一方、事故を起こした福島第一原子力発電所における事故原因は未だ解明されておらず汚染水処理も目途は立っていません。事故原因が分からなければ対処できるはずはなく、新基準についても合理性があるとは考えられません。原因究明もなく不確かな基準で玄海原発を再稼働させることは極めて危険であると言えます。また、欧州では新規の原子炉には義務づけられている炉心溶融対策としてのコアキャッチャーの設置は義務づけられていないなど、規制基準そのものが不十分です。
また、避難計画についてこれまで自動車による避難を中心としていることによる道路の渋滞、障がい者や高齢者、入院患者など要援護者の避難のあり方など様々な問題点が指摘されていました。さらに、昨年の熊本大地震において道路や交通網が寸断された状況を見ても、複合災害時の避難計画は見直しが求められています。アメリカでは避難計画が第三者機関によって認められなければ原発は稼働できない仕組みになっており、ニューヨ-ク州ロングアイランド・ショアハム原発は避難計画に問題があることが理由で廃炉になっています。しかし、日本の原発の新基準には再稼働の要件として第三者による避難計画のチェックはなく、我が国の原発再稼働は人命を軽視しているとしか考えられません。
原発が一旦過酷事故を起こせば広域にわたり被害を及ぼし、長期にわたり生活や仕事を奪われ、健康被害を受けることになります。玄海原発を再稼働させると佐賀県だけでなく、近隣の長崎県や福岡県の住民に、大きなリスクを負わせることになます。佐賀県において伊万里市長は再稼働反対を表明しており、山口知事は佐賀県民の声を受けとめていると言えません。長崎県壱岐市、松浦市、平戸市の市長も再稼働反対を表明しています。福岡県でも多くの住民が再稼働に反対し、山口知事に原発再稼働に同意しないよう求めてきました。地方自治体の本旨である「住民の福祉を増進」させる責務がある山口県知事の玄海原発再稼働同意は許されるものではありません。さらに、原発再稼働は佐賀県住民だけがリスクを負うものではなく、山口知事は長崎県や福岡県の住民の声をキチンと受けとめる責任があります。
原発は被曝労働者に支えられた施設であり、一旦事故を起こせば広範囲に環境を長期に汚染し故郷を奪い、広範囲の住民の人生を奪う、人間を犠牲にするエネルギーであり、倫理に反するエネルギーです。原発はなくても電気は足りています。原発を再稼働させる理由はありません。今回の山口知事の玄海原発再稼働に同意をしたことに強く抗議するとともに、国及び九州電力は佐賀県、長崎県、福岡県住民の玄海原発再稼働中止を求める声を受けとめ、玄海原発を再稼働させないことを求めます。