■前代未聞の決算処理! 高島市長の出張旅費問題
高島市長が①出張に飛行機はファーストクラスやビジネスクラスを多用していること、②東京出張ではハイヤー(1日貸し切りで6万円)を多用していること、③出張日数が他都市の市長に比べて異常に多くトップが福岡市にいない日が多すぎる問題、④東京出張で公用の出張に重ねて私用の宿泊が多く、公用車を私的に使っていると思われる使い方をしていること、⑤市長の出張手当が二重払いされていることが問題となりました。これらの高島市長の行動は、市民感覚では経費のムダづかいで公私混同と言われても仕方がないものと言えます。
問題は今年2月24日の旅費の処理が8ヶ月経った決算特別委員会が終了した今日にも処理されていないことです。そもそも年度をまたがった処理自体が問題であるだけでなく、決算できる状態でないにもかかわらず決算特別委員会に審査を付すことはあり得ないことです。将に高島市長の市長としての資質が問われています。議会では高島市長に異例の指摘を行い審査を終えました。
■2013年度決算の概要
<市債発行残高は減っているが隠れ借金が増えている>
2013年度決算状況は三会計合計市債発行残高は前年度比約300億円減の2兆4190億円、市民一人当たり164万円です。市債発行残高は減少していますが、依然高い水準にあり今後も厳しい財政状況は続きます。市債発行残高は減っていますが、南部清掃工場およびこども病院のようなPFI事業、児童館や青少年科学館のように商業施設に賃貸する手法がとられ債務負担行為が増加しています。これは見かけ上借金が減るように見えますが、他方市民のために政策的に使える財源を圧迫することになり、隠れ借金と言えます。高島市長任期の3年間では債務負担行為が急増しており問題です。
<雇用は増えていない・財政は厳しい状況が続く>
歳入については、市税収はようやく2008年のリーマンショック前に戻りましたが、歳入全体としては頭打ちの状況です。高島市長は任期中に128社を誘致し、1万人以上の新規就労者を生み出したと言っていますが、総務省の統計によると平成2009年と2012年では事業所数は4,232事業所減、就業者数は42,703人減と減少しており、高島市長が主張するような経済が活性化しているとは言いがたい状況です。今後も世界経済は不安定であり、人口減少が始まった日本では経済は縮小すること考えれば歳入が増えるとは考えられません。加えて国の借金は2014年6月末日で短期借入を含め1,038兆円となっており、財政支出を続けることは難しい状況であり、地方財政は厳しい状況が続くと考えられます。歳出では、義務的経費のうち医療・福祉などの扶助費は増えていますが、人件費削減により全体としては頭打ちの状況です。福岡市の人口が増えていますが、内実は高齢者が増え、他方 15才から64才までの生産年齢の人口は減少し始めていることから、今後とも扶助費の増加は避けられません。さらに、上下水道施設、道路・橋梁、公共施設の維持管理費は今後ますます多額な費用が必要となっており、今後とも財政硬直化が進むと考えられます。
<税金の使い方を変えなければいけない>
以上のことから、歳入は増えず、歳出増の圧力は今後も続き、更に借金返済も進めなければならない状況から、税金の使い方を精査する必要があります。総務省の統計によると、人工島に毎年100億円以上もつぎ込んできたことや大企業優先の立地交付金が福岡市の経済を支えてきた事実はありません。地場中小企業および零細事業者を育て、所得の再分配を進め、雇用を増やすことが、地域経済を活性化します。そのためには住宅リフォーム助成事業や公契約条例制定が必要です。また、介護や保育などの就労者の支援、不足しているスクールソーシャルワーカー,スクールカウンセラーなどの増員など、福祉や教育に投資すべきです。
■アベノミクスで経済はよくなったのか
<景気は悪化している>
第1の矢の異次元的金融緩和によると言われる円安にもかかわらず輸出は伸びず、貿易赤字は2年以上続いています。他方、円安による輸入資材の高騰は消費税値上げとともに物価を押し上げ、勤労者の実質賃金は下がり続けています。輸入資材の高騰は国内の中小企業を痛めつけ、地域経済を悪化させています。その結果、今年8月の4月~6月の4半期GDP速報値はマイナス1.8%、年率換算でマイナス7.1%と駆け込み需要の反動以上に景気は大きく低迷し、いまや第2の矢は折れかかっています。
<非正規雇用者の増加>
アベノミクスで雇用は増えたと言っていますが、増えたのは非正規雇用で正規雇用は減っています。厚生労働省の労働力調査の8月速報値では、8月の全就業者数は6363万人,前年同月に比べ53万人増となっています。そのうち雇用者数は5600万人で、正規労働者は3305万人、前年同月比で4万人減、他方非正規労働者は1948万人、前年同月比42万人増となっており、正規雇用者が減り非正規雇用者が増えています。いま安倍政権は労働者派遣法を改悪しようとしており、更に非正規雇用者が増えることになります。改正案では3年という期限がなくなり、派遣社員を使い続けることができるようになりますので、直接雇用は減り、派遣労働者が増えるのです。
<実質賃金の低下―貧困と格差の増大>
アベノミクスによって賃金は上がったかのようにいわれていますが、それは一部の大企業でしかありません。中小企業の賃金は余り上がっておらず、更に消費税値上げによって実質賃金低下に拍車をかけています。年金生活者にとっては、年金引き下げが続いており、消費税値上げは更に厳しいものとなっています。来年からは医療費の負担増と介護保険料の負担増も加わります。OECDが今年7月に発表した相対的貧困率の報告では最下位のアメリカに次いでワースト2となっており、日本での貧困者が増え格差が拡大していることが明らかになっています。福岡市の「雇用特区」=「ブラック特区」は労働者の使い捨ての仕組みを作るもので、貧困と格差を増大させるものです。安倍政権、そして安倍政権に追随する髙島市政はやめさなければいけません。