新年度予算は子育て支援、教育に重点などの報道がありましたが、看板倒れ。基本的には天神ビッグバン構想を軸とする都市再開発・成長政策です。「天神ビッグバン」は天神地区の建て替えでは、高さ規制緩和と容積率緩和による30棟のビルの建て替えを進めることで延べ床面積を1.7倍、雇用者2.4倍,毎年8500億円の経済効果を生むとしています。人口減少が始まった日本では、経済は縮小せざるを得ず、成長路線は維持できないことは明らかです。「天神ビッグバン構想」は妄想としかいいようがありません。
<市長の「政治とお金」の問題が指摘される>
条例予算特別委員会総会質疑で、市長の政治資金の問題が指摘されています。高島市長が代表者と会っている政治資金管理団体が主催する「九州未来塾」(参加費一人3万円)の参加者に麻生、九電工、福住、JTB九州、カワイイ区の受注会社など市から受注している企業が参加していること、更に金融詐欺で有罪となっている企業が参加するなど、「政治と金」の問題が指摘されました。高島市長は政治資金規正法では参加者の名前を公表することは義務づけれれていない、参加費は講演の対価で寄付に当たらず問題はないと答弁しています。政治倫理条例では疑惑を招くようなことはしてはいけないし、疑惑が持たれたときは積極的に説明することが求められています。市長の対応は「開発と利権」をにおわす不透明なものです。
<条例予算特別委員会の意見開陳>
市長の市政方針では、「都市の成長」と「生活の質の向上」の好循環を創り出すことを基本戦略と掲げ、「人と環境と年の調和がとれたアジアのリーダー都市」目指すとし、次のステージへ飛躍させる「福岡ネクスト」として政策を進めるとしています。その具体的中身は「国家戦略特区」を軸に都市の成長政策を進めるものとなっています。「成長の果実」を「市民の生活の質の向上」にとしていますが、市民生活の質の向上よりも企業誘致や「天神ビッグバン」と称する開発重点の政策となっています。「成長の果実」を「市民生活の質の向上」にとしていますが、2015年度予算案を見るととてもそのようには見えません。むしろ、成長への投資の見返りに公共施設の使用料の値上げ、志賀島渡船の便数や寄港先の削減、介護保険の負担増など市民に負担を求めるものとなっています。何よりも問題なのは「解雇特区」を進めるとしていることです。
安倍政権は「成長戦略」として「雇用の効率化」、「雇用の流動化」、規制緩和を打ち出しています。「雇用の効率化」とは雇用者が自由に解雇が出来る仕組みを作り、また成果主義として残業代0の不払い労働の仕組みを作ることです。「雇用の流動化」とは非正規労働者を増やすことであり、アベノミクスによって既に非正規労働者は労働者の40%を超える状況になっています。安倍政権は5月連休明けには成果主義を法制課、派遣労働法を改悪する準備を進めており、福岡市の「解雇特区」は解雇自由な仕組みをつくる実験場と位置づけられています。まさに労働者使い捨ての仕組みを作るお先棒を担っているのが「福岡ネクスト」と言えます。「成長の果実」を「生活の質の向上」どころか「成長政策」は「生活の質」の低下をもたらすもの以外なにものでもありません。
アベノミクスによる急激な円安による加え、昨年4月の消費税増税、これに伴った物価上昇に追いつけずに、実質賃金は18ヶ月下がり続けています。他方年金は年々引き下げられ、2015年度からは医療費や介護保険の負担が増えます。生活が一層厳しくなろうとしている今、市民の生活を守る地方自治体の役割はますます重要です。昨年7月のOECD報告によると、GDP世界第3位の経済大国といわれる日本の相対貧困率は加盟34カ国・地域でワースト5から更に落ち、最下位のアメリカに次いでワースト2となっています。厚生労働省の調査でも日本の相対的貧困者は16%を超え、年々悪化しています。とりわけ一人親世帯の50%以上が貧困状態にあると言われ、一人親世帯の支援が必要です。地方自治体の本旨である「住民の福祉の実現」するために、貧困と格差の拡大に取り組むことが求められています。しかし、非婚の一人親世帯を支援しないことが象徴するように、福岡市政は貧困問題には取り組みが十分ではなく、また「福岡ネクスト」は「解雇特区」を推進するなど、貧困と格差を更に拡大させるものとなっています。アベノミクスの行き着く先は、アメリカのような貧困大国、そして1%の人のための社会です。これはまさに地方自治の本旨に反するものであり、地方自治体はアベノミクスに反対する声を上げる責務があります。
こども病院建設、児童館建て替え・中央保育園移転、青少年文化科学館移転に見られるように、また先日の質疑に見られるように市長と福岡市の事業の受注企業との関係など、「都市の成長」と特定企業との利権が見え隠れする構造は、今国会で問題となっている「政治とお金」の問題の地方版と言えます。また、市長の東京出張が多く、霞が関詣でに見られる国だよりの「年成長戦略」は、国の制度活用と言うよりも地方自治を放棄するものと言えます。それは2015年度予算案が、企業誘致や破綻した人工島に今年も100億円以上支出するなど、大企業優先・開発優先し、格差や貧困を増大させる「解雇特区」を推進し、学校司書やスクールソーシャルワーカーを増員するなど子どもの育つ環境に目を向けない、障がい者や高齢者の生活支援などの市民の安心に寄与しない予算となっていることに現れています。この様な予算案等には賛成できません。
最後に人口減少が始まっている日本において必然的に日本経済は縮小し、経済成長を求める時代は終わったと言えます。天神ビッグバン構想のような大規模開発の現実性は乏しく、50年後、100年後を見据えた都市景観と都市空間を生み出す都市再生を目指すべきです。地方財政は今後とも緊縮財政にならざるを得得ませんが、縮み思考にならないためにも経済性のみを追求する都市の成長ではなく、持続可能な成長管理の思想が必要です。
以上で意見開陳を終わります。
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