明けましておめでとうございます。今年も皆さまと共に福岡市政が「市民の納得と共感できる」市政に変わるよう取り組んでいきます。今年もご支援よろしくお願い致します。
昨年の12月議会では国家公務員給与引き上げに伴う市職員の給与引き上げ、子ども子育て支援法施行に向けて「こども園」の設置基準、市民センターや駐輪場等の福岡市の施設管理を委託する指定管理者の指定、第2給食センターのPFI事業の発注が主な議案でした。
今議会では市職員の地銀引き上げに併せて議員等特別職の期末手当0.15ヶ月分引き上げる議案がありました。円安による物価上昇、それに追い打ちをかけて消費税値上げ、他方労働者の賃金は一部の大企業を除いては上がらず実質賃金は下落し続け、年金生活者は年金は引き下げられ生活はより一層厳しくなっています。また、中小企業の経営は一層厳しい状況になっています。このようにアベノミクスにより国民が苦しみ、消費税値上げを延期せざるを得ない状況で、政治家である議員の報酬を上げることは許されません。私は議案に反対すると共に受け取るつもりはありません。増額分の130100円については供託(法務局では議決による報酬は不当利得でないためを供託できない、しても無効の供託になると説明)ないしは福祉団体への寄付(選挙区内には寄付できない)を検討しています。
次に、給食センターの民営化や指定管理者制度など施設管理の民間委託によるワーキングプアーが広がっていることの問題を指摘しました。財政再建の一環として民営化、民間開放を進めていますが、果たして市民サービスの向上や市民福の向上に繋がっているのかはなはだ疑問です。厳しい財政難の中で効率化と無駄を省くことが必要ですが、果たしてどこを削り、どこに重点的に財政を投入しているのかが重要な問題です。福岡市は企業誘致や破綻した人工島の土地処分に多額の税金を使っていますが、他方、福祉や教育などには力を入れていません。むしろ、高齢者や障害者に負担を強いる、子育て支援も十分にはお金を使おうとしていません。さらに、窓口業務や施設の管理運営の民間委託により官制ワーキングプアーを生み出しています。事業のあり方の見直しと共に、公契約条例制定により労働者の生活を安定させる必要があります。
***************反対討論***********
今議会に上程された書議案の内、議案第206号、第216号、第218号、第240号、ないし第242号、第246号ないし第252号、第255号ないし第258号、第260号ないし第263号に反対して討論します。
以下、主立った議案について反対理由を述べます。
議案第206号平成26年度福岡市一般会計補正予算案(第4号)については、市長および副市長、議員の特別職に対する期末手当0.15ヶ月の増額が予算化されています。先日の総選挙においては消費税値上げが1年半先送りとされ、また、アベノミクスが実施されて以降円安による物価上昇、更に消費税値上げにより、一部の大手企業を除いては賃金は物価上昇に追いついておらず、実質賃金が下がり続けている状況下において、政治家である市長および副市長、議員の特別職の期末手当を増額すべきではありません。よって本議案に反対するものです。
議案第218号平成26年度水道事業会計については浄水場の汚泥処理について民間委託する議案です。浄水場の汚泥処理の民間委託はこれまで水道公社において6名体制で実施されていたものを3名プラス統括責任者の4名体制とし、その委託事業費は現状と大きく変わりはありません。水道公社での体制を検討すれば経費削減が可能と考えられ、この議案は民間委託ありきとしか考えらません。「民間にできることは民間に」という考え方は、「公の責任は公で」の対ではありません。老朽化する水道設備の更新が急がれ、他方今後厳しい水道事業収支が見込まれる中で効率化を図ることは必要と考えます。であればこそ、公の責任を果たし効率化を進めるために技術の継承と人材育成が今後一層重要であり、公社のあり方を含めた体制について抜本的見直すべきと考えます。
次に指定管理者の指定に関する議案について述べます。指定管理者が地方自治法改正により公の施設の管理が民間に委託できるようになりましたが、様々な問題が改めて出ています。これまでの監査の事例を見ても、日本管財に代表される適正に実施されなかった事例や、自転車駐輪場のように高齢者の職場づくり、生き甲斐づくりとして進められてきたシルバー人材センターの委託事業が競争入札になり、その結果就労者の賃金引き下げが生じるなど、公の事業として許されるものではない状況があります。その背景には、競争入札により低価格で落札され、落札企業は利益を確保するために人件費を削減するために無理な配置や再委託など低賃金構造を作り上げています。特別な技術を要しない労務を主とするこれらの業務を民間に委託すれば必然的に低賃金労働が要求されます。結果としてワーキングプアーを生み出しています。定型的業務とされるこれらの業務は、政策的に準公的団体に委託する、または市の直営あるいは直接委託するとともに、公契約条例を制定することでワーキングプアーを減すべきです。OECDの貧困関する報告では加盟34カ国・地域で貧困率はアメリカに次いでワースト2となっており、格差と貧困が広がっています。貧困対策こそ市の大きな責任です。
次に議案第258号第2給食センター整備運営にかかる契約について反対理由を述べます。この議案は第2給食センターを再整備計画に基づき建設および運営をPFI事業として実施するものです。問題の第1点はPFI事業が本当に安いのかと言うことです。2013年度の決算における学校給食公社に支払われた学校給食センターの運営にかかる経費は11億8千万円余、これを15年に換算し、この額を第2給食センター1日13000食に比較するため約3分の1として計算すれば約59億円となります。公社のこの額にはアレルギー対応やドライシステム対応への人件費等は含まれていませんが、今回落札額ののうち運営費に該当すると思われる金額約70億円と比較すると、同等か安くなると考えられます。更に施設建設費について考察すると、2007年に行った学校給食センターの再整備事業の検討資料では15000食規模の施設整備費を32億円と見積もっており、今回の第2給食センターは13000食で約36億円、落札率95.9%であり、建設関係での入札はでは80%台が多いことを考えると、資財価格や人件費の上昇を加味しても建設費も高いと思われます。PFI・BTOのメリットとして「設計・施工・維持管理・運営の一括契約により、施工や運営を考慮した設計が行われることにより、運営が効率的に行われるなど、大きなコスト削減が見込まれる」としていますが、今回の事例を見れば必ずしもそのようにはならないと言えます。むしろ、特別目的会社は配当を確定して出資を募る上に市債よりも高い金利で融資を受けることで資金調達コストがかかり、事業費は結果的に高くなり、PFIでなければむしろ安くできると考えられます。また、支出が平準化されることを挙げていますが、起債して施設整備をしても財政負担は平準化されます。見かけ上の起債残高がなくなる代わりに債務負担行為という形で隠れ借金になるだけで本質的には何も変わりません。
第2点は民営化することでワーキングプアーを生み出すことです。公社については包括外部監査で経営の効率化が指摘され、また出資団体監査における業務手当の指摘による是正、経営調査分析による給与の引き下げにより、民間並みとして管理職は年収管理職785万円から588万円、係長657万円から504万円、主任504万円から414万円、調理員 388万円から350万円と引き下げられており、十分競争力がある状況です。この賃金水準は2012年度の役員を除く正規従業員の全国での平均年収467万円(男性520万円、女性349万円)と比べると決して高いとは言えません。しかし、民間では220万円から300万円程度に引き下げられることとなります。これは社会の低賃金構造を拡大し、福岡市経済にとってもいいことではありません。福岡市は低賃金構造を作り出すのではなく、社会の低賃金構造を改善する政策こそ進めることが求められています。それが結果的に社会的負担を軽減することに繋がります。第3次外郭団体改革では「民間事業者より優れた特質をアピールできないときは当該事業の民間委譲を行い、団体の縮小、廃止等の検討を行う」としていますが、優れた特質とは経費削減でしかなく、民間開放ありきといえます。しかもその特質である経費削減には低賃金雇用があり、貧困を生み出し格差社会を作る構造があります。ヨーロッパでは行きすぎた民営化の反省から公営企業への回帰の動きが出ているといわれています。
第3点は食育は公の責任であり、民営化すべきでないということです。今回の民間委託に関しては、公社のあり方を市が責任もって指導する体制を構築すれば効率的運用はできます。本来学校給食は食育の場として重要な業務であり、包括外部監査でも食育の充実を求めています。であればこそ、PFIのような知的財産権を主張し事業内容を公開しない事業のあり方は問題です。食育という視点から公的責任を果たすことを考え、見せかけの経済的削減だけを見てPFI方式で学校給食センターを運営することはやめるべきと考えます。
以上の理由から諸議案に反対しして討論を終わります。