「移動の自由」 は 基本的人権 です。
人が自由に移動できることは基本的人権です。しかし、さまざまな障がいや高齢により身体的な制約を受け、自由に移動ができない人たちがいます。誰もが自由に移動できることは暮らしの質を向上し、幸福を実現するために必要なものです。
福岡市は「ユニバーサル都市」を標榜していますが、その中身が問われています。早良区南部地区では人口減少によりバス路線の廃止、減便がなされています。
このうえ高齢化が進み、バス停まで歩いていくことや自家用車の運転が難しくなると、生活がさらに厳しくなります。暮らしの質を維持・向上させるために「移動の自由」を確保することが求められています。
福岡市は「生活交通条例」で対策・・・
福岡市では平成22年3月に「生活交通条例(公共交通空白地等および移動制約者に係る生活交通の確保に関する条例)」を制定し、「休廃止対策」「不便地対策」「生活交通確保支援」の3つの施策を実施しています。
「休廃止対策」については、路線バスの休廃止に伴い公共交通空白地となる地域において、代替交通の運行経費に市が補助を行っています。
「不便地対策」については、公共交通不便地やそれに準じる地域において、地域主体の取組みに対する検討経費や社会実験の経費に市が補助を行っています。
「生活交通確保支援」については、上記以外の地域において、生活交通確保に向けた地域主体の取組みに対し市による専門的なアドバイスなどの活動支援を行っています。
○公共交通空白地・・・鉄道駅とバス停から1キロメートル以上離れた地域
○公共交通不便地・・・鉄道駅から1キロメートルおよびバス停から500メートル以上離れた地域
○公共交通不便地に準じる地域・・・鉄道駅やバス停との高低差が40メートル以上の地域、鉄道駅やバス停まで迂回を要する地域などにおいて、生活交通の確保に向けた協議会が組織されている地域
このままで、超高齢化社会に対応できるのでしょうか?
しかし今の市の施策は、地理的要件に加え、地域主体の取り組みにしか支援をしていません。早良区南部地域は昭和40年代からの郊外型分譲住宅も多く、高齢化が進み人口減少している地域です。早良ニュータウン(内野7丁目)では地域の協議会へ検討経費の補助を行っていますが、すぐ近くの陽光台(早良7丁目)では地理的要件は満たしているものの、地域での組織化などの取組みが進まない現状があります。また、生活交通条例の要件は一律で、高齢化などの地域の実情が考慮されていません。
今年2月の「福岡市高齢者・障がい者に対する移動支援のあり方検討委員会」による提言では、高齢者・障がい者ともに買物や通院の外出が多く、高齢者ほど公共交通機関を利用しているが、バス停までの距離が苦になっていると分析されています。
福岡市では提言をもとに「地域との協働による移動支援モデル事業」の実験を始めます。「地域における取組みを応援する」という観点から、地域団体等へ車両を貸し出し、高齢者の日常の買い物などの支援を社会福祉協議会へ委託し実施するものです(市政だより(9月1日号)に記事が掲載されています)。私は、移動支援のあり方の方向性は間違っていないと思いますが、ボランティアを軸とした移動支援が持続可能なシステムになり得るのか疑問を感じます。
福岡市でも「ドアtoドア」の交通システムの導入を!
八女市では登録制の乗り合いタクシーによる「ドアtoドア」のシステムを運用しています。通常のタクシーのように、自宅など利用者が指定する場所にタクシーが迎えに行き目的地まで送りますが、それを「乗り合い」で行うことで、低料金で乗ることができます。
私は、持続可能な移動支援のシステムとして、八女市のように登録制の乗り合いタクシーを日常生活圏に限定し運用する、デマンド型の「ドアtoドア」のシステムが望ましいと考えます。
登録制にすることで運転手や電話オペレーターは利用者の生活状況が把握でき、介護との連携を図ることも可能です。使用する車両はワンボックスカーだけではなくセダンタイプのタクシーを活用すれば、障がい者も利用できるようになり、また、利用者3名であればコースを組むことも難しくはないと考えます。
早良区南部地区にはタクシー事業者が6社もあり、事業者間で協働すればドアtoドアのデマンド型乗り合いタクシーのシステムの導入が可能と考えています。私は南部交通問題の解決に向けて学習会を開催し、9月議会の一般質問でも八女市のシステムを参考にして福岡市も検討を始めることを求めました。
デマンド交通・・・予約を受けて運行する交通方式。(1)予約があったときだけ定期路線を運行する、(2)予約に応じてコースを組み替える、(3)指定エリア内でドアtoドアで運行する、などの種類があります。