TPPの情報を開示し国民的議論を求める!

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国民に何も知らせないまま強行採決は許されない!

今国会でTPP批准が審議されていますが、衆議院特別委員会では資料は開示されず、十分な審議がなされないまま強行採決されました。衆議院において資料も公開されず審議も十部されないまま再び強行採決の動きがあります。私たちはこの様な国会運営を許しません。そして、TPPの全ての情報を国民に開示し、国民的議論を求めます。

TPP(環太平洋連携協定)はシンガポールの呼びかけでチリ、ブルネイ、ニュージーランドの4カ国で交渉が始まりました。そこへアメリが参入することで性格が大きく変わりました。アメリカが主導権を握ることで、アメリカの通商政策を広げようとしてきました。その最大の標的が日本なのです。

問題なのはTPPは24分科会で交渉が行われていますが、交渉は全て秘密で行われ、条約批准後4年間は公開されないとされています。国会議員が請求した資料も全て黒塗りです。国会でも国民にも説明がなされないまま重要なことが決められるという大変な問題を抱えています。

メリットがあるのは一部のグローバル大企業だけ

日本の工業製品の市場開放は進んでいます。アメリの標的は米や牛肉などの農産物の輸出、保険・金融です。安価な農産物の流通で農業が破壊され、九州・東北・北海道など農業が基幹産業となっている地域は地域経済が崩壊し地域社会が消失しかねません。また、TPPの主たる目的は非関税障壁の撤廃です。アメリカは自国の農産物や食品を輸出するために食品添加物、遺伝子組み換え食品、残留農薬などの基準をアメリカの基準に合わせるよう緩和が求められ、食の安全が奪われます。アメリカ国内でも遺伝子組み換えの表示を求める運動があり、EUでは遺伝子組み換えの食品は認めておらずアメリカの基準に合わせることを拒否しています。日本政府も国民の食の安全を守るために毅然たる態度を示すべきですが、輸出産業を支援するために国民を犠牲にしているのです。輸出関連の大企業が収益を伸ばしても、国民の所得が上がっていないことは、これまでの自民党・公明党政権が進めてきた大企業優遇政策を見れば分かります。富むものがより富めば、やがて富のしずくが下へしたたり落ち,貧しいものもその恩恵を受けるというトリクルダウンは生じません。TPPに参加すると日本の企業が活性化し雇用が増えるかのように言う人がいますが、グローバル化が進んでいる現在、企業は経済論理で投資を行うため、生産の海外移転は進み、TPP参加によって雇用が増えることはありません。むしろ雇用悪化が懸念されます。

TPPは農業問題だけではない

TPPは農業の根本を揺るがす問題だけではなく、助け合いの仕組みや国民皆保険制度の根幹を揺るがすものです。金融では助け合いの共済や市民バンクがつぶされ、保険の分野では医療の自由診療拡大とセットで国民皆保険制度を崩そうと狙っています。既に一部混合診療が認められ、高額医療の自費負担制度が出来ています。金が無いものは高度医療は受けられないようになり、高度医療のための民間保険が広がり、事実上国民皆保険制度が崩されています。介護保険でも制度破綻で介護保険の給付内容が制限されてきたことで、介護保険を補完する保険が販売されていることからも困った事態になることが容易に想像出来ます。

社会保障との関係では、医療費の削減や高額の薬価が問題になっていますが、知的財産権を70年に引き延ばすことやバイオ医薬品データの保護期間の創設(ジェネリック薬品の製造・販売の制限)などで医薬品が高止まりし、国民皆保険制度が崩される危険性があります。日本の製薬会社もアメリカ化学工業会に参加し、世界のグローバル企業とともにTPPを推進しています。知的財産権の拡大が広がれば貧困国でジェネリック医薬品が使えなくなり、人命を奪うことになりかねません。グローバル化した大企業のためのTPPはまさに吸血鬼のような協定です。

ISDS条項で国の主権や地方自治まで奪われる

ISDS条項により企業や投資家が自由貿易を阻害するとして投資先の国の法律や規制を撤廃することを求めて国際的仲裁機関に訴訟を起こすことが出来ます。その場合は世界銀行傘下の投資紛争解決国際センターという私的機関で非公開に審査されます。審査は一審制なので上訴できません。世界銀行はアメリカの影響が強く投資家との関係が深いので、世界銀行の傘下にある投資紛争国際センターの審査は、公正な審査がなされるとは期待できません。実際、米韓FTAのISDS条項では、アメリカで狂牛病が起こっても韓国は輸入を中断できない、米国の企業の営業がうまくいかないときには米国政府は韓国を提訴することが許されるとなっています。メキシコはアメリカおよびカナダとNAFTA(北米アメリカ自由貿易協定)を結んでいます。NAFTAでもISDS条項があります。アメリカの産廃業者が産廃処理場を建設しようとしたとき、メキシコの法に基づき不許可にしたところ、メキシコ政府が訴えられ、メキシコ政府が敗訴するという事態が起こっています。このように国民の生命を守るための規制であっても、アメリカの基準と異なると撤廃させられることになります。これは国民生活のルールをアメリカと同じレベルにすることが強要されることになります。

地方自治においてもTPPは問題です。WTOでは6億円を超える公共事業は国内外企業の一般競争入札をしなければなりません。WTOにかかる案件事例では九大の移転で出て来ています。福岡市では地場企業を育成し地域経済活性化のために、工事の規模によって地場企業優先の入札制度を行っています。しかし、TPPが批准されれば海外企業がこの政策が不公正な競争として福岡市を投資紛争解決国際センターに訴えることも考えられます。この様にTPP批准することは本来国内法に依拠すべき統治行為が海外の三者機関、しかも私的な第三者機関に委ねられることとなり、国家主権や地方自治を放棄することになります。

国民を不幸にするTPP批准は廃案に!