地下鉄工事陥没事故から見える福岡市政の課題

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地下鉄七隈線延伸工事で博多駅前の工区で道路陥没事故が起こった。道路陥没はトンネル上部で出水による穴が生じ、道路下の砂礫層の土砂が地下水とともにトンネルに流れ込んだことによる。作業員が異常に気付き早期に交通規制をしたことで人的災害を防ぐことが出来たことは不幸中の幸いであった。しかし、陥没は縦30メートル、横27メートル、深さ15メートに及ぶ大災害であった。また、ガス、電気、通信、上水道、下水管のインフラが寸断され、またビルの基礎が露出し避難勧告が出されるなど甚大な被害が生じた。多くの市内に事業所がある企業の協力を得て7日で復旧出来た。

誰もが何故この様な事故が起こったのか疑問を持っているとおもわれる。原因究明は国立研究法人土木研究所に委ねられているが、工事の技術的検討は福岡市地下鉄七隈線建設技術専門委員会でなされており、ナトム工法に対する懸念とボーリングのデータから地盤に脆い部分があり得ることが指摘されていた。ナトム工法で行うことは承認されたが、トンネルの深さを1メートル下げるとともに薬剤注入で地盤を補強するとされていた。しかし、12月3日の西日本新聞の報道によると薬剤注入による補強はなされず、鉄枠を倍にしたということである。11月30日の交通対策特別委員会での交通局の説明で、修復後に道路が最大7センチ下がったことについて、私が薬剤注入による沈下の予防は岩盤に脆いところがあるので補強するのではないかと質問したことに、交通局は砂質地盤の補強であり岩盤の補強は副次的なものと答えている。他の議員がトンネル内の水抜きはすぐできなのかという質問に、現在バランスがとれている状態なので水抜きは出来ないと答えている。これから類推すると、明らかにナトム工法の問題と岩盤の補強がされなかったことが原因と考えられる。

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では何故この様な工法で施行したのかである。七隈線の延伸工事は工事区間1.4km、事業費450億円である。当初から工事費が高いと指摘されており、採算性が問題となっていた。ナトム工法は本来山岳の比較的岩盤が丈夫な場所で採用されるもので、博多駅周辺は千年前は海であった洪積地帯の軟弱な地層には不適と言われている。福岡市の技術専門委員会でもその点は指摘されているが、開削工法よりも安いと考えられることから、ナトム工法ありきで進められたのではないかと推察される。

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そもそも、七隈線が作られたときに天神駅に接続させれば問題は起こらなかったのである。ところが南天神で東に線路を曲げて完成させた。これは当初から元々地下鉄1号線が計画された時点から存在した5路線の一つであるキャナルシティ前を通過させるものであったと私は見ている。現に南天神駅と博多駅間の中間駅はキャナルシティ前である。交通対策特別委員会での質疑では、薬院駅から博多駅の路線および中洲川端から国際センターへの路線はまだ消えていないとしていることからもこのことを裏付けている。現在福岡市はBRT(二連バス)を都心部循環させるとして試行運転をしている。体系的な交通政策が考えられているとは思えない。これから読み取れるものは、福岡地所・七社会そして大手ゼネコンと福岡市の根深い癒着構造があると思われる。20年前の談合事件地下鉄パーティ券事件は終わっていないのである。市長は事故直後の記者会見で「はらわたが煮えくりかえる」と発言しているが、発注者の責任者としての自覚がないのは問題である。七隈線延伸を決めたのは高島市長であり、陥没事故は安全よりも経費削減を求める髙島市政の結果である。

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